めくるめくお蚕動画を作ってみたけど、画質が粗くてキャプションが読めないなあ。テンポが悪くて退屈だし。言われるまえに書いておくと英語デタラメだし。いいんだ、通じれば(通じないかも。ヤバイ)。
めくるめくお蚕動画を作ってみたけど、画質が粗くてキャプションが読めないなあ。テンポが悪くて退屈だし。言われるまえに書いておくと英語デタラメだし。いいんだ、通じれば(通じないかも。ヤバイ)。
ローマの博物学者である大プリニウスは、カイコについて以下のように書いている。
雄山閣『プリニウスの博物誌』より要約・引用
上記は複数の虫について書いたものかもしれない。また、日本で主に育てられている家蚕ではなく、野蚕の何かであろうと考えられる。
野蚕は、日本や中国ではヤママユガ科の昆虫をさすが、アフリカやヨーロッパでは、カレハガ科やギョウレツケムシ科の昆虫も利用されるという。参考>有限会社きぬさや(絹製品の開発、製造、販売)
地面から蝶が生まれることから、その虫が土中または落ち葉と土の間などで蛹化することが想像できる。また蜂のように房を作るとあるので幼虫が集団で糸を吐き、巣を作ることが想像できる。蝶が冬の寒さにたえきれずに綿毛を作るのは、卵胞に卵を産む様子かもしれない。
ウガンダにアナフェサンというギョウレツケムシ科の蛾がいるそうだ。幼虫は子供の頭ほどもある大きな巣を作る。詳しい生態がわからないので判断しかねるが、プリニウスの記録と何か関係があるだろうか。
交尾や産卵も観察したことなので、次は糸取りを模索したいと思います。夏の蚕は冷凍庫に入れたばかりに繭の中で羽化してしまったので、今回は早いうちに冷凍庫に入れました。
虫は氷点下の真冬でも蛹で越冬するので、もしかすると冷凍庫でも死なないかもしれません。なるべく早く糸にしたいと思います。
週末に頑張って、50粒の繭を引いてみました。手順は以下ような感じでやってみました。あちこちで読みかじったことを試しているだけなので、これが最良というわけではありません。例によって一杯一杯なので作業中の写真など写せませんでした。
1. 60度のお湯に繭を1〜2分つけてなじませる。
お湯の温度を測れるような温度計がなかったので適当です。熱湯に水をさして、お風呂よりも熱く、かといって触れないほどの温度にならないように調節。繭はプカプカ浮いてしまうので、落とし蓋で上からおさえます。じぶじぶと細かい泡をあげて繭がお湯をすいこみます。
2. 別の鍋にお湯をわかし、ぐらぐら煮えているところに1の水をきって投入します。そのまま 2分ほど煮ます。
3. コップに水を用意して、2に水を加え、温度を下げる。
水はまわしいれるように全体にさし、水温のむらがでないようにします。温度差をつけると繭にお湯がしみこんで透けてみえるようになりますが、ビビってはいけない。
4. さらに加熱して、ぐらっときそうなところでやめる。
加熱すると繭の表面がほぐれてきて、しっちゃかめっちゃかな感じになったので恐くなってやめました。煮繭をどこでやめるかの見極めが付かなくて困ってます。煮たりなければほぐれないだろうし、煮すぎればほぐれすぎて綿になってしまうと思う。
5. 別の容器にぬるま湯を用意して、4の繭を移す。
6. ひょうめんのほぐれたところを手で引いて、1粒の繭から1本の糸が出るようにする。
これが難しい。プロがやってる動画などを見ているととても簡単そうなのに。ほぐれた部分は大胆に引いてしまったほうがいいです。そうとう大胆に引いても健康な繭ならば痩せてしまうことはありません。
1粒から1本の糸が出るようになったら、洗濯ばさみかなにかに挟んで糸端がなくならないようにします。助手がいるなら持っててもらうと確実。50本の糸端がそろったら、本格的に引きます。
7. 座繰りに結んで引く
専用の座繰りがないので今回も毛糸用の「まきまき」を使いました。
編み機用具ロイヤル玉巻き器マキマキ
かせ繰り機にはめた毛糸をこれで巻き取って玉にする。糸巻きが首を振るようにできていて、自然にスパイラルに巻ける。
以前これを使って20粒分の糸を引いてみたところ、糸同士がくっついて糸巻きからはずれなくなってしまいました。また、糸が細すぎてブチブチ切れてしまうのにも悩まされました。
今回は糸巻き部分にボール紙の筒をはめて、筒ごと抜けるように工夫しました。また、50粒に増やしたので途中で切れることもなく、どうにか成功したようです。
▲手前の黄色いのはずりだし法でとった糸をタマネギで染めたもの。これについては長くなるので後日また書きます。今回の主役は奥のタコ型の物体です。
とても丈夫でつやのある糸です。でも、ちょっと固いんです。この状態の糸を生糸(きいと)と言って、絹糸(けんし、きぬいと)にするには精錬(せいれん)という作業をしなければならないそうです。
これを、大枠にまき直してかせにして、草木灰で作った灰汁か、重曹を加えたお湯で煮ると、よぶんなセリシンが溶け出して柔らかさが出るらしいです。# 毎度のことですが、まったく未知の作業なのです!
8. 大枠のかわりに「くりくり」でかせにしてみた←今ココ!
編み機用具ロイヤルかせくり器くりくり
傘の骨みたいなのを広げると毛糸のかせをはめられる。よく、昔のおかあさんが子供の両手に毛糸の輪をはめて玉に巻いてたけれど、あの子供の役をさせることのできる器具。ハンドルもついているので玉からかせにまき直すこともやろうと思えば可能。
そもそも「くりくり」は毛糸のかせを、玉にするための道具です。玉をかせにするための道具ではありません。作業の方向が違います。が、これしかないのでやってみるしかありません。
そして、今回も見事に失敗しました。
くりくりは毛糸用なので、やわらかくしなる素材でできています。ここに糸を巻き取ると、どんどん巻きが強くなるのでたわんでしまうのです。
たわむと円周が小さくなり、最初に巻いた部分がどんどんゆるんでしまい、きれいなかせになりません。この状態でくりくりからはずすと、口では説明しにくいとんでもない状況になります。仕方ないので玉にまきなおしました。
で、わたしゃこの後、どうすればいいでしょう……orz
50粒分の蛹と、交尾・産卵後の成虫を佃煮っぽくしてみました。醤油1、みりん1 の割合で煮立たせたところに下ゆでにした成虫と蛹をほうりこんで焦げない程度に煮詰めただけです。佃煮というより味を絡ませただけですな。
鮮度のいいうちに冷凍した蛹だからでしょうが、蚕特有の臭みがすくなく、皮がいくらか固い感じになりました。ご飯のおかずに最適です。おいしゅうございました。
▲メスのカイコガ。この体型がたまらなく色っぽいです。
▲メスの顔
▲オスの顔
触角の大きさで見分けられると思いこんでたけど、こうして見比べると大差ないです。
▲一頭のメスを二頭のオスが奪い合っているところ。
▲愛の結晶。生まれたては白い。象牙の粒みたい。
動画を見るならここをクリックして続きをどうぞ
連休は、中之条の天蚕工房に行こうかどうか本当に迷ったけれど、結局おともだちの都合が付かないのやなんやらで断念しました。
うちのお蚕さんは、1日に最初の蛹が三頭ばかり羽化しました。すべてオスで、事前の見立て通りです。
3日にメスが一頭羽化しました。これも見立て通り。出かけている間に羽化してしまい、近くの箱に入れてあったオスが勝手に移動して交尾してました。
がっつり繋がってるのを割愛して(人の手でひきはなすこと)産卵させてみました。こういうふうになるように丸い輪に入れたら、紙だけじゃなく輪の壁面にも生み付けられてしまいました。あいたたた。
卵は冷蔵庫で保存してみます。来年、気温が上がった頃に出せば孵化する予定ですが、果たして上手くいくかどうか。
▲腹が太いほうがメスです。メスは腹が太いだけでなく動きも鈍いようです。触角の形などもっと違うかと思っていたのに、あまり差がないので意外でした。
4日、二頭目のメスが羽化しました。これも見立て通り。蛹でのオスメスの見分け方は、だいたいマスターできたような気がします。
メスの近くにオスを置いてやると、ザザッザザッと翅をふるわせて、メスにとりつこうとします。やがて尻と尻を固く結合させて動かなくなります。
自分用のメモとして交尾の手順を箇条書きにすると、
1. 羽化したらメスの近くにオスを置いてやる。メスの匂いにオスが気づくと翅をふるわせてメスのまわりを歩き回る。
2. オスがメスの尻をさぐりあてて交尾をはじめる。そのまま一時間以上交尾させる。
3. 放っておくといつまでも交尾がつづくので割愛する。オスとメスをねじるようにして離す。
4. 割愛直後にメスが尿をする。卵にかかっても問題ないらしいが、汚れると困る場合はメスの腹を軽く押してあらかじめ排泄させてしまう。
5. メスを紙の上においておくと勝手に産卵する。産卵しながら歩いて行ってしまうので、底のない枠の中で産ませる。
6. 交尾後のオス、産卵後のメスは、何度も交尾に使える。
# ↑このように書いてある文献を見たことがあるのですが、少なくともメスは、一度目で腹の中の卵をほとんど使ってしまい、二度目も産まないことはないですが少ないです。オスは二度目も行けそうです。ただ、趣味でお蚕をやるのならば、そうたくさん卵を産ませる必要はないです。なんせ一度の産卵で三百個くらい産みますから、ご家庭では持て余しますよ。
7. 卵は冷蔵庫で冷やしておき、必要な時期に25度くらいの場所に出しておくと孵化する。
……こんな感じ。現在 5番目まで確認。6番目を実行中。
昆虫の卵には、孵化せずに越冬する越年卵(おつねんらん)と、すぐに孵化してしまう卵があります。確実に越年して、孵化させるために、どのタイミングでどのくらいの温度で管理する、など、細かいノウハウがあるようですが、今回はテキトーにやってみます。
それにしても、交尾は面白い。口で説明しにくいおもしろさがあります。無駄に何度もやらせてしまいそうでヤバイです。写真もありますが、デジカメの電池が切れたので充電後にあらためて。
4日、窓をあけはなって掃除をしていたら、黒っぽい蛾が何度も飛び込んできます。つかまえては外に出すので鱗粉がすっかりとれてしまいましたが、どうやらクワゴのオスのようです。外へ出して、遠くへ飛んでいったのを確認しても、しばらくすると戻ってきてしまいます。
お蚕さんの匂いに寄ってきたのでしょうか。いくら窓があいているからといって、部屋の中なのに。フェロモンはそんなに遠くまで届くものなんですかねえ?
追い払っても来るので、クワゴは虫かごに入れて冷蔵庫につっこみました。メスが新しく羽化したら交尾させてみようと思います。
▲蛾輪(がりん)にも生み付けられてしまった