記事一覧

早くも脱皮しちゃった奴もいるみたいです

ファイル 391-1.jpg
▲今朝の様子。体長50mmくらい。

 蚕たちは、昨日の午後にはすっかり眠に入っていたようですが、今朝みたら、乾いた葉をシャリシャリ食べている蚕がいました。よく見たら早くも脱皮殻が落ちてます。どうも、早めに眠に入って脱皮しちゃったおませさんたちがいるようです。出かけようと思っていたのを中止して、あわてて餌をやりました。これまでは脱皮の時間差をほとんど感じなかったので油断してました。

ファイル 391-2.jpg
▲脱皮途中の蚕。
 まだ脱皮途中の蚕も多く、頭に古い殻をつけてます。最初に頭から脱げるのに、なぜか脱皮が終わるまで頭の殻が鼻先についてます。

ファイル 391-3.jpg
▲脱皮が済んだ蚕。
 脱皮が終わると頭の殻も落ちてます。おでこ(正しくは前胸の背中?)の目玉模様も濃くなってます。前より少ししわくちゃになったかもしれません。

ファイル 391-4.jpg
▲病気?
 初めての異常です。下痢をして全身が汚れています。まだ死んではいませんが動きも鈍く餌を食べません。脱皮が済んでいるかどうかもよくわかりません。軟化病でしょうか? 急いで隔離しました。できれば蚕座紙を交換したいのですが、まだ脱皮途中の蚕ばかりなので、ハラハラしながら放置しています。

 これが初めての異常です。毛蚕の時代はわかりませんが、これまで死んだ蚕や病気の蚕には気づきませんでした。

ファイル 391-5.jpg
▲やけに薄汚れている。これも病気?
 こちらは下痢をしている様子はありませんが、全身がやけに黄ばんでいます。脱皮は済んでいるようで、比較的元気で餌を食べています。でも、病気の可能性を考えて隔離しました。

タグ: カイコ

コメント一覧

まる URL (07/16 16:02) 編集・削除

お蚕さん、「シャーペイ」に似ています。笑

スゴイ勢いで成長するんですね~。びっくりです。

珍獣ららむ~ (07/16 21:00) 編集・削除

シャーベイって顔がしわくちゃの犬ですよね。
似てる似てる。すごく似てる!

シバケン URL (07/16 23:26) 編集・削除

4枚目写真の個体は、軟化病ではないと思います。
単なる脱皮不全であるか、軟化病以外の別の病気です。
5枚目のような状態は家でもよく確認します。
こういった個体は病気の心配をする必要はあまり無いと思います。

珍獣ららむ~ (07/17 00:06) 編集・削除

シバケンくん、ありがとう!!
いちおう隔離して様子を見ているんだけれど、
今は下痢をしていないし、餌も食べています。
4枚目の写真のだけは、ちょっと不安なので
しばらく別に飼ってみます。

天からおりてきた虫、それが蚕

 昨日はあんまり暑くて動けなくなり、夕方からエアコンを入れて数時間寝ちゃったんですが、部屋の温度はそこそこ下がっているのに体の中から熱が出ていかない感じでしたよ。こりゃ油断してると本当に死人が出ますよ。みなさんお気を付けて。

ファイル 389-1.jpg
▲四齢になるとおでこに目のような模様ができる

 子供のころ、この部分を蚕の目だと思ってました。本当の目は頭についているはずです。団子っ鼻のように見える小さな丸い部分が頭です。

ファイル 389-2.jpg
▲凛々しい……!

 眠じゃなくてもたまにこんなふうに上半身を立てて天を仰いでいることがあります。眠のように長くは続かず、しばらくするとまた桑を食べ始めます。

 この時期になると手触りがよくなります。シンと冷たくてすべすべしてる。薔薇の花びらみたい。人に触れられるのはストレスになるので直接さわらないほうがいいのでしょうが、ついなでたくなってしまいます。


【養蚕関係の伝説】
 養蚕のはじまりを説明する伝説で、日本では「おしらさま」と呼ばれているお話が中国にもあります。先日書いた「捜神記」の「馬の恋」がそれにあたります。これはかなり古くからある伝説で、蚕になった娘は馬頭娘(ばとうじょう)と呼ばれて養蚕の守り神になります。

馬頭娘(中国の伝説)

  • 馬が娘に恋をする
  • 娘の父親が馬を殺して皮をはぐ
  • 馬の皮が娘をつつんで高い桑の木に舞い上がる
  • 娘は蚕という虫になる

 娘は馬の皮をかぶって高いところへ昇り、蚕に生まれ変わって戻ってきます。蚕は脱皮をする生き物ですから、着物をぬぐことで地上に降りてきたともとれます。そう思うと、この話は日本の羽衣伝説によく似ています。

羽衣伝説(日本の民話)

  • 天女が地上の浜辺で羽衣を脱いで水遊びをしている。
  • 若者が羽衣を盗んだので天女は空に帰れなくなり、若者の妻になる。
  • 天女は若者が隠していた羽衣をみつけて空へ帰ってしまう。

 天女は着物を脱いだことで人間になり、また着物を着て天女にもどります。馬頭娘(おしらさま)と反対の動きをしています。羽衣伝説にはさまざまな続きがありますが、注目したいのは七夕伝説付きのお話です。

羽衣伝説+七夕伝説(日本の民話)

  • 前半は天女の羽衣と同じ
  • 若者は妻を求めて不思議な瓜の蔓をつたって天へ行く。
  • 天女の父親に無理難題をふっかけられ、妻の助言で切り抜ける。
  • 最後に助言を忘れて失敗し、若者と妻は引き裂かれ、彦星と織り姫になって一年に一度しか会えなくなる。

 舅に無理難題をおしつけられ、妻の助言で切り抜けるあたりは神話のスサノオとオオクニヌシの話にも通じます。そして同じ話がシベリアのブリャート族にも伝わっています。

白鳥女房(シベリア・ブリャート族の昔話)

 長い話なので箇条書きで要約しますが、日本の羽衣伝説・七夕伝説とよく似た話です。夫婦を引き裂こうとするのが妻の父親ではないことと、ラストで引き裂かれることなくハッピーエンドを迎えるところが日本の昔話と違います。

  • うだつのあがらない若者が白鳥の衣を取り上げて自分の妻にする。
  • 領主が妻を横取りしようと若者に無理難題をふっかけるが、妻の助言で切り抜ける。
  • 領主の無理難題を解くために若者が天界へ行くことになる。妻からもらった赤い絹糸を空に投げて昇る。
  • 天界で妻の親類たちにあい、領主に命じられた宝物をもらう。
  • 領主はどんな難題も解いてしまう若者を殺してしまおうとするが、天界でもらってきた宝物を使って領主をやっつける。
  • 若者と白鳥の妻は新しい領主になって幸せに暮らす。
  • 参考>岩波文庫『シベリア民話集』

 天に昇るためのアイテムとして赤い絹糸を使うあたりに養蚕伝説との関連を匂わせます。日本で瓜の蔓と言われているのも、もとは絹糸だったのでしょうか。あるいは馬頭娘にある桑の木が瓜の蔓に変化したのかもしれませんが。

歐糸の野・三桑無枝(山海経・海外北経)

 歐糸の野が大踵の東にある。娘が一人ひざまずいて木によりそって糸を吐く。歐糸の東に枝のない三本の桑がある。その木は高さが百仭で枝がない。(中略)三桑の東に平丘がある。(中略……平丘に生ずる木の説明)もろもろの果実が実る所である。

 「山海経」は中国の古い伝承を、おそらくは絵地図と短い解説の形で収録したもので、現在では解説の部分しか残っていません。上記の部分は娘が蚕(糸を吐く虫)に生まれ変わった馬頭娘の伝説を記録したものだと言われています。娘がよりそう木は三桑無枝と同じものかどうか、この文章だけではわかりません。

 三桑は「山海経」の別の部分にも登場します。こちらには馬頭娘の話はありませんが、怪しい蛇が多いとあるのが気になります。

三桑(山海経・北山経)

 三本の桑がここに生えている。その木にはみな枝がなく、高さは百仭。百果の木がここに生えている。その下に怪しい蛇が多い。

 海外北経で糸を吐く娘と描かれているものが、北山経では蚕として描かれ、解説者が蛇と記述したと解釈するのは突飛すぎるでしょうか。


 ところでみなさん、わたしのサイトにはいろんなものがありますよ。下記は大昔の掲示板のログで、七夕の伝説や行事について書いてあります。あら、牛郎が牛の皮をかぶって天に昇るって、あたしゃ自分で書いてますよ。これっぽっちも覚えてませんでした。脳細胞が破壊されてますね、けけけけ。
http://www.chinjuh.mydns.jp/saluto/0107070lg.htm

タグ: カイコ 伝説

コメント一覧

Sari (07/15 13:44) 編集・削除

この立ち姿、たまりません!
あの冷んやり加減がなつかしい・・・

15日は、二丁目の獅子舞ですね。
八潮市の観光パンフを見ていたら、載っていました。
いつも汚してしまったり、持って行くのを忘れて
何度も駅前の市民センターでもらっていたのに、気づきませんでした。
写真で見ると、八潮の獅子舞は戸ヶ崎のと同じスタイルですが、
二丁目のほうは、短い浴衣のようなのを着ています。
行かれるかなぁ・・・

珍獣ららむ~ (07/15 15:30) 編集・削除

 獅子舞は今朝思い出して、ひとっ走り入ってきました。お蚕さんが心配なのでお昼には戻ってしまいましたが、二丁目もなかなかいいですよ。

 蚕が、そろそろ最後の眠に入るようです。まだ食べてるのもいるけど、ほとんどが動かなくなりました。

どうやら蝦蟇が住み着いてるらしいんです

アズマヒキガエル
▲08/07/13 自宅の玄関先にて アズマヒキガエル

 前に、近くに川もないのに家のまわりでヒキガエルを見たと書きました。バラの茂みにいたので指先でつついたら、ぺたんこん、ぺたんこん、と跳ねてどこかへ行ってしまいました。

 あれから一年ほどたちました。ちっとも姿を見ないので、どこか遠くへ移住したのかと思っていたら、玄関脇のポストの下にちゃっかり住み着いてるじゃありませんか。写真には写っていないけれど近くに穴があって、いつもは穴の中から顔を出してます。

 虫は沢山いるので餌には困らないだろうけれど、こんなところじゃ繁殖もでいないんじゃないのかな。でもわたしは「かわいそうだから逃がしてあげましょう」なんてことは言わないのです。案外住みやすいのかもしれないし。

◎虫ばっかり・アズマヒキガエル
http://www.chinjuh.mydns.jp/hakubutu/musi/zz000254.htm
ここの写真は水元公園のヒキガエルです。

 ヒキガエルは、蝦蟇(がま)のことなんですが、『耳袋』という江戸時代の怪談集に蝦蟇が床下に住み着いたせいで家の者が病に倒れる話があるので、もともと水辺から離れた民家のまわりで見やすいカエルなんでしょうね。

 人を病気にするというのは毒腺を持っていることからの連想でしょう。

◎びっきぃとやまどじょう「アズマヒキガエル」
http://www.hkr.ne.jp/~rieokun/frog/azuma.htm

 こちらのサイトにトウキョウダルマガエルの水槽に、ヒキガエルを一晩だけ入れたらダルマガエルが全滅した、という体験談があります。ひょっとすると昔の人も、こんな経験を通してヒキガエルを妖怪に進化させたのかもしれません。大きく、動きが鈍いので人を恐れていないように見えるのも、妖怪化の条件じゃないのかな。

 実際のところ人に害があるかというと、つかまえていじめでもしなければ毒を出すこともありません。毒液を出してるところも見たいんですが、そのためにいじめたら逃げちゃうと思うのでやりません。そこらに住み着いてほしいんだもん。

タグ:カエル 植物 園芸 伝説

急に大きくなりました

ファイル 387-1.jpg
 三眠から目ざめた蚕たちは、ものすごい勢いで食べ始めました。これまで日に三回餌をやっていましたが、日に四、五回やらなければならないほどの勢いです。さすがに庭の桑の木では足りなくなったので、川沿いの桑を取りに行きました。

 桑にもいろんな品種があるようで、葉の形が少しずつ違っていたり、葉裏の産毛が薄かったり、濃かったりと色々です。別の葉を与えて食べなかったらどうしようと思うんですが、とりあえず問題なく食べてるようです。

 庭の桑の葉も次々に新芽をふいているのでしばらくすると復活するでしょう。でも、さすがに一株の桑の木で二百頭は無理ですね。

ファイル 387-2.jpg
▲ただいま体長45mmくらい。

タグ: カイコ

コメント一覧

シバケン URL (07/13 15:59) 編集・削除

元気そうに育っていますね。
飼育スペースも広そうに見えるので、病気の心配もあまりなさそうです。
僕は、多品種を一度に飼育するので夏場は大抵病気が流行しています。
今年の夏は飼育しない予定ですが。

Goudeau (07/13 16:38) 編集・削除

尾篭なお話で失礼致しますが、「シジの休み」が気になつて、期待ゼロで検索してましたら、「似指」と書いて「シジ」と読み、「子供の(男)性器」といふ語があるさうです。なんと流通してゐる「チン」はこの「シジ」から変化した形ださうです。(似指鉾など)何時頃の言葉なのでせうか、『浮世風呂』では「似指」で別のルビをふつた用例がありました。(ここには書きませんが)

この「似指」は衣笠姫説話とは全く結びつきませんが、お蚕さんの最初の眠に係る語としては、意味があるかも?(笑)

珍獣ららむ~ (07/13 21:25) 編集・削除

 シバケンくん、ありがとう。やはり蚕密度(という言葉があるかどうか知らないけれど)が高いと病気になりやすいのでしょうか。おばあちゃんの家でやってたのを思い出しながら目見当でやってます。

 シバケンくんのところは、お蚕さんのページを公開するのはやめちゃったんですか? ちょっと残念です。蚕のことをググるとかなり上位にヒットしていたので、わたしはシバケンくんからメールをもらう前から知ってたくらいですよ。最近の小学生は本格的な実験をしてるものだと、本気で感心してました。

 ブログもこっそり読ませてもらってます。ほんとにいろんなもの飼ってますね。黒縞蚕や油蚕なんて、わたしゃ図鑑でしか見たことないですよ。


 
 Goudeau さん、シジは似指ですか! 男性器のことをチンと言うのも謎でしたが、ポコはもっと謎だったので似指鉾という表記を見て目からウロコが飛びました。蚕も五齢幼虫くらいになれば似指にたとえてもおかしくはないし、男根は縁起物でしょうからそういう言い方をしても不思議はないのですが、シジと呼ばれるのは消しゴムカスのような一齢幼虫の眠なので、やはり違うのかもしれません。

 蚕のシジについて、少し調べたのですが、江戸時代の浮世絵に、毛蚕のことを「しゝこ」「獅子蚕」と表記しているものがあるので、獅子からシジに変化した可能性があります。

◎東京農工大学付属繊維博物館・浮世絵リスト
http://www.biblio.tuat.ac.jp/vr-museum/ukiyoe2/UKList2.htm

 でも、なぜ最初の眠が獅子なのかはサッパリわかりません。一齢幼虫に毛が生えていることを獅子にたとえた可能性はありますが、だとすると二齢の竹、三齢の舟、四齢の庭も蚕の形状と関係しているのでしょうか?

シバケン URL (07/14 01:52) 編集・削除

そういえばうちのサイトは比較的上位にヒットしている時期がありましたね。
実は、僕も蚕のページを止めた事に少し後悔しています。
以前は、サーバの方にHTMLファイルが残っていたのですが、容量の問題で大分消してしまい、その後にHDD破損等でデータが消えてしまったので蚕についてのページはほとんど残っていません。

最近は蚕専門のサイトを立ち上げているような人がいないようですね。
僕が作り始めた頃はもう一人同年代の僕より優秀な人がいたのですが、その人も更新は止めてしまったようです。

今やっているプラナリアの方は検索でも全く出ないので(努力していないのもありますが)、もう一度蚕をやってみても良いかな、とは思うのですが、なかなか時間が取れずにいます。

珍獣ららむ~ (07/14 09:41) 編集・削除

そうかー、消えちゃったんですか。
それは本当に残念です。
せめてプラナリアのコーナーが検索上位に出るように
何か協力できるといいんですが。

ところで、わたしはいまだにプラナリアを見たことがないんですけど、
ぶっちゃけどこへ行けば見られるでしょう。
清流にいるというのは知ってます。
シバケンくんのサイトにある小渕沢とかは遠くていけません。
葛飾と、松戸市・三郷市・八潮市など周辺都市も含めて、
このあたり一帯で、見られる可能性のある場所はありますか?
ハッキリ場所を書けなかったらメールでもいいです。
もし知ってたら教えてください。

シバケンくんのプラナリアサイト
プラナリアンズはこちらですよ
http://www7a.biglobe.ne.jp/~kodomonokaikonojikkennsitu/planaria-top.html
プラナリアの図鑑、プラナリアの採集法などがあります。

Goudeau (07/14 12:29) 編集・削除

確かに消しゴムのカスと私のチン説では、スケールが違ひ過ぎますネ。シジの眠りが獅子蚕の眠りであるとして、今度は「何故獅子か?」が気になつてきますネ。

ご紹介のサイトを見ると、江戸時代までの、文献、絵画ともに、お蚕さん関連の巨大な文化的鉱脈が存在するやうですネ。かうした鉱脈を養分としながら、様々なお蚕さん伝説が生まれ出るのは必然だなとあらためて感じました。

シバケン URL (07/14 15:53) 編集・削除

リンクして下さってありがとうございます。
プラナリアの事は情報も少し溜まっているので、近いうちに更新できるかもしれません。
そのときに簡単なSEO位はやってみます。

プラナリアの生息地ですが、葛飾区には調べてもプラナリアのいそうな湧水がありません。
周辺都市では、松戸の21世紀の森にある湧水などは可能性があります。

僕はナミウズムシの採集を東京の西の方(市部)で行っています。
具体的に書くと、国分寺のお鷹の道や高尾山の湧水などが採集しやすい場所です。
ただ、これらの場所は東部からだと天竺より遠いので、まず松戸で幾つかの湧水を回って、それで見つからなかった場合は国分寺などに行ってみると良いと思います。

http://www.city.matsudo.chiba.jp/cgi-bin/odb-get.exe?WIT_template=AC020000&WIT_oid=icityv2::Contents::3735
親水マップというのを見つけました。
松戸は友人が住んでいるので、僕も今度回ってみようと思います。

珍獣ららむ~ (07/14 18:13) 編集・削除

>シバケンくん
 実は午前中に、その親水マップを眺めながら、ここらへんのどっかにいるかしら、と思っていたところです。お蚕さんの世話が一段落したら、あちこち回ってみようと思います。21世紀の森と広場、良さそうですね。ありがとう!

>Goudeauさん
 いや、チン説もけっこう捨てがたいです(笑) 大きくなったおかいこさんて、指みたいですよ。

三度目の眠は長かった

ファイル 386-1.jpg
▲三眠後の脱皮

 三度目の眠は、昨日のお昼前には始まっていたと思います。これまでは一夜明けると脱皮が済んでいたのですが、三眠は今朝までつづいており、朝おきて眺めている目の前で脱皮がはじまりました。

 脱皮は、まず頭の殻が剥けるところから始まるようです。脱皮直前の頭は薄い茶色ですが、ぷりっと剥けると白くて一回り大きな頭が出てきます。それから体を蠕動させて、全身の皮を脱ぎます。眠に入る前に腹脚を桑の葉に固定してあるので、皮だけが葉の上に残ります。

 お昼になっても脱皮が終わらないので買い物に出かけ、返ってきたのは四時前だったと思いますが、まだ一部の蚕が脱皮を続けていました。結局、ほとんどの蚕が皮を脱ぐまでに一日半くらいかかりました。

 さっそく新しい桑の葉をやったのですが、ここ数日雨がふらなかったせいか、桑の葉があっという間に乾燥してしまいます。水をやってみましたが、果たして効果はあるでしょうか。

ふしぎな蚕 『捜神記』より

 園客という者がいて、五色の香草の種をまき、その実を食べて暮らしていた。ある日、香草の葉に蛾がとまり、蚕を産み付けた。

 園客は香草の葉で蚕を飼い始めたが、神女(天女?)がやってきて仕事を手伝ってくれた。やがて蚕は百二十個の繭になったが、それぞれの大きさが酒瓶ほどもあり、ひとつの繭から糸を繰ると、六日も七日も尽きなかった。

 すべての繭から糸を繰り終えると、神女は園客とともに天に舞い上がり、それっきり行方が知れない。

馬の恋 『捜神記』より

 出征した父を待っている娘は、父が残して行った愛馬に話しかけた。もし父を連れてかえってくれるならお嫁さんになってあげてもいいよ、と。馬は喜んで一目散にかけていき、父親を乗せて家に帰った。

 それからというもの、馬はまぐさもろくに食わず、娘の姿を見て身をふるわを石弓で射殺して皮をはいで干した。

 娘がふざけてその皮を踏み「馬の分際で人間をお嫁さんにもらおうなんて思うからいけないのよ」と言うと、馬の皮が娘を包んで飛び去った。

 数日後に庭の大木に娘と馬の皮がひっかかっていた。どちらも蚕になって木の上で糸を吐いている。これを養って繭を作らせたところ、普通の繭よりも大きくて糸の巻きが厚い繭になった。

 人々はこぞってこの品種を育てるようになり、蚕をやしなう大木のことを桑と呼んだ。桑は葬の意味である(発音が同じ文字だということ)。

# クワゴなどの野生種の蚕がすでにいて、それよりも多くの糸をはく家蚕が生まれた、という伝説。

繭のたたり 『捜神記』より

 背中に瘤のある女が物乞いをしていた。その瘤は一斗入りの袋ほどもあり、中には繭のようなものが沢山あって歩くと音をたてた。

 女はかつて養蚕をする家の嫁だったが、自分の分だけ何年も原産が続いたので、兄嫁の繭をこっそり燃やしてしまった。背中の瘤はそのたたりで、着物をかぶせておくと息苦しく、いつも重たい袋を背負っているようだという。

タグ: カイコ 伝説

コメント一覧

Sari (07/11 22:49) 編集・削除

母は霧吹きでシュッシュッとやってましたよ。

珍獣ららむ~ (07/11 22:53) 編集・削除

なるほど、やってみます。

Goudeau (07/12 10:26) 編集・削除

『縄文図像学(2)』(言叢社)といふ本に、カール・ヘンツェといふひとの衝撃的な説が載つてゐます。「遮光器土偶」は、人間の生皮をかぶつた司祭の姿だといふのです。まるで『羊たちの沈黙』のサイコ野郎のやうなお話ですが、アステカには「人間の生皮をかぶつた神」が居て、そこからの推測らしいです。(私は雑誌掲載時に読んだだけで、この本自体は持つてをりません)

ttp://bookweb.kinokuniya.co.jp/pocketpc/wsea.cgi?W-NIPS=9890207028&RCODE=OB99%2FO31

生皮剥ぎの説話といふと、もうひとつ忘れちやならないのはイナバノシロウサギですネ。

Sari (07/12 13:38) 編集・削除

動物の皮をかぶるで思い出しましたが、
追難式(難はにんべん付き?)節分のとき、昔は熊の皮を被った
なんとかいう人が出てきたとか。
季節の変わり目で再生の儀式だったからでしょうか・・・

珍獣ららむ~ (07/12 17:14) 編集・削除

http://www.chinjuh.mydns.jp/sengai/cervo/p43.htm
 そういえばうちにはこんなページもあったんですね。昔書いたものは恥ずかしいので見ないようにしてるんですけど、まあ、こういうのもあったりするんですよ。

 土偶の話はおもしろいです。わたしは、瓜子姫の話で天邪鬼(おそらくはシャーマン)が姫の皮をかぶるのは、姫の魂を自分の中に宿すという行為をシンボリックに表現したものだと思っているのですが、あるいは古代の日本で本当に他人の生き皮(たとえば戦で倒した敵方英雄の皮とか、神の巫女として育てられた娘の皮とか)を身にまとっておこなう儀式があったのかもしれないです。だんだんドキドキしてきました。

 そう考えると、天女の羽衣はとんでもない話になりますよ。なんせ神に通じている娘から皮をはぎとってしまう話なんですから。

Goudeau (07/12 17:42) 編集・削除

人間を何千何百とぶち殺してイケニヱにして居たアステカやらシナならともかく、日本の縄文時代はどうなんでせうネ。正直わかりません。

私が遮光器土偶=生皮祭司説の代替案として考へるのは、赤ん坊といふのは、別の世界から「胞衣」といふ皮に包まれて送り届けられる(ただし胞衣は機敏に切り裂く必要がある)といふやうな事から、赤ん坊なのでは、とかそんなことです。(つまりこれならヒトの皮を剥がさなくても出来る)

「虐殺された女神」「ハイヌヴェレ型神話」についても承知して居ますし、私は、オホゲツヒメを殺すスサノヲとオホゲツヒメは、ある意味分身関係(アルテル・エゴ)と考へますので、ウリコヒメとアマンジヤクも、同様に分身関係とみなすべきかもしれませんネ。

さうするとアマンジヤクは、鬼車鳥(=姑獲鳥)やヤマタノヲロチよりも、むしろスサノヲに近い、人間に恩恵を施す神と考へるべきでせうか。今ウリコヒメ伝説の結末を忘れてしまひましたが、殺されたアマンジヤクの死体より五穀が実る、あるひは桑の木が生える、とかなんとかだと完璧なのですが。(これは別の昔話の結末かな?)

追記

私は、織女(ウリコヒメ)を地上に留めるといふ行為は、彼女が「機を織る」ことが出来なければ、無意味と思へます。天上世界からわざわざ織女を奪還しに来る理由もまさにそこにあります。天上で織女が果たして居た、重要な役割とは何か。光といふ糸を織り成す事。それは単純に科学的な光といふ意味以上に、世界秩序そのもの、世界の呪術的維持そのものを担つて居たわけです。例へば穀物の成長も、それなしには不可能でせう。

ですから、アマンジャクの位置づけについては、まだ納得出来てをりません。民話といふのは、長いあひだに話し手の創意が加はつて居るでせうし、解釈は難しい点もあるでせう。もつとよく考へてみたいと思ひます。

Goudeau (07/12 23:16) 編集・削除

http://enkan.fc2web.com/minwa/uriko/index.html

瓜子姫説話のヴァリエーションがまとめてありました。「皮剥ぎ」のないパターンもあるやうですネ。(Sariさんご紹介のサイトと同じところですネ)

瓜子姫の死体もしくはアマンジヤクの死体から、なんらかの植物が、といふのが結末のやうですネ。

珍獣ららむ〜 (07/13 00:04) 編集・削除

 もちろんウリコヒメが機織りをするのは非常に重要なんですよ。遠くから流れてきた機織り上手な女の子が皮をはがれて死んでしまうというのは、やんごとなき姫君が、らい病にかかるなどして故郷を追われ、流れ着いた場所で死んで蚕になる、という養蚕伝説と同じだと思うのです。だからこそ、瓜子姫に出てくる大きな木は、もともと桑だったんだろうなと思ってます。

 ウリコヒメとアマノジャクが分身関係なのに、アマノジャクの死体から何かが生まれてこないのはおかしい、というのは、わたしもすごくすごく気になっている点で、もしかするとそういう結末の昔話があるのかもしれませんが、わたしはまだぱっとしたものをみつけていません。萱の茎が赤いのは、アマノジャクの血を吸ったせいだ、というオマケのついている例は見たことがありますが、女神を犠牲にして得るものとしては、あまりにも安すぎます。

 ただ、昔話として語られる場合、聞き手は子供でしょうし、養蚕の技術やら、豊作やらという良いものをもたらす人が惨殺されるのは理解しにくいですから、悪者に殺されたかわいそうな姫君と、姫君を殺した悪者を罰として殺す話に、自然と変化したんじゃないのかな、なんてことも思いますよ。

 皮と「えな」の関係も興味深いですね。わたしは、皮よりも、瓜や桃がえなと関係があるのではないかと前から思ってました。西洋に、えなをかぶったまま生まれてきた人たちが悪魔払いの力を持つような伝承があるとかないとか聞いたので、日本の桃太郎にあてはまるんじゃないのかなと。じゃあ、ウリコヒメが逆に殺されてしまうのはなぜなんだろ、なんてね。ヨーロッパの伝承といきなり結びつけようとするあたりに、そもそも無理があるんですけど。