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今年もチュウレンジさんたちがやってきた

◎バラを食害するチュウレンジ系ハバチを見分けたい
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=1598
 上記の記事のつづきです。バラを食害するハバチのうち、チュウレンジ系のハバチをきっちり見分けてやろうじゃないかというお話です。

 うちのバラに来ている可能性があるチュウレンジ類は「チュウレンジバチ」「アカスジチュウレンジ」「シリグロチュウレンジ」のたぶん三種。これを見分けたい。

 実は飼うとこまでは毎年やってるんですよ。で、模様の違うのが最低でも二種類いるってとこまではつきとめました。それらが別種なのか同種の個体差(あるいはオスメスの違いとか)なのか、見分けたい見分けたい、何がなんでも見分けたいのじゃー!!というわけです。


 そして2013年、ついにチュウレンジの季節がやってまいりました。

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▲バラの茎にこのような裂け目があったら、そこがチュウレンジさんたちの生まれた場所です。

チュウレンジバチの一種
▲これは数年前に写した写真です。バラの葉を食い荒らすチュウレンジバチの仲間は、こんな感じで茎に卵をうみつけます。卵が孵化すると、ひとつ上の写真のような裂け目になるというわけです。

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▲2013年6月28日撮影。孵化して何日目なのかちょっとわかりません。幼虫はバラの葉をふちから食べていき、葉脈だけ残して別の葉に移動します。クシヒゲハバチとは食べ方が違います。

◎クシヒゲハバチの記事はこちらをどうぞ
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=1572


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▲トリミングしてウソ接写にしたもの。まだ何チュウレンジなのかはわかりません。成虫にして、尻を確かめてオスメスを見分けたり、産卵管鞘というものの色を確認したり、時期をずらして採取&飼育などを繰り返して、別の種類がいないか確認したり……うう、書いてるだけで頭こんがらがってきたよ!

タグ: バラの害虫 ハバチ

イラガが羽化したあとの繭

http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=1605
↑この記事のイラガが出たあとの繭ですが、

↓こんなです。
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 まるでカッターで切ったみたいに奇麗な切り口ですが、自然にこうなるります。不思議ですよねえ。なんでこんなふうに口が開くんでしょうね。

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クサカゲロウの一種(幼虫)

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▲2013年6月18日撮影。昨日、イラガを放す時にバラの茂みでみつけました。

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▲トリミングによるウソ接写で拡大。これはクサカゲロウの幼虫ですね。右上が頭です。大きな牙がありますが、これが特徴です。

 一口にクサカゲロウといっても種類が沢山あるそうで、この幼虫はたぶんヤマトクサカゲロウだと思うのですが、ちゃんと図鑑を見たわけじゃないので実はよくわかりません。こういうのもいちいち全部飼ってみたいような気がします。問題は餌。

 クサカゲロウの幼虫はアブラムシを食べます。コイツを育てるにはまずアブラムシと仲良くならないといけないんですよ(笑)

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並イラガが羽化しました

http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=1555
↑この記事に書いたイラガの繭が羽化しました。マイミクさんのところのイラガが羽化したと聞いたので、うちのもそろそろかなと思ってたんですよねえ。

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▲イラガ Monema flavescens 2013年6月18日撮影。羽化は17日。最後の写真のみトリミングによるウソ接写。ほかは HS10 に MARUMI クローズアップレンズ+4を装着して撮影。

 外来種のヒロヘリアオイラガなんかより黄ばんでてジミな蛾ですね。顔にある小さな足のようなものは、足ではなくて下唇髭(かしんひげ)ですかねえ。裏返して撮影したら足じゃないことがわかりやすかったと思うんですが、東京ではめっきりみかけなくなった虫なので、傷つけたくないのでやめました。

 蛾類の下唇髭について、外国語の名称でパルピ pa-ru-pi とカタカナ書きしてるサイトが多数あるんですが、何語かわかんないので断言しにくいですけど、訳語が「髭」なので バルビ ba-ru-bi かなあと思います、なんとなく。違ってたらゴメン。でもラテン語とかも b はじまりだったような気がするし。# やっぱ違ってたわ。下唇髭=触肢・口肢で、ラテン語でも palp らしいです。だから p はじまりで正解。そして文字にするとバとパは見分けがつかないのでネット上では下唇髭って書くのが親切だという悟りに至った。

 このあとイラガはもといたバラの茂みに放しました。幼虫も見たいので伴侶をつれてもどってこいよ。イラガの幼虫はさまざまな広葉樹の葉を食い荒らす上に毒のトゲを持っているので嫌われ者です。でもうちのバラは昆虫採集用だから熱烈歓迎なのだ。


# リサイズしてブログにはりつけてみると、せっかく接写してもかなり見劣りしちゃうんだよねえ。もうひと頑張り寄らないと、リサイズした時に迫力が出ない。まあ、ネット用の画像にそこまでこだわらないでトリミングしてウソ接写にしていいんじゃないのって気もしますけど。

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バラを食害するチュウレンジ系ハバチを見分けたい

 これは数年越しで頭を悩ませている大問題なのです。幼虫がバラの葉を食害するハバチというと、誰もが「チュウレンジ」と即答するような虫ですが、これまたソックリさんが複数いるらしいんですよね。

 過去にある博物館にメールで問い合わせたところ、幼虫がバラを食害して、なおかつ腹がオレンジ色に見えるチュウレンジ系のハバチは4種類いるっていうんです。以下は成虫の見分け方。

 アカスジチュウレンジ
  背が黄色い
  背の一部がオレンジ色
  背中から見て、背全体が黒いのはアカスジではない

 ニホンチュウレンジバチ
  背が黒い
  後足の広い範囲が黄色い

 チュウレンジバチ
  背が黒く
  後足が黒い
  やや山野性で平地には少ない

 シリグロチュウレンジバチ
  背が黒い
  後足が黒い
  産卵管鞘が黒い

…と、このメモは何年も前にメールでいただいたものを、わたしが要約しているのでややアヤシイのですが、大ざっぱにこんな見分け方ができると教えてもらいました。当時はネット上にハバチの図鑑などはなかったので、ほぼ言葉だけのやりとりです。

 うちのまわりには、後足が黄色いと言えるようなものがいないので、ニホンチュウレンジバチは除外だろうと思っています。

 残るは「チュウレンジバチ」「アカスジチュウレンジ」「シリグロチュウレンジ」の三種になります。

 じゃあ、うちに来るチュウレンジ系の虫は、三種のうちのどれなのか、というのが大問題。

 博物館からのメールでは、真上から見て背の一部がオレンジ色なのはチュウレンジバチ「ではない」と教えてもらったような記憶があります(何度かハードディスクを飛ばしているので当時のメールは残ってませんごめんなさい)。このことを踏まえて、改めてうちにくるチュウレンジ系に迫ってみました。

ポッチリが黒で、脇も黒いタイプ

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 このタイプは真上から見ると胸(というか背)の全体が黒く見えます。いわゆる「チュウレンジバチ」かもしれないが「シリグロチュウレンジ」である可能性が否定できない。

 「シリグロチュウレンジ」の特徴に「産卵管鞘が黒い」というのがありますが「産卵管鞘」って具体的にどこのこと? おしりめくって出てくるのは産卵管鞘につつまれた産卵管? それとも産卵管そのもの?←説明くどくて意味不明だけどここ重要

 尻をめくると出てくる突起が「産卵管鞘につつまれた産卵管」であるならば、たぶん黒いと思うんだけど、手持ちの標本(針刺しただけですがな)が一個しかないので破壊するのはやめときます。

ポッチリがオレンジで、脇もオレンジのタイプ

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 このタイプは真上から見ると、ポッチリだけでなく脇のオレンジのところも見える。


 このタイプは真上から見た時に背の全体が黒くはないのでチュウレンジバチではないはずです。ならアカスジチュウレンジなのかどうか、これが問題。

 博物館に問い合わせた時、わたしはこの写真(別窓で開きます)のURLを添えて質問したのですが、いただいたお返事ではこの写真そのものを何であるとは断言しておらず、ただ背の一部がオレンジなのはチュウレンジバチではないという説明でした。

 それで「だったらアカスジチュウレンジなのかな」と勝手に思って来たわけですが、時は流れてネット上の資料もかなり充実してまいりました。

 内藤親彦さんというちゃんとした方が作った『兵庫県におけるハバチ類の種多様性』というPDF資料を発見しまして、それによるとアカスジチュウレンジの背は、名前の通りスジ状にオレンジ色の部分がありまして、うちに来るオレンジポッチリさんとはだいぶ違うんです。

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 このイラストのA(左側)のように、上から見たときに胸(背)に赤い筋が入った感じになってるのがアカスジチュウレンジ。うちの来るポッチリさんはBのような感じです。

# 絵が雑なのは精密に書いたらむしろウソになりかねないのでわざと概略に見えるように…gyふじこlp@;「:手抜きですすみませんごめんなさい。




 というわけなんですが、結局うちのまわりにいるバラ食べちゃう系のチュウレンジ類のハバチは何者なの?
http://www.chinjuh.mydns.jp/hakubutu/musi/haba02.htm
 このイイカゲンなページをそろそろ直したい。直したい直したい、直したいぞっと。成虫だけでなく幼虫関係もあやしい。足の数をかぞえてる写真なんぞ矢印の位置がズレてるし。


 っていう感じ。今年はまだチュウレンジ系の幼虫を見ていないので、これからきっと出てくるだろうし、片っ端から飼育して背の色だの尻の色だのをチェックしていく予定。

(つづく)

タグ: バラの害虫 ハバチ