記事一覧

七草粥(動画あり) #料理 #レシピ

 去年からいじってる新しいブログを今日こそ公開しようと思い、記事を書いて、よし、twitterにも流しちゃる、と思ったところで表示崩れに気づく。表示上の問題だけ(だと思う)ので公開しちゃってもよかったかもしれないですが、今日はとりあえずここ使います。はあ…



 1月7日なので七草粥。海外向けにあやしげな英語字幕入りの動画も作ってみたよ。

材料(2人前くらい)
 七草 お好みで好きなだけどうぞ
 米 50ml
 水 350〜400ml
 塩 少々

作り方
1. 鍋に分量の米と水を入れ、火にかけ、沸騰したら蓋をして弱火で30分くらい煮る。吹きこぼれないように注意する。
2. 七草を洗って刻む。歌もうたうこと(笑)
3. 1が30分たったら、蓋をあけて塩少々と、2の七草を加える。
4. 蓋をして弱火で5分蒸らしてから、ざっくり混ぜれば完成。

七草の歌
 ななくさ なずな 唐土の鳥が
 日本の国に 渡らぬ先に
 ストトントン トン


 歌まで歌って動画を作ってみたものの、実はうちでは七草の歌をうたったりしなかったです。ゆえにメロディーも昔どこかで耳にしたのをうろ覚えです。

 実は七草粥を毎年食べる習慣もうちにはなかったです。祖母が草むしりの時に
「これがナズナ。七草粥に入れるんだよ」
と教えてくれたことがありますが、お粥に入れてるのは見た事がないです。

 祖母が鎌で地面からけずりとってくれたナズナのロゼットは、不思議といい香りがしたのを覚えています。その時のことを思い出すと、ナズナをもてあそぶ自分の手が、まだ小さくて瑞々しい子どもの手だったのを鮮明に思い出すのでした。

なぜ七草を食べるのか、唐土の鳥とはなんなのか?

 twitterで、唐土の鳥が中国の伝説と関係があるのではないかと教えてもらったので、いくつか古典をあたりました。さきほどこれについて頑張っていろいろ書いたのですが、送信する前に Firefoxがハングして全部消えやがったんですよ!

 幸いにも本から抜き書きしたものはブログの入力欄ではなく、テキストファイルに保存してあったので、ごく簡単に結論のみまとめて、巻末に抜き書きをどっさりつけますので、読みたい人は読んでください。

1. 正月七日に七草を食べる風習は、六世紀中国の、揚子江中流域ですでに行われていた(荊楚歳時記)。

2. 正月七日に鬼車鳥あるいは姑獲と呼ばれる鳥が飛来して幼児に害をなすため、床や戸を叩き、犬を吠えさせ、あかりを消すなどして追い払うという風習も、六世紀中国に存在している(荊楚歳時記)。

3. 江戸時代中期の『和漢三才図会』には、2の伝説が記録されているが、七草に関する説明はない。

4. ゆえに、もともと関連のなかった1と2が、日本に伝わり幕末あたりでごっちゃになり、七草を爼の上で叩いて、唐土の鳥を追っ払うようになったのではないか。「唐土鳥日本の鳥渡らぬ先に」と唱えるのも幕末から(嬉遊笑覧)。

# 唐土の鳥については、古今の文献で『荊楚歳時記』にある鬼車鳥説をあげていますが、幕末の『三養雜記』に、根拠としてあげるほどのものではないが、と前置きしながら「七草册子といふものに、須彌の南にはくが鳥といふ鳥あり、かの鳥の長生をすること八千年なり、此鳥春のはじめ毎に、七色の草をあつめてふくするゆゑに長生をするなり」という長寿の鳥説があげられているようです(『故事類苑』より孫引き…いやひ孫引きか?)

# 「唐土の鳥が日本の国に」と歌うのは西日本で、関東では「唐土の鳥、日本の鳥」という話が『古今要覽稿』にあるらしい(『故事類苑』より)

# 「唐土の鳥と、日本の鳥と、渡らぬ先に、七草なずな、手に摘み入れて、あみぼし・とろき・ひつき・ちりこ」という形の歌は『桐火桶』という本に出てくる。藤原定家が書いたとされているので、それが本当ならば(本当かどうかは不明)、十二世紀には七草の歌の原型があったことになる。

資料(抜き書き)は長いのでここをクリック

タグ:郷土料理

コメント一覧

Sari (01/08 01:23) 編集・削除

こんにちは、Sariです。

七草粥の日ですね。

中部か関西の方のブログに七草の歌について書いてありました。
七草の風習は一晩中音を立てて七草を刻んで
夜の間に大陸から飛んでくる渡り鳥を追い払い、
渡り鳥が運ぶ悪霊を払うというのが目的だそうです。
(今時は鳥インフルですね)

刻むときの唄(おまじない)が、ご紹介なさった
♪~唐土の鳥が、日本の土地へ、渡らぬ先に・・・♪~

実際にうたいながら刻むという行事が実際に残っているところがまだあるんですね。
粥じゃない料理に加えてもいいのかも。
gabotyan

珍獣ららむ〜 (01/08 08:17) 編集・削除

こんにちは。
なるほど、鳥が悪霊を運ぶと信じられてるかもしれないんですね。

そういえば古代から、鳥が人の魂を運んであの世に連れていくなんて思われてたと聞いた事があります。
ヤマトタケルが白鳥になった逸話もそうですが、
伊勢物語の「ゆく蛍雲の上までいぬべくは秋風吹くと雁に告げこせ」なんてのも、あの人の魂を連れ戻すように渡り鳥に伝えておくれという意味だと、昔なんかの新聞記事で読みました。
gabotyan

たっぷ (01/08 09:36) 編集・削除

三重地方(鳥羽?)には、「海藻の七草粥」が有るそうです。伝統の海藻七草粥…と聞きましたが、どのくらいの伝統かは分かりませんでした。
gabotyan

珍獣ららむ〜 (01/08 11:30) 編集・削除

海の七草ですか!
http://www.nhk.or.jp/tsu/lnews/3073919201.html?t=
これのことかな。
この書きっぷりだとけっこう昔からありそう?
gabotyan

珍獣ららむ〜 (01/08 11:47) 編集・削除

twitterで、1月7日に来る鳥は鬼車鳥(うぶめ)で、中国の伝説と風習がもとなんじゃないかって教えてもらった。
http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/5860068.shtml
この↑ページのソースはあくまで日本の随筆なので、中国の古典にどう書いてあるか調べる必要はある。

ちなみに、『和漢三才図会』(これは江戸時代に作られた日本の百科事典)の姑獲鳥(うぶめ)は今読んだ。『本草綱目』(これは昔の中国の薬学書)からの引用があったけど、1月7日と結びつける記述はなかった。東洋文庫の口語訳で確認。
gabotyan

#食材 ミニトマトいろいろ(動画あり)



 こんなの写真でいいのになぜ動画(笑)

 いや、youtubeも知らない機能が増えてよくわかんなくなりつつあるので、練習もかねて動画にしてみたわけですよ。字幕をつける機能がけっこう良くできてて、使い慣れると面白いかもです。自動文字起こしとかもしてくれる(メチャクチャな漢字変換になるので修正は必須ですが)。

 字幕は、動画にカーソルをのせると下のほうに再生ボタンその他もろもろが出るので、日本語字幕だったら「字幕」ってとこクリックすれば出てきますが、別の言語に変えたい場合は「設定」ってとこさわると言語を選べます。英語字幕をつけたのかっ、と思いきや、手がすべってエスペラント訳をつけてしまったという、もはや社会復帰不能なまでに役にたたないものを作ってしまいました。あーっはっは。

 それはともかくミニトマト。緑のとか、最初は未熟なのかと思ったんですが、食べるとそれなりに甘いし、食感的には熟してるんですよ。おもしろーい。

 黒っぽいの(紫っぽいの)も変わってる。黒いのだけだといまいちテンションが上がりませんが、全色まぜこぜにしてサラダにしたら楽しそう。

 ってなこと言いながら、うっかりこのまま食べてしまいました。サラダにして写真とってからにすればよかった!

タグ:食材

アズキでもピンデトッのようなお焼きは作れないのか?!

 前の記事の続きです。とうとうアズキで実験する瞬間がやってまいりました。

 この記事からいきなり見た人のために改めて説明します。

 韓国料理にピンデトッというものがあります。リョクトウ(緑豆)を水でふやかして、皮をむいてから、ペーストにして、野菜やキムチをまぜて焼いたものです。繋ぎに小麦粉を入れる人もいますが、リョクトウだけでちゃんと固まります。

 また、インドにはパーパドという煎餅のようなものもあります。ウラッド豆という、リョクトウやアズキの近縁種で作ります。パーパドはつなぎに米粉を入れたりするようですが、豆に含まれている澱粉質(でんぷんしつ)を利用した料理ではあります。

 では、リョクトウやウラッドの近縁種である、アズキ(小豆)はどうでしょうか。アズキも澱粉質が豊富なはずです。だってほら、アンコにするでしょ。煮て柔らかくしたのを、潰すとアンコになるじゃないですか。あれって澱粉の働きじゃないんですかね?

 というわけで、アズキでもお焼きやパンケーキのようなものが作れるんじゃないのと思ったわけです。

アズキの皮は固かった!

 結論から言うと、アズキでもパンケーキやお焼きのようなものが出来るんです。

 作り方は前の記事に書いたのと同じです。興味があるかたはひとつ前の記事を見てください。下までスクロールすると、前に戻るリンクがあると思いますので。

 リョクトウやウラッドは、水でよくふやかして、手でひねるようにもむと皮がむけました。

 ところがアズキはっていうと、想像より皮がしっかりしてまして、このやり方じゃうまく皮がむけないんです。

 水をとりかえながら二日くらい浸してみました。よく水を吸って豆は大きくなるのですが、手でもんでも皮に裂け目ができません。かなり頑張りましたがダメです。
 
 なんと、このような落とし穴があるとは!

 おかしいなとは思ってたんですよね。だって韓国にはリョクトウでお焼きを作る文化があるわけじゃないですか。もしアズキでできるんなら、日本にだってアズキのお焼きがあってもよさそうだって思ったんです。

 それがない理由のひとつに、皮を剥きにくいってのがあるのかもしれないです。

 でも、皮むかないとダメですかね。この際むかずにやってみたらどうかなあと。

ファイル 1845-1.jpeg
▲水でふやかしたアズキをミキサーでペーストにしたもの(つなぎは一切いれてない)

 皮ごとミキサーで撹拌してみたら、ちゃんとペーストになりました。うっすら小豆色になるのもいい感じです。

 昔だとすりつぶす作業に石臼を使うでしょうから、たぶん皮までペーストにするのは難しいですよね。リョクトウなど作る際に皮をむくのはそのせいかなって思います。

ファイル 1845-2.jpeg
▲焼いてみる

 アズキはリョクトウで作るより生地がモッタリするみたい。同量の水だとこんな分厚くなってしまう。もっと水入れてよさそう。

ファイル 1845-3.jpeg
▲焼き上がりました(しつこく主張しますがアズキ100%です)

 皮ごとペーストにしてもちゃんと固まります。つなぎは入ってません。アズキのみです。

 食べてみると、いくらか皮の食感がありますが、とくに問題はないです。アズキでもパンケーキや韓国料理のピンデトッのようなものがちゃんとできるということがわかりました。まだやってませんがササゲでも作れるかもしれません。

 ただね、皮ごとやっちゃうと、後味が少しだけイガイガするというか、渋いような気がしました。気のせいかもしれないですけどね。




 というわけで、リョクトウ、ウラッド、アズキでパンケーキかお焼きのようなものを作る実験でした。これらの豆には澱粉質が多く含まれているので、ペースト状にして焼けば、つなぎをまったく入れなくてもパンケーキみたいなものになります!
ファイル 1845-4.jpg

タグ:食材

緑豆やウラッド豆で作ったパンケーキ

 前の記事ではリョクトウ(緑豆)・ウラッド・アズキ(小豆)・ササゲという四種類の豆を紹介しました。それぞれマメ科の Vigra属に分類されている近い植物だってことを説明しました。

 そんでもって、ウラッドやリョクトウは、豆なのに澱粉質(でんぷんしつ)が豊富で、ペーストにして焼くと小麦粉のように固まるって話をしました。

 というわけで実験です。いや、リョクトウのお焼きは伝統的な韓国料理なので、実験というより調理実習かもしれませんけど。

リョクトウやウラッドで作るパンケーキ(お焼き)、レシピ

【材料】(5枚分くらい)
 リョクトウ、またはウラッド豆……1/4カップ(50ml)
 水……50mlを目安にして好みの濃度になるまで加える
 塩……少々
 ネギ、ニンジンなど、好みの野菜……少々

 道具として、ミキサーを使います。ホームセンターで3000円くらいで売られてるミキサーで十分です。


【作り方】
ファイル 1844-1.jpeg
▲クリックで少し大きな絵が開くと思います

1. リョクトウまたはウラッド豆を、カップではかる。ボウルにたっぷりの水(分量外)とともに入れてふやかす。

 韓国料理の本などを見ると、6時間ひたせばよいと書いてあるのですが、豆の状態や、季節などによっては、6時間ではふやけないので、丸1日ないし、2日ひたすつもりでやったほうがいいです。2日もひたす時は途中で何度か水をかえて、腐敗しないように注意。
ファイル 1844-2.jpeg
▲リョクトウをふやかしているところ。


2. 豆がふやけたら、豆を手で握ってひねり、豆同士がこすれ合うようにすると、皮が剥ける。皮と豆は一緒にボウルの水に放っておく。

 本には両手でこすり合わせるとか書いてあるんですが、両手でやっちゃうと色々大変なので、わたしは片手でにぎってはひねり水に放つってのを繰り返してます。かなり強引にやっていいです。少しくらいなら、豆が潰れてもあまり気にしないこと。皮は全て剥かなくても、8割くらい剥けてれば問題ないです。

 ちなみに、ウラッドはインド食材店でチルカといって挽き割りにしたものも売られています。挽き割りの豆でも同じように水に浸して皮を剥きます。

 挽き割りにしてあったほうが簡単に剥けるので、お焼きにするなら割ってある豆を買ったほうが簡単です。


3. 豆と皮が一緒に入っているボウルの水を、ぐるっとかき回す。軽い皮が浮いて水中で舞うので、舞っている間に水を捨てると皮も一緒に流れていく。水を加え、またかきまわし……と何度か繰り返すと、最後に豆だけ水の中に残る。
ファイル 1844-3.jpeg
▲あらかた皮を取り除いたところ。この写真で使ってる豆はウラッドです。リョクトウも同じです。色がついてるのは皮だけで、中は白いんですよ。

4. 豆をザルにあけて水をきる。

5. 水をきった豆をミキサーに入れ、分量の水(基本の50ml)を加え、ミキサーのスイッチオン。様子を見ながらなめらかになるまで撹拌する。

 ミキサーは、連続で何十秒以上まわしたら壊れる機械もあるので、止めては回し、止めては回しって何度かやってください。
ファイル 1844-4.jpeg
▲撹拌中のリョクトウ。朝ご飯代わりに適当に作ってるので後ろに飲みかけのお茶が(笑)片づけてないのではさみも転がっているしー。


 ここまでで生地はできあがりました。
 次は焼きますよ。

6. 生地に塩を少々くわえて混ぜる。50mlの水だとかなりもったりした生地になると思うのですが、ここではそのままで。

 塩は、ほんの少し入れると味が落ち着くので入れますが、入ってなくてもべつにいいです。食べるときに醤油かなんかつければいいんですから(笑)

7. ネギをみじん切りにする。ニンジンは細い千切りにする。

8. フライパンを熱して油をひく。6の生地をおたまでフライパンに落とす。7のネギとニンジンを少量生地にのせる。おたまでちょっとおさえておけば生地にくっつく。

9. 火を弱めて数分焼いてから、野菜も一緒にひっくり返して焼く。

 これで完成です。

ファイル 1844-5.jpeg
▲写真はウラッドで焼いたもの。リョクトウでもまったく同じにできます。

 材料は完全に豆だけです。つなぎになるようなものは一切入れませんでした。それでもしっかりパンケーキのように焼けるのでちょっと驚きです。

 豆50mlに水50mlだと、かなりもったりした生地になり、薄く伸ばすのが難しく、本当にパンケーキのように厚めになると思います。

 もう少し水を加え、薄く焼いても美味しいと思います。ただ、生地が緩くなると焼くのは少し難しくなります。弱火でじっくり火を通すのがコツかな。

韓国料理のピンデトッ

 最初のほうで書きましたが、このやり方で作ったパンケーキのようなものは、韓国の伝統料理だそうです。ピンデトッ あるいは ノクトゥジョン と言うそうです。今回は実験なので省略しましたが、本場ではキムチを混ぜるそうですからやってみてください。

ピンデトッ 빈대떡
ノクトゥジョン 녹두전
ノクトゥチヂム 녹두지짐

 チヂミ(チヂム)やジョンはお焼きのこと。ノクトゥは緑豆です。もとが中国語の単語は日本語と発音が似てます。

 ピンデトッは、トッ 떡 の部分が餅のことです。トックと表記されてることが多いです。ピンデ 빈대 は諸説あるみたいなんですが、もとは中国語で餅子(ピンジャ)と呼ばれてたのが訛ったんじゃないかって話です。

 ピンデ 빈대 という単語はトコジラミ(南京虫)のことで、貧乏人の意味もあるとか。お祭りでピンデトッの上に肉料理を盛り、肉だけ食べて、残ったピンデトッは物乞いにほどこしたからだって話もあるらしいです。

インド料理のパーパド

 インドにはウラッドで作った煎餅のようなものがあります。インド料理店でパーパド(パパド)と言って売ってるのがそうなんですが、必ずしも豆で作られたものばかりではなく、米粉だったり、豆と米粉を混ぜたものだったりするようです。

 インド料理店で出てくるパーパドは、とても薄くて、パリパリしている、本当におせんべいのようなものですが、この記事に書いたやり方だと、パリパリしたものは作れず、せいぜいクレープのようにやわらかいものしかできないと思います。

 パリパリにするには、繋ぎに米粉かなにか入れてこねたあと、薄くのばして、日に干して乾かしてから、焼くか揚げるかするんだと思います。

パーパド पापड

 外国語の料理名は、本だとただ「へー」で終わっちゃうんですが、ネットの場合はですね、コピーして検索エンジンのキーワード入れるところにペーストして、検索ボタンをポチッとおしてごらんなさい。外国の美味しいものがいっぱい見られますよ。




 さて、ここで終わったら実験じゃないんです。リョクトウやウラッドでできるなら、その近縁種のアズキだってパンケーキの生地にできるんじゃないの、っていうのが発想の原点ですから、次の記事ではアズキで焼いてみます。

タグ:食材 民族料理

めくるめくマメ科の世界:アズキ、緑豆、ウラッド、ササゲ

 ダイヤモンド富士の話はちょっとお休みです。天気も悪いし、富士山が確実に見えて、なおかつわたしが簡単に行ける場所で、夕日がダイヤモンドになるタイミングが12月の中旬までないので。

 今日の話題は食材です。アズキの仲間の豆について書こうと思います。まあ、文章長いのでウザかったら写真だけどうぞ。ここに貼った豆は、すべて マメ科のVigna属に分類されてます。

アズキ・リョクトウ・ウラッド

ファイル 1843-1.jpeg
ファイル 1843-2.jpeg
▲左:アズキ(小豆)、中:リョクトウ(緑豆)、右:ウラッド

 この三種類の豆は、みんな マメ科 Vigna属の近い仲間です。アズキは日本であんこにする豆で、緑豆は中国や韓国でよく使います。ウラッドはインドあたりでよく使うみたいです。

アズキ 学名:Vigna angularis
リョクトウ 学名:Vigna radiata
ウラッド 学名:Vigna mungo

 学名の決まりはですね、1語目の Vigna が属名になります。2語目を小種名といいます。

 これら三つの豆は Vigna 属という同じグループに属している仲間です。しかし、2語目の小種名がそれぞれ違うので種(しゅ)が違う、別種(べっしゅ)ということになります。

 属の上には科という大きなグループがあり、種の下には変種や亜種や品種という小さなグループがあります。

 植物も動物もそうですが、分類は住所のようなものです。田中さんは東京都葛飾区に住んでいて、鈴木さんは東京都足立区に住んでるとします。

 田中さんと鈴木さんは、東京都民という同じグループに属していますが、その中でさらに葛飾区に住んでる人と、足立区に住んでる人という、それぞれ別のグループに分けられるというわけ。

 さらに下を見れば、葛飾区・足立区の中でもどこに住んでるとか、東京都民と群馬県民は同じ日本という国に住んでいるとか、住所だとイメージわきますよね。

 動植物の分類も同じです。目・科・属・種・変種(亜種・品種)の順にグループが小さくなっていきます。地球・国・県・市区町村・町みたいなもんですね。

 こういう理屈がわかると気持ちがいいし、学名に興味がわくでしょ。

 ちなみに、動物も植物も、研究が進むと分類が変わることもあるんです。たとえばアズキですが、昔はリョクトウの同種でちょっと違う変種だと考えられていました。つまり、昔のアズキの学名は、 Vigna radiata var.ナントカカントカ…だったこともあるわけです。

 同じ分類体系、同じ時代で見ると、学名はひとつしかないのですが「別の学者はこう言ってる」とか「かつてはこうでした」みたいな理由で、学名が複数ある場合があります。そういうのをシノニム synonym と言います。同義語とか別名とかのことですね。

 シノニム(別名)が存在してるってこともちょっぴり頭に入れておくと、学名でアレってなった時に霧が晴れるかもしれません。


ファイル 1843-3.jpg
▲上からアズキ、リョクトウ、ウラッド

 値段は(大ざっぱにしか覚えてませんが)ウラッドが1kgで500円しなくて安いです。リョクトウは500gくらいで300円とか。アズキが一番高くて300gで400〜500円くらいします(しかも特別等級が高い品物とかではない)。

 リョクトウは、緑豆春雨などの形で日本でも使われてますが、ウラッドは耳慣れないかもしれません。インド・ネパールあたりではよく使うらしくて、カレーに入れたりパーパドという煎餅の生地に使います。

ヒンディー語 उड़द ウラッド
マラティ語 उडीद ウディーダ
サンスクリット माषः マーシャハ
ネパール語 मास マーサ

 ってな感じで、各地で別の呼び方されてるらしいです。ウラッド意外は各言語のウィキペディアから拾ってきました。わたしゃデーバナーガリー文字しか読み方を知らないので、タミル語など別の文字を使う地域だとまた別の呼び方があるかもです。

オマケ:アズキとササゲの違い

 日本には、アズキによく似た豆で、ササゲっていうのがありますよね。両方とも赤飯に入れます。

 アズキは煮ると割れてしまうので縁起が悪いと言う地域もあるそうなので、赤飯にはササゲでしょっていう人もいるかもしれません。
ファイル 1843-4.jpeg
▲これがササゲ。

 ササゲもマメ科 Vigna属 の仲間なので、最初に紹介した三種類と並べて撮影すればよかったんですが、わたしは最近まで勘違いしてて、これだけ Phaseolus属(インゲンマメなど)の仲間だと思ってました。そう書いてある本もあるしね。

 実は、ササゲもアズキも、昔はインゲンマメの一種として分類されてたらしいですよ。ササゲもアズキも Vigna属に分類しなおされてて、ササゲの学名は Vigna unguiculata だそうです。ほほう(書いてるわたしが感心したりして)。

ファイル 1843-5.jpg
▲左:ササゲ、右:アズキ

 ササゲとアズキは、何がどう違うかっていうと、ササゲのほうは平たくて、アズキのほうが丸いですね。

 あと、白いヘソの部分。ここがササゲだと少し黒ずんでるんですが、アズキは真っ白です。

 煮たときに腹が割れるのがアズキ、割れないのがササゲです。

 それと、もしかするとササゲのほうが色の濃い煮汁ができるかもしれないです。

 というのも、スーパーなどで出来合いの赤飯を買うと、入ってる豆はあきらかにアズキなのに。成分に「ササゲ煮汁」って書いてあることがあるから。豆そのものではなく煮汁をあえて使うってことは、発色の問題なんじゃないかと思うんです。↓そのことに気づいた時のツイート。

昨日、栗赤飯を買ってきて「なにこれ美味しい」っていいながら食べた。食べ終わってから「昔の赤飯はこんなに赤くなかった」と思い原材料を見たら、入ってる豆はアズキだけど、ササゲ豆煮汁で炊いてあったよ。ササゲのほうが発色がいいの?
posted at 06:43:27


 煮汁をとるのに使ったササゲ豆本体はどこで使われてるんでしょうね。激しく謎です。

なぜアズキや緑豆やウラッドに注目しているか?

 なんでこんなことを突然書き始めたか(いや、わたしは常に唐突になんかやりはじめるのでいつものことですがっ)。

 ウラッドをパーパド(パパドと表記されることが多い)という煎餅にすると書きましたよね。インド・ネパール系のカレー屋さんでおつまみとして売られてることがあります。

 ウラッド豆にはアミロース澱粉が多く含まれていて、ペーストにして加熱すると小麦粉のように固まるんです。

 これは、インド食材店でウラッド豆を衝動買いして、買ってから料理法を調べて気づきました。

 ちなみに緑豆も韓国ではペーストにしてチヂミの生地にするんです。どうやらこの仲間の豆は、みんなこういう性質を持っていそうですよ?

 ってことは、日本のアズキもペーストにして焼いたらパンケーキか煎餅みたいになるんじゃないの?!

 ということで、次は実験です(笑) # 更新は明日になるかもしれません。

タグ:食材

コメント一覧

sasagety84 Eメール (11/14 03:23) 編集・削除

gabotyan
ささげについて、伺いたいのでよろしかったらメールください。
私は『ささげ』のグリーンカーテンで温暖化防止に取り組んでいるものです。宜しくお願い致します。

ページ移動