今年は非休眠卵を見たいので、冷凍庫に入れる前にいくつか開けてみました。非休眠卵というのは、一冬こさずに孵化しちゃう卵です。春先の蚕は非休眠卵を生むはずです。休眠卵とは色が違うという話をよく聞くので、本当かどうか確かめてみようというわけ。
卵を産ませるならオスとメスを見分けて一定数残さなければいけません。見分けは繭をあけてみて、蛹の尻を見ます。上の写真は、左側の大きいのがメスで、右側の小さいのがオスでした。一般的にメスの方が大きいんですけど、大きさには個体差もあるので、やっぱり尻を見て確認する必要があります。
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=476
これは以前書いた記事です。見分け方の写真も貼ってあります(ちょっとピンぼけしてますが)。
オス・メスを見分けたら、蛹はまた繭に戻しておけば、そのうち蛾になって出てきます。だいたい夜中に羽化してしまうので、ある朝目覚めると、くんつほぐれつ勝手に交尾してることが多いです。
▲蛹の大小はオス・メスの違いとしても、繭自体がこんなに不揃いなのはビミョーですね。次は蔟(まぶし)のマス目のサイズを変えてみようかな。
おいしい蛹とそうでもない蛹?
そうそう、これは前から書いておこうと思ってたのでここに書いておきます。
自宅で飼育した蚕の繭をあけると上の写真のように丸々した蛹が出てきます。ところが佃煮用として蚕糸試験場のようなところから購入する蛹は。もっと小さく縮こまっています。
そのため、種類が違うように思っている人がいますが、実はそんなことなくて、佃煮用の蛹は乾燥させてあるから縮んでいるだけだと思います。
前の記事に書いたとおり、繭は中の蛹が蛾になって出てくると糸をつむげなくなるので、そうなる前に加熱して殺してしまいます。殺蛹した後もほうっておくと蛹が腐ってしまうので、しっかり乾燥させて腐らないようにします。そうすると繭を長く保存できるようになります。
農家で飼ってるやつは自家用でないかぎり全部乾燥させてると思うので、試験所だか製紙工場だかで買ってくる蛹はきゅーっと縮こまって小さくなっているというわけ。
どこそこから仕入れて「育てた」蚕はおいしい、なんて話もありますが、まあそれは干物と生の違いってところだと思います。実際生の蛹を煮て食べると、市販の佃煮とはまた違っておいしいです。
などという話をしていると、蚕の蛹なんてキモイとかいろいろ言う人がいそうですが、日本でも蚕の蛹とイナゴは食材として珍しくはないです。
以前、中之条のイナゴンピックに出た時、地元の方が「昔は蚕の蛹から油をとって、その絞りかすも食べたんだよ」って言ってました。
そういう、生活に根ざした昆虫食にとても興味があります。
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