これは数年越しで頭を悩ませている大問題なのです。幼虫がバラの葉を食害するハバチというと、誰もが「チュウレンジ」と即答するような虫ですが、これまたソックリさんが複数いるらしいんですよね。
過去にある博物館にメールで問い合わせたところ、幼虫がバラを食害して、なおかつ腹がオレンジ色に見えるチュウレンジ系のハバチは4種類いるっていうんです。以下は成虫の見分け方。
アカスジチュウレンジ
背が黄色い
背の一部がオレンジ色
背中から見て、背全体が黒いのはアカスジではない
ニホンチュウレンジバチ
背が黒い
後足の広い範囲が黄色い
チュウレンジバチ
背が黒く
後足が黒い
やや山野性で平地には少ない
シリグロチュウレンジバチ
背が黒い
後足が黒い
産卵管鞘が黒い
…と、このメモは何年も前にメールでいただいたものを、わたしが要約しているのでややアヤシイのですが、大ざっぱにこんな見分け方ができると教えてもらいました。当時はネット上にハバチの図鑑などはなかったので、ほぼ言葉だけのやりとりです。
うちのまわりには、後足が黄色いと言えるようなものがいないので、ニホンチュウレンジバチは除外だろうと思っています。
残るは「チュウレンジバチ」「アカスジチュウレンジ」「シリグロチュウレンジ」の三種になります。
じゃあ、うちに来るチュウレンジ系の虫は、三種のうちのどれなのか、というのが大問題。
博物館からのメールでは、真上から見て背の一部がオレンジ色なのはチュウレンジバチ「ではない」と教えてもらったような記憶があります(何度かハードディスクを飛ばしているので当時のメールは残ってませんごめんなさい)。このことを踏まえて、改めてうちにくるチュウレンジ系に迫ってみました。
ポッチリが黒で、脇も黒いタイプ
このタイプは真上から見ると胸(というか背)の全体が黒く見えます。いわゆる「チュウレンジバチ」かもしれないが「シリグロチュウレンジ」である可能性が否定できない。
「シリグロチュウレンジ」の特徴に「産卵管鞘が黒い」というのがありますが「産卵管鞘」って具体的にどこのこと? おしりめくって出てくるのは産卵管鞘につつまれた産卵管? それとも産卵管そのもの?←説明くどくて意味不明だけどここ重要
尻をめくると出てくる突起が「産卵管鞘につつまれた産卵管」であるならば、たぶん黒いと思うんだけど、手持ちの標本(針刺しただけですがな)が一個しかないので破壊するのはやめときます。
ポッチリがオレンジで、脇もオレンジのタイプ
このタイプは真上から見ると、ポッチリだけでなく脇のオレンジのところも見える。
このタイプは真上から見た時に背の全体が黒くはないのでチュウレンジバチではないはずです。ならアカスジチュウレンジなのかどうか、これが問題。
博物館に問い合わせた時、わたしはこの写真(別窓で開きます)のURLを添えて質問したのですが、いただいたお返事ではこの写真そのものを何であるとは断言しておらず、ただ背の一部がオレンジなのはチュウレンジバチではないという説明でした。
それで「だったらアカスジチュウレンジなのかな」と勝手に思って来たわけですが、時は流れてネット上の資料もかなり充実してまいりました。
内藤親彦さんというちゃんとした方が作った『兵庫県におけるハバチ類の種多様性』というPDF資料を発見しまして、それによるとアカスジチュウレンジの背は、名前の通りスジ状にオレンジ色の部分がありまして、うちに来るオレンジポッチリさんとはだいぶ違うんです。
このイラストのA(左側)のように、上から見たときに胸(背)に赤い筋が入った感じになってるのがアカスジチュウレンジ。うちの来るポッチリさんはBのような感じです。
# 絵が雑なのは精密に書いたらむしろウソになりかねないのでわざと概略に見えるように…gyふじこlp@;「:手抜きですすみませんごめんなさい。
というわけなんですが、結局うちのまわりにいるバラ食べちゃう系のチュウレンジ類のハバチは何者なの?
http://www.chinjuh.mydns.jp/hakubutu/musi/haba02.htm
このイイカゲンなページをそろそろ直したい。直したい直したい、直したいぞっと。成虫だけでなく幼虫関係もあやしい。足の数をかぞえてる写真なんぞ矢印の位置がズレてるし。
っていう感じ。今年はまだチュウレンジ系の幼虫を見ていないので、これからきっと出てくるだろうし、片っ端から飼育して背の色だの尻の色だのをチェックしていく予定。
(つづく)