気高く咲いて美しく散るのはオスカルで、ロックリバーへ遠乗りするのはラスカルでシロツメクサですから、そこのところをお間違いなきよう(誰もまちがわない)。
あちこちのお庭でバラが咲き始めたみたいですが、わたしは先月のまだバラの咲いていない時期に、何を血迷ったのか千葉の京成バラ園ってところへ行ってしまいました。
◎京成バラ園
http://www.keiseirose.co.jp/
ここはバラが咲いていない時期でも開園していて、シーズン中800円の入場料が300円になってしまいます(っていうか、咲いてなくても金とるんかと言うべき?)。入り口で「咲いてないですけどいいですか?」って聞かれたけど、目的は咲いてるのを見ることじゃなくて、バラの苗を探しに行くことだったので庭園見学のほうはオマケ。
カテゴリーが食材なので苗の話はあとまわしにして食欲のほうを満たそうと思うんですけど、ここにはバラ関連グッズを扱う店もあるのでバラの花びらジャムと、バラのお酢を買いました。
これがバラジャム。バラの花びらで作ったジャムだそうです。すぐにでも露と消えそうな透明な薄紅色で、見た目は激しく美しいのです。ポエムなのです。
が、しかし。
あの、これ、どの辺がバラなんですかぁ??
最初はうっかりトーストに塗ってしまったので、パンの香りで打ち消されているのかもしれないと思いました。そこで紅茶に溶かしてみたのですが、これまたまったく香らず。いや、遠く遙か彼方になんとなくバラのような香りがするものの、基本ただの甘い物体。フルーツ系のジャムと違って酸味もないし、何がいいんだかぜんぜんわからない……orz バラジャムってみんなこんなふう?
そしてこっちはバラのお酢なのですが、ズバリ言わせていただくと、ただの酸っぱい物体です。お酢なので酸っぱいのは当然ですけどバラである必然性はあまりなさそうです。そもそもこっちはバラの花びらではなく、ぶどう酢(ワインビネガー的なもの?)にローズヒップで味と香りを付けたもののようです。そら花のようには香らなくて正解ですな。
ああ、現実ってきびしい。
最初に書いた通り、今回の目的は苗を買うことなんです。京成バラ園ではバラをはじめとする苗の販売もやってます。
おりがみでもバラばかり折ってるくらいなので、もともとバラは嫌いじゃない。バラを植えておくと虫が来るし(そっちか!)、今年はちょっと奮発してバラを買ってみようと前から思ってた。
が、しかし。マニアじゃないので品種名とかサッパリね。どうせ育てるなら香りのよいばらがいい。ついでに言うとつるバラだったらなおよい、というようなおおざっぱな希望はあるものの、近所のホームセンターで苗を買おうとすると、花の色くらいまではわかっても、香りの有無までよくわかんない。ならバラ園で専門家に聞いちゃえと思ったわけ。
ところがどっこい「つるになるバラで香りのいいもの」って尋ねたら「そういうのはないことはないけどほとんどないです」ですって。ええええっ、そういうものなのー????
店員さんが言うにはですね、大輪で、四季咲きで、つるバラだと香りのいいものはあんまりないんですって。ここにあるものだと、たとえば羽衣(そういう品種がある)とか……って品種名をあげてくれた。へえ、そうなのって納得してるうちに店員さんは別のお客さんに呼ばれてどっか行っちゃう。
行っちゃったあとにハッと我にかえったんですが「大輪とか四季咲きとか、そんな希望あったっけ?」いえ、ありません。わたしゃ大輪のバラは嫌いじゃないけど特別好きってほどでもないし、四季咲きだったら確かに素敵だけど、花咲いてなくてもハバチは来るので(ってやっぱり虫かよ)四季咲きにもこだわらないんです。なんなら八重咲きですらなくていい。野バラ系の一重の小さなバラでもぜんぜんオッケーっていうかむしろそういうのが好みなんだけど。たぶんド素人には大輪の四季咲きをすすめとけば無難であろうという判断なのでしょうね。ごめんよズレた素人でー。
売場にあったカタログをめくってみたけど数が多くて全部はみきらない。ちょっと悩んだけど、最初にすすめられた羽衣という品種のつるバラを買ってみました。花の形も特別嫌いなタイプではなかったし、花が大きいのは問題ないので。5月9日現在、つぼみがふくらんでもうすぐ咲きそうですが、まだ咲いてません。
それはそうと、つるバラで香りの強いものはあまりないって言われたのに、最近街を歩くと、つるっぽいバラで香るものを育てている家がけっこうあるんですよ。もしかすると専門家は「つるバラ」のカテゴリーに入れない品種なのかもわからんのですが、あきらかにフェンスにからむようにして伸びてて、素人目にはつるバラで、しかも香ってる。こーゆーのでいいんですけど、何がどう問題なんですかー、みたいな。どうも釈然としないです。バラは深い。自力で勉強をするしかないのかも。
珍獣ららむ~ 2007年05月09日(水)22時33分 編集・削除
バラといえば昔から謎なのはドイツの野薔薇は赤いのか、ということ。ゲーテという人が
Röslein Röslein Röslein rot,
小さな薔薇 小さな薔薇 赤い小さな薔薇よ
Röslein auf der Heiden.
荒野の小さな薔薇よ
って書いてるじゃないですか。シューベルトとかヴェルナーの曲で有名なアレです。
小さい薔薇で荒野に咲いてるならノイバラとかかなぁと思うんだけど、日本でよく見るのは白いよね。せいぜいピンク。ところがゲーテは赤いと言ってる。ってことはドイツの野薔薇は赤いの?
さらに釈然としないのは、「紅におう野なかの薔薇」って近藤朔風の訳詞まで紹介しながら白いノイバラの写真を掲載してる百科事典も見たことがあってイライラするー。ゲーテは赤いって言ってるのになんで白い薔薇の写真なんか貼るんだよ、編集者はアホなのかと子供心に本気で思った。っていうか未だに思う(笑)
仮説その1
ドイツには赤いノイバラがある。
仮説その2
荒野に咲いてるけど、実はノイバラではない。
仮説その3
うっすらピンクの薔薇を詩的に誇張して赤いと詠んでいる。
仮説その4
心象風景なので現実の薔薇とは無関係。そもそも Knabe = 少年 が薔薇を摘むってシチュエーションが変。薔薇はニンゲンの娘を暗示している。ゆえに赤い野薔薇が実在するかどうかはどうでもいい。
さあ、どーれだ。