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またまたお麩勢ぞろい

http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=1441
↑以前にもこんな記事を書きましたが、またお麩を集めてみました。

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▲上の段右から庄内麩(板麩)・たまご麩/中の段は棒麩/下は松島麩です。一緒に写したものさしは50cmのものです。

 ここに集めたのは宮城県石巻市のスーパーで購入したもので、庄内麩は岐阜県のメーカーのものでした。ほかは宮城県内のメーカーのものです。

庄内麩(板麩)

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▲これが庄内麩です。板麩ともいいます。製造元を見たら岐阜県之会社でしたが、もともとは山形県の庄内地方(酒田市あたり)の名産品です。

 庄内麩は生地を棒にまきつけて焼き、そのあとに潰して板状にしたものらしいです。板のまま売られてることもありますが、写真のように短冊に切ったものをよく見ます。

 使い方は、味噌汁やすまし汁に入れるなら、そのまま放り込むだけです。酢の物などの料理に使うなら、事前に水でもどしたのを軽く絞ってから使います。棒にまきつけて焼くので水で戻すと輪っかになります。

 戻さずにそのままクラッカーのように食べることもできます。油で揚げて塩をふれば酒の肴になると袋に書いてありました。押しつぶされているので、普通の焼き麩に比べるとパリッと歯ごたえもあり、お菓子のように食べてもよさそうです。

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▲庄内麩ときゅうりの酢の物

棒麩・松島麩

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▲これは棒麩を輪切りにしたものです。直径が少し大きめですが輪切りにしちゃうとただの焼き麩ですね。車麩のように穴もないし、年輪もありません。

 松島麩も棒麩より細いだけで同じものです。たぶん小町麩を切らずに販売してるだけだと思います。

 東北のスーパーには、なぜか棒麩のたぐいが大量に置いてあります。関東では棒のまま売られていることはまずありません。この大量のお麩を、東北ではどんな使い方をしてるんでしょうか?

 ちなみに、うちでは下の写真のような使い方をしています。
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▲棒麩とニラの卵とじ

 棒麩を大きめに切って水で戻して軽くしぼります。鍋にだし汁(だしの素でよい)を浅く張り、醤油とみりんで味をつけたところにニラと棒麩を入れて煮立てて、最後に溶き卵をかけまわして、火を止めて蓋をして蒸らせば完成。お麩が出汁をたっぷり吸い込んでふくらむので意外と満足感があります。

たまご麩

 たまご麩は見た目は小町麩で、色が黄色です。原材料を見ると卵の記載はなく、クチナシ色素で色をつけてあるようです。味噌汁に入れてしまうと色が目立たないので、水で戻してしぼったのを酢の物やサラダにするのが良さそうです。



 だんだんお麩マニアみたいになってまいりました。お麩は地域によって好まれる形が違って面白いし、今後も注目していきたいと思います。

タグ:食材

冬瓜は大きく分けると二種類あるって知ってた?

 みなさん、そもそも冬瓜(とうがん)という野菜を知っていますか?
 スーパーや八百屋さんでごく普通に売られているので見た事はあると思いますが、食べた事ないよって人は多いかもしれませんね。


http://www.chinjuh.mydns.jp/hakubutu/kuirejo/togan_b.htm#01
↑写真は珍獣の食卓からの転載です。

 今、日本全国のスーパーで売られているのは、上の写真のような冬瓜が普通だと思います。皮が緑色でツルッとしているのが特徴です。大きいので二分の一か四分の一にカットされてることが多いみたいです。

 実はこの緑色の冬瓜は、琉球系(沖縄系)の品種らしいんです。らしい、とか書くと「またまた珍獣様テキトーなこと言って」って感じですけど、食材図鑑など読むとそう書いてあるので本当だと思います(笑)

 琉球系があるなら、本州在来品種はどんな色や形をしてるかっていうと、それは下の写真のようなものです。
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 どうです? 琉球品種とぜーんぜん違うでしょう。皮が白っぽく粉をふいた感じです。本州系の品種といっても地方ごとにいろいろあって、形や大きさには違いがあると思いますが、おおむねみんな白っぽく粉をふいた感じになるみたいですよ。

 ちなみに写真のものは埼玉県産で8月の末ごろにみつけたものです。丸ごと買うと1000円とのこと。量を考えたら案外リーズナブルなお値段でした。

 次に下の写真を見てください。
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 これはなんでしょう。

 はい、種子(たね)ですね。何の種子かっていうと、どちらも冬瓜の種子なんです。左が琉球品種の種で、右が本州在来品種のものです。

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▲これが琉球品種の種子で、

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▲こっちが本州在来品種の種子です。

 種子の形からして、こーんなに違うんですね。どちらも調理しながら自分でとったものですが、ここまで違うと思ってなかったので少し驚きました。


 ちなみに、これは豆知識ですが、冬瓜の旬は夏です。冬の瓜と書くのに、夏野菜なんです。

 じゃあ、なんで冬の瓜なのかっていうと、夏に収穫したのを冬まで保存しておけるから、だそうです。

 温室栽培も冷蔵庫もなかった時代には、真冬に食べられる野菜が限られていたと思います。冬でも食べられる代表的な野菜だったんでしょうね。

タグ:食材 植物

おやつ:八ッ橋

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▲聖護院八ッ橋

 京都で八ッ橋を買ってきました。写真は聖護院の八ッ橋ですが、これの他に聖護院の生八ッ橋、井筒の益壽糖も買ってきたんですけどね。

 それでふと、昔こんなことを書いたのを思い出しました。

 八つ橋は、お琴の大家である八橋検校にちなんで琴の形に作ったお菓子だと、わたしは中学の音楽の授業で習いました。八橋検校を習うついでに「お菓子の八つ橋は……」という具合に習ったのです。

 しかし、わたしが食べたことのある八つ橋は、四角い生地にあんこを入れて三角に折ったやつで、どこをどう見たらお琴の形なのか、長年謎でした。

 先日、知人が大阪出張のおみやげだといって、八つ橋をくれたのですが、

「俺はどっちかっていうと生八つ橋より焼いたのが好きだ」

というのです。

 あ、そうか。わたしが食べてる三角のヤツは、生八つ橋だったのか! いや、確かに、誰に聞いても「生八つ橋」と言ってたような記憶がある。そうだ、生なのだ。生だとあえて言ってるからには、生じゃないのがあるのは当然じゃないか。

 というわけでメーカーのサイトに行ってみた。

http://www.yatsuhashi.co.jp/

 がーん!!

 焼いたのは、まるで形状が違うじゃないかー!

 焼いたのなら琴の形をしてますね。

 音楽のN先生、いまごろ気づいたダメな生徒を許してください。

# しかも、正しい「なま八つ橋」は三角じゃなくて、短冊形なのね(八つ橋を焼く前の形だから)。わたしが知ってる三角のは、生八つ橋の中でも「夕子」と呼ばれる別のものなのか……二重に間違っていたとは!*1

http://d.hatena.ne.jp/chinjuh/20081226#p2

 この記事には面白いコメントをたくさんいただきました。みなさんの情報によると、

・八ッ橋というお菓子は複数の和菓子屋で製造されている。
・聖護院と井筒は八橋検校にちなむ
・西尾は伊勢物語のかきつばたの歌で有名な三河国の八橋にちなむ*2

ってことらしいです。

 その後さらに調べてみると、三河国の八橋は「橋のない川で子供を亡くした母親が、仏様のお告げにより八つの板で橋をかけたのが始まり」だそうです。へーへーへー。

 ついでだからお琴起源と、橋(かきつばた)起源と、どっちが古いのか調べてみました。

・聖護院:八橋検校が亡くなった4年後の1689年に八ッ橋を作った
・井筒:1805年創業(意外と新しい)
・西尾:1689年、子を亡くした母がかけたという三河国八橋の伝説にちなんで作った

という感じで、メーカーさんの主張を聞くかぎりでは、お琴起源・橋起源どちらも同じ頃に誕生してるらしいです。


 それで、八橋検校のお琴にちなんだ聖護院の八ッ橋ですが、最初の写真をもう一回見てください。
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 あら?
 なぜかカキツバタと八つの橋が書いてある??

 世の中っていろいろ難しいんですね。
 もうわたくしにはさっぱりわかりませんわ。

八ッ橋メーカーリンク集

◎聖護院
http://www.shogoin.co.jp/

◎井筒
http://www.yatsuhashi.co.jp/

◎西尾
http://www.8284.co.jp/

◎おたべ
http://www.otabe.co.jp/

*1:三角で中にあんこが入っているお菓子も複数のメーカーが作っている。井筒は「夕子」、聖護院は「聖」、西尾は「あんなま」、あと名前だけはすごく有名な株式会社おたべの「おたべ」など。
*2:八橋というところに咲くカキツバタを見て、各句の頭にかきつばたを一文字ずつ順にいれて「から衣 きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞおもふ」と詠む話が伊勢物語にある。各地の菖蒲園・あやめ園・かきつばた園に八ッ橋と呼ばれる板橋があるのはこの話にちなむ。

タグ:おやつ 伝説

コメント一覧

一円 (12/07 09:57) 編集・削除

 ご無沙汰です。1年ほど前ツイッターからログアウトしてしまって、パスが判らないまま放置になっています。ここにお邪魔するのも久々です。

 確か聖護院だと思いましたが東京の営業所が品川(京急の新馬場駅そば)にあります。ここでは袋詰めなどもやっていたようで、表に「壊れ菓子あります」の札。安く買いたいならここに行くと良いでしょう。と言いつつ一度も買ったことがありません。
 ただ、ここを通ったのはもう30年も前のこと。今でも営業所があるのかどうかすら不明で、情報の古さはもう救いようが無いですね(笑)。今度五反田の古書展に行く時に、新馬場から電車に乗るように経路を変更して、確認してみます。

 ららむーさんは、有名な店なのに近所以外にはほとんど知られていない地方営業所を見つけたことはありますか?

珍獣ららむ〜 (12/08 00:23) 編集・削除

ご無沙汰してますー。
聖護院は公式サイトを見ると今でも品川に営業所があるみたいですよ。
焼き八ッ橋にはあまり興味がなかったですが、食べ比べてみると肉桂の効き方が各社で違ったりして面白いですね。

地方の名物なのに全然関係ないところに営業所があって……というのを通りがかりに見つけたことは、あるような気もしますが、いざ考えると思い出せないもんですね。

でも、地方の銘菓のたぐいは意外と東京工場を持ってる会社が多いですよ。さすがに地元で買うと地元産なのかもしれないけど、高速のサービスエリアにあるのなんか、製造元情報を見ると涙目になったりします。東京駅あたりで買えるものもそういうの多いかもしれないです。

石巻のカキ小屋で焼きガキを食べてきたよ

 萬画館が復活したっていうので、ともだちと車で石巻へすっとんで行き、ついでに牡蠣を食べてきました。

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▲これが石巻のカキ小屋渡波(わたのは)です。ココストアというコンビニ?のとなりにあって、こんなテントの中で牡蠣を焼いて食べるんですよ。 # もっと引いたとこから写せばよかったんですが、出る時に改めて写そうと思ったら雨が降りはじめちゃったのであきらめました。

 このあたりはカキ(牡蠣)の産地ですが、これまで石巻にはカキ小屋はなくて、震災後に作ったんだそうです。

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▲これが石巻産のカキです。津波のあとに養殖されたものなので一年ものでまだ小さいです。値段は時価かもしれないですけど、わたしが食べた時は 8個+おまけ2個で1000円でした。

 ほかに焼くための炭300円と、貝殻をあけるためのカキナイフ100円を購入して、自分で焼いて食べます。ビールやおにぎりも売ってました。焼き方はお店の人がおしえてくれます。

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▲おいしく焼けた石巻産のカキです。こぶりだけどうま味が濃厚ですぞ!

 焼きガキって意外と美味しいですね。カキフライなんかとは全然ちがう海のうま味がざっぶーんと押しよせてくる感じです。

 そんでもって絶妙にビールとあうんですよ。焼きガキがこんなにビールと相性がいいなんて知らなかったです。カキウマー、ビールウマー!

 ただ、さすがに一年ものだと小さくて、ちょっとさみしいなーと思ったので、よそでとれたカキも買ってみました。

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▲左の小さいのが石巻産の一年もの、右の大きいのがどこだか産のカキで10個1000円でした。産地は伏せてるんじゃなくて素で忘れました。

 こーんな大きなカキだったらさぞ食べでがあるだろうなーと思ったら…

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▲中身はこんな小さくて爆笑でした。石巻産のほうが断然美味しかったですー。


◎かき小屋渡波(わたのは)・かき小屋仙台港
http://kakigoya.jp/
 わたしたちは開店直後の11時過ぎに入りました。その時点ではガラガラだったんですけど、お昼に近付くにつれお客さんがわんさか来てましたよ。予約はできないそうですから、昼時をはずしたほうがいいかもしれませんね。

 場所は、JR渡波駅から県道2号線をサンファンパークのほうへちょっと行ったとこ。橋をわたってすぐ、ココストアのとなりです。

タグ:東北

伊豆稲取のチャーハンは変わっている?!:肉チャーハン

 伊豆・稲取あたりを歩くと、町に「変わったチャーハン」などと看板が出ています。その看板を出しているのは「ふるさと」という中華料理店(片瀬白田駅の近くにある)です。

 その店だけで出すチャーハンだったら、どんなに変わってたってただの色物です。ところが、稲取周辺のあっちこっちの店で、その変わったチャーハンなるものを出すらしいのですよね。

 すでに観光の目玉になっているらしく、チャーハンめぐり用の地図まであったりします。どこか入ってみようと思い、何軒かたずねあるいたのですが、おとずれたのが火曜日でお休みだったり、夜からのお店だったり、盆休みをずらしてとってたりなどで、あいてる手ごろなお店が稲取の「浜っ子」でした。

 浜っ子は普通の中華料理店です。普通の、といっても関東だと「昭和の香りがする」などと言われそうな昔よくあったタイプの中華料理店ですね。

 こういう店に駐車場があるかなあと不安でしたが、店の前にけっこう広い駐車場がありました。有名なお店らしく、夏は海水浴がてら遠くから食べに来る人が沢山いるみたい。止まってる車のナンバーを見ると、関東だったり中部地方だったりいろいろです。

 店の中もたいへんな賑わいです。テーブル席も座敷も埋まっているのでカウンターに陣取りました。昔ながらの中華料理店ですから、カウンターに座ると厨房がすっかり見えます。

 料理人の服を着ているのは旦那さんですが、手伝いに来ただけよというオーラをだしつつ厨房をしきっているのはおかみさんでした。普通の中華料理店なのでメニューにはラーメンなどもあったよな気がしますが、来る人が注文するのは圧倒的にチャーハンです。おかみさんは細腕というにはたくましい腕で中華鍋をふるいつつ、大ざっぱ豪快にチャーハンをしあげていきます。料理人の服を来た旦那さんのほうは、おかみさんの迫力に手を出せず、おはこびにまわるなどしている様子。

 同行したおともだちは、それを見てしきりに面白いを連発。でもお店では旦那さん大人気で、お客さんから「おやっさん、今年も来たよ」などと言われていました。

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▲これが変わったチャーハンだ! 浜っ子の肉チャーハン 850円。

 変わったチャーハンは、正式には「肉チャーハン」と呼ばれています。ご飯部分は普通のチャーハンで、上にキャベツと肉を炒めてとろみをつけたあんをかけてあります。関東だと「あんかけチャーハン」という名前で似たようなものを出してるお店はあるかもしれません。

 味はですね、見たまんまだと思います。もちろん美味しいですが想像通りの味ですねー。町の中華屋さんで出してるものだからそれでいいんですよ。町で普通に食べられているものがよそから見ると変わっているというのが面白い。量がかなりありましたがぺろりとたいらげました。ごちそうさま!

 なんでも、肉チャーハンの元祖は稲取の「かっぱ」という店らしいです。そこで修業したお弟子さんなどがあちこちで開業してこの地方の名物になったとか。そういえば、ネットで検索してみると、浜っ子も ふるさと も、お皿のデザインがそっくり。店の感じも似てるみたい。

http://gourmet.inatorionsen.com/
 こんなサイトをみつけました。稲取温泉観光協会がやってるブログらしいです。カテゴリーの肉チャーハンを見ると、浜っ子やかっぱのことが書いてありました。

 地元で配られてる肉チャーハンマップにはもっと沢山お店が掲載されてたような気もしますから、けっこういろんな店で食べられるんじゃないでしょうか、肉チャーハン。次に行くことがあったら別のお店にも入ってみたいなー。

 東京の浅草に稲取のアンテナショップがあるって書いてありますね。調べると2009年末くらいに開業したらしいですが、今もあるのかなあ。
http://event.inatorionsen.com/tag/this%E3%80%80%E4%BC%8A%E8%B1%86%E3%80%80%E7%A8%B2%E5%8F%96%E3%82%84/
↑住所で検索すると、google map のストリートビューには、まだ稲取やがあるのですが、地図そのものには京丹後やという店名が書いてあります。その京丹後やも、2010年まではやってたようですが、その後どうなったかはネット情報ではわからないですね。

 浅草なら遠くないので行ってみようと思ってたんですが、仮にあっても京丹後は稲取となんの関係もなさそうだし、なんだか残念です。そのうちチャンスがあったら前まで行ってどうなってるか確認してきますけど。

タグ:伊豆 郷土料理