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宮城旅行7:松島や、ああ松島や松島や

 30日の朝になりました。どこかで朝食でもと思ったら、近くに朝からあいてるファミレスがないことに気づきました。まあ、仙台駅のまわりまで行けばマクドナルドか吉野家くらいは開いてるとは思うんですが、それなら慌てて食べる必要もないかなあと。

 今回、執拗なくらいに準備して来ています。もしどこにも泊まれなかったら車中泊するつもりで毛布も積んであるし、飲食店が開いてなくても餓えないようにパンも持ってます。昨日買った笹かまもあるし、パンと笹かまをかじりながら移動しようってことになりました。

 今日は、できれば仙台大観音を見てから出発したかったんですけど、食事する場所がないんじゃ時間が無駄になるので、松島を通って石巻まで一般道を走ることにしました。観音様は時間があったら帰る前に立ち寄るつもりです。

 一般道をとっとこ走っていって、昨日見た塩釜市内を通り抜けて、海沿いをどんどん行くと、突然ハッとするような海の風景が現れます。それが松島です。松島や、ああ松島や松島や…松尾芭蕉の句と言われていますが、芭蕉先生はそんなやったもん勝ちみたいな句は作らないと思う。でも、言葉を失うような美しさであることは間違いないですね。

 どこかに車を停められないかと思った頃に「双観山展望台」の看板がありました。

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▲双観山の展望台からの眺め。実はここよりもっと手前(仙台側)の国道から見た風景のほうが美しいんじゃないかと思うんですが車を止められない。

 展望台にはお食事処もありましたが、朝早いのでまだやっていませんでした。公衆トイレがあるので使ってみましたが、水洗でちゃんと水が出ました。

 すでに観光客が何組かいて、止まっている車のナンバーは、横浜とか、23区とか。なんだ、みんなけっこう来てるんじゃない。双観山には駐車場らしいところが見当たらず、みんな邪魔にならないところに適当に置いてました。

 それからまた車で移動。松島海浜公園の南のはじっこの駐車場に車を停めました。普段は有料らしいのですが、津波でゲートが壊れてしまい、払いたくてもお金を払えません。路駐をするよりはマシなのでみんなここにタダで置いてるみたいです。ここにも車が何台かあって、ナンバーを見るとやっぱり遠くからの観光客です。

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▲JR仙石線の松島海岸駅。東塩釜からこっちはまだ再開してないので電車は来ません。平行して走っている東北本線は動いてるみたいです。東北本線の駅は松島駅といって別の場所にあります。

 画面右端に写っている黒っぽい服の人は「お食事」って書いてある店のお父さんです。喫茶店みたいな店でした。入ってみませんでしたが、これから店を開けるという感じでした。

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▲駅前の舗装が陥没している。

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▲駅前のお土産屋さんと飲食店。閉まってるのは朝の8時半だからだと思います。開店準備をしている店がけっこうありましたよ。

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▲雄島の近くにある黒い塀。白くなってるとこまで津波が来たみたいです。人の背丈よりありますね…

 松島は本当に海際にありますから津波が直撃したんじゃないかと思うんですが、地図を見ると松島の海は湾になっていて、入り口に島があるせいで津波の力が弱まったそうです。

 それでも写真にあるように人の背丈くらいのところに波の跡がありますから大変なことです。雄島(おしま)かかる橋が閉鎖されて渡れませんでした。

 このときはただ危ないから閉鎖されているのかと思ったのですが、あとで google map の航空写真を見たら、雄島にかかっている橋が写っていません。津波で全壊してしまったようです。

 海辺の建物の一階部分が泥水に浸ったそうですが、今はもうすっかり片づけられて、言われなかったらそんな被害があったなんてわからないかもしれません。

 雄島の近くにあるマリンピア松島という水族館が営業を再開していました。

 この日はすでに遊覧船も再開したそうです。島巡りをしたかったですが、石巻まで行かなきゃならないので今回はあきらめました。夏になったら青春18きっぷでこのあたりを回ろうと思っています。

 あ、そういえば、移動中に昨日買った鐘崎の笹かまをかじったのですが、これがあまりにも美味しいので「今まで自分の中でイメージされている笹かまはなんだったんだ」と強い衝撃を受けました。のちほどお土産物についてもあとで詳しく書きます。


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黄色いポイントは展望台
赤いポイントが駐車場
青いポイントが雄島
緑のポイントが松島海岸駅


(宮城旅行8につづく)

タグ:2011年4月宮城旅行

宮城旅行6:仙台駅

(宮城旅行5のつづき)

 鹽竈神社に詣でたら夜になってしまったので仙台市内に戻って夕飯を食べることにしました。

 明るいうちに通った時も思いましたが、仙台の市街地はぱっと見た感じでは普通です。たまにビルの壁を直していたり、古い看板が落ちた跡なんかも、なくはないのですが、東京でやきもきしながら想像していたのよりは、ずーっと普通でした。

 ほとんど被害がないなんて書くと、仙台だってひどく揺れたんだぞ、と地元の方からお叱りを受けるかもしれませんが、東京では東北全体が壊滅したくらいのイメージで受け取られていまして、ビルなんか折れちゃってて、電気もガスも水道もなくて、観光客だなんて言おうものなら石を投げられるんじゃないかと、多少誇張してますが、そのくらいに想像してる人が多いと思います(笑)

 わたしは事前に、マクドナルドの営業状況や、八木山動物園やベニーランドが再開したことを調べていたので、そこまでひどいとは思っていませんでしたが、実際に来てみてこんなに平常通りなのには少し驚きました。

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▲駅前の駐車場。土地勘がないのでともだちの車で来るとここに止めちゃうんですが、ほんとは仙台駅屋上にも駐車場があって、駅ビルで御飯を食べると割引になるらしいんです(写真の駐車場には割引がない)。次のチャンスがあったら屋上駐車場に置こうと思うんですが、高速の休日ETC割引がなくなるんだったらもう車では来ないかも。

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▲駅前通り。いつも通り電気もついてるし、車もびゅんびゅん走ってる。普通だー。

 仙台に来ると、駅の近くにあるハピナ名掛丁(なかけちょう)という大きなアーケード街にあるヤマジョウという牛タン屋さんで御飯を食べるのですが、この日は食材が売り切れたらしく早じまいしていました。店の中にはお客さんがいたので、タッチの差で逃したようです。仕方ない、明日来よう。

 というわけで駅に戻ってきました。エスパルという駅ビルの中にもお店が沢山あるので、どこか適当なところに入ろうと思います。

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▲仙台駅ビル一階。仙台駅も壊滅的被害と聞いていたんですが、駅ビルはフツーですね。お店も営業してましたよ。便所にも入ってみましたが、水も出るし、いつも通りでした。

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▲仙台駅中央コンコースの天井。ところどころ白いシートで覆ってあるところは天井が破損してようです。


▲駅ビルのエスカレーター。ふつうのエスカレーターは平らなところで一度切れて乗り換えますが、ここのは平らな部分も含めてエスカレーターです。iPhone で動画をとりました。

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▲駅ビル地下一階にある青葉亭で食べた たんかつキーマカレー 1155円也。美味しうございました。

 食事のあとは駅ビルをうろついて、売店で鐘崎の笹かまぼこを買いました。鐘崎はたぶん有名なメーカーなんですが、ここの笹かまは初めて食べると思います。小ぶりで肉厚で、こんな形状のものはお土産にもらったことがありません。鐘崎も地震で被害があって、しばらく工場が止まってたらしいのですが、最近になって営業を再開したそうです。

 今夜の宿はというと、仙台市内のホテルもすでに営業を再開しているのですが、過去に泊まったことのあるホテルをいくつかネットで調べてみると、どこも部屋が埋まっているようです。一般のお客さんのほかにライフライン復旧の手伝いに来ている県外の業者も使っているかもしれません。

 楽天トラベルで調べると、山形市内のビジネスホテルなんか普通に空き室があるようなので、なんなら高速で移動して泊まったらいいんじゃないのと、ともだちと一応相談はしたのですが、ともだちも漫画が読みたいというので、ネットカフェに行くことにしました。

 実はわたしはネットカフェ好きで、あっちこっちの会員カードを持っているのです。もちろん宮城県内の営業状況なんかも事前に調べてきました(笑)海辺にある店舗は休業しているのですが、内陸の店舗は普通に営業しています。

 最初は自由空間の仙台泉中央店というところに行ってみたのですが、こちらは駐車場が満車で止められず、仕方ないので系列店の西多賀店に移動したら、こっちはガラッガラで貸し切りみたいな状態でした、なんで? お店は広くてきれいだし、いい感じでしたけどね。潰れると次に来た時に寂しいのでほどほどに繁盛していただきたいです。

 フラットシート席をふたつとって、わたしはネットをやったり漫画を読んだり、ハンゲームに入って大富豪とかやったりしてましたが、ずっと運転したともだちはさっさと寝たようです。おかげでさっき買った笹かまを食いそびれました。明日食べよう。

(宮城旅行7へつづく)

タグ:2011年4月宮城旅行

宮城旅行5:鹽竈神社(塩釜神社)

(宮城旅行4のつづき)

 地震と津波の爪痕ばかり見ていたのでは観光客の名折れというものでしょう。せっかく塩釜にいるのですから、鹽竈神社(しおがまじんじゃ)に行くことにしました。地元では大事にされている神社だそうで、同行したおともだちによると、こっち方面に来て鹽竈神社に行かないのはダメだと東北出身の同僚からきつく言われているということでした。

 ここらで表記の話をしておきます。地名の「しおがまし」は塩竈市とも塩釜市とも書いてよいそうです。「しおがまじんじゃ」も正式には鹽竈神社だそうですが、塩竈神社とか塩釜神社とか表記されます。ここでは地名を塩釜市、神社を鹽竈神社と表記します。

 東北には良く来るのですが、恥ずかしながら鹽竈神社は初めてです。本塩釜の駅から車で数分。すこし山を登ったところにあって、とても立派な神社でした。広い無料駐車場があり、年末年始には参拝者が大勢来るのでしょう。

 この日はすでに18時を回っていましたが、駐車場には10台やそこら止まっており、ナンバーを見ると関東や関西から来た車もありました。

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▲神社の入り口にある甑炉型鋳銭釜(こしきろがたちゅうせんがま)。江戸時代のもので銅銭(銅貨)を作るために銅を溶かした釜だそうです。上中下の三段に別れていて、上に銅と鉄と炭を入れ、中段からふいごで空気を送って加熱し、溶けた銅と鉄が下段に落ちてくる仕組みだということです。三段そろって保存されているところはここだけだそうです。

 これよく見たら二段目と三段目がずれてるんですね。地震以前の写真をネット検索で探してみると、以前はピッタリ合わさっていたようです。貴重な鋳銭釜が倒れなくてよかった。

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▲志波彦神社(しわひこじんじゃ)。鹽竈神社と隣り合って立っています。志波というのは端っこのことだと言われていて、朝廷が東北方面を平定に来て、このあたりを国の端っこと定めて土着の神様を志波彦尊としてお祭りしたのではないか、ということです。宮城県には志波彦神社と志波姫神社があり、岩手県には志波稲荷があるそうです。

 すでに日も落ちて薄暗くなってきました。志波彦神社はすでに閉門されて拝殿には近づけませんでしたが、それでも大勢が熱心に参拝しています。そう、みなさんとても熱心でした。この感じはほかの神社にはない雰囲気です。手を叩いて頭を下げるだけでなく、誰もが神様と会話するように丁寧にお祈りしているのです。

 ともだちが格子戸の内側にあるさい銭箱に小銭を入れようとして三回も失敗し、取れないところに落とすので、四回目はわたしが代わりに入れました。格子から少し手を入れて下に落とすだけでいいのに、なぜか別の人も失敗してあらぬところに小銭を飛ばしていました。

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▲鹽竈神社(しおがまじんじゃ)。ここでも参拝者が不思議なくらい敬虔な祈りを捧げています。実はこの写真は貼るべきかどうか本気で悩んで貼りました。拝殿にむけてシャッターを切ったら、どうしても参拝者の背中が写ってしまうのですが、ここでお祈りしている人たちは、本当に長いこと無言で立ち尽くしており、何も聞かなくても、何かあったとわかるからです。

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▲献魚台。鹽竈神社には魚をお供えするための台がありました。

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▲すっかり夜になってしまいました。境内には様々な種類の桜が植えられています。ソメイヨシノはほとんど散っていましたが、ヤマザクラなどがまだ見ごろでした。

 立ち去る前に空を見上げたら、うっすらと夕日の名残がある空に、北斗七星がやけにくっきりと立ちあがっているのが見えました。

(宮城旅行6へつづく)

タグ:2011年4月宮城旅行

宮城旅行4:本塩釜駅の南側

(宮城旅行3のつづき)
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▲地震や津波で出たゴミの中で暮らしている猫。彼らは津波の時どこに逃げていたのでしょうか。流されなかったんかと話しかけたらそんなヘマはしないぜとにらみ返されました。

 猫のところだけクローズアップすると、ゴミが散乱する荒廃した町を想像してしまうのですが、引いてみるとこんな感じです。
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▲地震で壊れたものやなんかを店の前に出してあるだけ。

 本塩釜駅の南側にも回ってみました。南のほうが海に近いのですが、あれ、こっちのほうが被害が少なそう。
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▲駅の東側ロータリー。

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▲養老の滝もやってます。

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▲駅南側の本屋さん。ここにも水が来たけど必死で店をやるよって書いてありました。

 南側のほうが北側より少しだけ海抜が高いのかなと思います。水路を上ってくる波に対して駅とイオン(スーパー)が盾になった可能性もありますね。


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(宮城旅行5につづく)

タグ:2011年4月宮城旅行

宮城旅行3:本塩釜駅の北側

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▲本塩釜駅です。こうしてぱっと見るとどのあたりに被害があるかわからないでしょうが、駅をかこっている白い塀は工事中の塀です。JR仙石線は、仙台から東塩釜までは開通していますが、東塩釜から石巻まではこの日はまだ地震の影響で止まっていました。

 駅にもまわりの建物にも電気がきていましたが、どういう仕組みか信号機だけは止まっていました。信号機が止まってるところには警察がいて交通整理をしています。

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▲壊れてしまったコイン駐車場。

 駅前のコイン駐車場は津波に呑まれて壊れてしまったようです。それでも駅にくる人たちはここに車を置いています。フラップが降りなくなってしまったところだけビニールの紐がかかっていました。

 フラップが上がったままなのは津波の当日ここに車が止まってたからじゃないかと思うんですが、撤去されたのか、流れていってしまったのか…

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▲白い壁に残ったこの線は、ここまで水が来たということなんでしょうか。

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▲津波の威力なのかへこんでしまったお店のシャッター。

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▲しかし、魚民はやってる。近づいて見ましたが、何事もなかったかのようにピカピカのお店で営業していました。# 4月22日から営業を再開していたようです。根性で店を開けたんですね。すごい。

 魚民以外にも地元のお寿司屋さんや、薬屋さんなんかが根性で店を開けています。八百屋さんも開いていました。閉店している店にはいつから再開しますと張り紙があり、力強い復興の息吹を感じます。

(宮城旅行4につづく)

タグ:2011年4月宮城旅行