昨日は蚕の二眠(タカの休み)が終わったと書きましたが、目の前で脱皮した2頭以外は眠に入っていませんでした。
それというのも、今朝になってみるとすべての蚕の頭が頭が白くなっているのです。どうやら蚕は三齢から頭が白くなるらしいです。
昨日の朝はほとんどの蚕が餌を食べていたので、もうすっかり脱皮が済んだものと思っていたのに難しいもんですね。
というわけで、二眠が過ぎると頭が白くなる、ということで覚えておきたいと思います(絶対忘れる)。
タケの休み(二眠)が終わったようです。今回は目の前で脱皮を見たので確実です。脱皮中の写真は写す余裕もありませんでした。
ほとんどの蚕は夜のうちに脱皮を済ませたようで、新しい葉を与えたら元気に食べ始めました。ところが 2頭ばかり色つやが悪く、生きてはいますが死んだように転がっているものがいました。
しばらく様子を見ていると、頭と胴の継ぎ目から新しい皮膚が出てきて、体をくねらせて皮を脱ぎ始めました。
本来なら、脱皮前に腹脚(ふくきゃく、吸盤上の足)を固定しておくのですが、運悪く脱皮前に足がはずれてしまったのでしょう。
それでも 1頭は尻まで上手に脱ぎました。もう 1頭は脱皮殻を尻につけたまま歩いていますが、小さすぎて手伝ってやることもできませんから、ただ運を天にまかせるだけです。
芋虫は、卵から出てきた直後を一齢(いちれい)と言い、蚕の場合は一齢幼虫を毛蚕(けご)と言います。
最初の脱皮を経験したら二齢になります。
二度目の脱皮を経験すると三齢です。うちの蚕は今この状態です。体長が10mm前後でしょうか。
種(卵)と一緒に桑の葉も来ているのですが、結局うちで育てているのを使っています。福知山から来た桑はとてもきれいで立派な畑から摘んだのだろうと思うのですが、どれもみんな育って固くなった葉ばかりです。
固い葉でも刻んで与えれば大丈夫ですが、若齢のうちはやわらかい若葉を与えたほうがよく食べるような気がします。ただ、あまり若い葉を与えてもよくないらしいです。萌え出したばかりの葉ではなく、その下についてるやや緑が濃くなったのをやるのが一番よいのだとか。理由はよくわかりません。水分量の関係かなと思うのですが。
ところで、卵からかえったのは13頭ですが、今数えてみると12頭しかいませんでした。蚕は逃げないので、毛蚕のうちに死んでしまったのだと思います。一齢、二齢の頃が一番飼いにくいと思います。
孵化してから五日目です。たぶん昨夜のうちにシジの休みが終わったのではないかと思うのですが、この時期は脱皮をしても目立たないのでよくわかりません。
体長が8mm程度になりました。まだまだ小さいので接写が難しいです。上の写真は 2cmまで寄って写したのをトリミングしました。トリミングなしでこのくらいの大きさに写るカメラがほしいんですけど存在するんでしょうか。
それはともかく蚕の眠の話を少し。
カイコに限らず、昆虫は脱皮前に餌をたべなくなります。カイコの場合はその状態が眠ったように見えることから眠(みん)と呼び、幼虫時代に四回の眠を経験します。
眠を早いほうから順に、シジの休み(または獅子の休み)、タケの休み(または鷹の休み)、フナの休み(または舟の休み)、庭のやすみ、と呼んだりもします。語源はよくわかりません。この呼び名を織り込んだ伝説もあります。
◎今昔かたりぐさ:養蚕のはじまり
http://www.chinjuh.mydns.jp/ohanasi/365j/0306.htm
昔作ったものですが、蚕にまつわる伝説を集めたものです。このページにあるものだと「金色姫」「衣笠姫」がわかりやすい例です。お姫様が四回の受難にあい、最後には本当に死んでしまい、蚕になるというお話です。
養蚕伝説だと有名なのは「おしらさま」ですが、あれも恋仲の馬が"高い"木に吊されたり、その皮をはいで"舟"に張ったりする話があるので、眠の呼び名と関係があるのかもしれないですけど、最近難しいことを言おうとすると頭がいたくなるのでやめておきます。老眼用のメガネができたら多少ましになるかもしれないのでご期待ください(変わらないかもしれない!!)。
シジとかタケとかの由来をみんなで考えた時の記事はこちら。ここにない説を思いついちゃった人はご遠慮なくコメントを。
◎眠の呼び名とずーの由来(まとめ)
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=410
▲昨日孵化した蚕です。がんばって接写しました。結局昨日は11頭孵化しました。
▲残った2個の卵も今朝になって孵化しました。
この時期の蚕は一日で見違えるほどになります。オリジナルサイズの画像を拡大して見比べるとわかりやすいです。
これが孵化後二日目(別窓で表示)
こちらが一日目(別窓で表示)
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といっても、10頭ばかり、お遊び程度なのですが。京都の塩野屋さんという織り元で販売しているキットを購入しました。蚕の種類は都浅黄という塩野屋オリジナルの品種だそうです。
◎塩野屋
http://www.shiono-ya.co.jp/goods/kaiko.html
キットの販売は8月いっぱいです。30日掃き立ての分が最後みたいなので、ほしい方は大急ぎで注文したほうがいいです。上記ページ内に「申込書のダウンロードはこちらから」っていうのがあるので、プリントアウトしてファックスで送信してください(ややめんどくさい)。
こういうものが20日にクール宅急便で届きました。以下はセット内容です。
1)飼育箱(ダンボール製)
2)蚕の卵10頭(到着後数日で孵化します)
3)桑の生葉(3齢まで分。100g×2袋)
4)徐沙ネット
5)エタノール綿(消毒用・火気に注意)
6)蚕用割り箸
7)蚕飼育マニュアル
蚕の餌は桑の葉です。このキットには桑の葉がついてくるので初心者にもとっつきやすいかもしれません。ただ、四齢以降からは自分で調達しなきゃいけないのですね。
桑の木は、公園や土手沿いなどをよく見て歩くと、都会でもあちこちに生えてます。わたしはいつ蚕をかってもいいように、散歩をするとき桑の葉ポイントを横目で探しています(ほんというと桑の葉だけじゃなく、他の芋虫が食べる木もチェックしています……えへ)。
どうしても身近に桑がない場合は、塩野屋さんに相談しておけば追加の桑も送ってもらえるかもしれません(電話で確認したほうがいいですね)。
うちは自分で桑の木を育ててるので10頭分くらい余裕です。
これが蚕の種(卵)です。蚕の卵のことを「蚕種」と書いて「さんたね、さんだね」または「さんしゅ」と読みます。
がんばって接写してみたのですが、どうやってもピントがあいませんでした。ソラマメをうんと小さくしたみたいな感じです。
蚕の種は酸で処理すると孵化の日時をコントロールできるそうです。今回は21日に孵化する予定になっています。
説明書によると、予定日の前に卵が白っぽくなるので、そうしたら箱から出して明るいところにおけば一斉に孵化するということです。
写真の種は、もう白っぽくなった状態です。届いたのが20日ですから、すっかり孵化準備に入っています。このまま箱にしまい、暗くしたまま室温で置きました。
21日の早朝5時ごろ、箱から出してみましたが、まだ種には異変がなさそうでした。箱から出したまま様子を見ると、一時間後くらいには孵化して毛蚕(けご)がはい回っていました。
蚕の一齢幼虫のことを毛蚕と言います。名前のとおり毛が生えてるからです。毛が生えているところをお見せしたいのですが、あまりにも小さくてうまく接写できません。孵化したての頃は、5mmにも満たない小さな虫なのです。
写真のとおり、卵は13個あるのですが、一斉に孵化したのは予定通りの10頭でした。残りも遅れて出てくるかもしれません。
孵化したばかりの毛蚕を、はじめて桑の葉に移してやることを「掃き立て」といいます。今回は10頭ぽっちですが、本来ならば数百頭を一度に管理するので小さなホウキのようなもので毛蚕を桑の葉に掃き立ててやるのです。
掃き立ては重要な行事です。繭が沢山できるように掃き立てが吉日にあたるように孵化を調整したらしいです。今回は日を選べなかったので、特別良い日にはあたりませんでした。
去年も書きましたが、わたしの祖母は群馬の人で養蚕をやっていました。ただ、群馬の養蚕農家では毛蚕をあつかわず、少し大きくなったのを仕入れてきて育てていたようなのです。そのため、掃き立ては資料映像でしか見たことがありません。
蚕が小さいうちは、写真のように桑の葉を刻んであたえます。毛蚕が葉っぱのふちを探しやすくするためだと思います。芋虫は、葉っぱの中心ではなく、ふちから食べ始めます。少しでも早く沢山餌を食べさせるための工夫です。
孵化後の種も写してみましたが……だめですね。違いが全然わからない。肉眼で見ると中身が出てカラッポになった様子がわかるのですが。
というわけで、これから四週間くらいお蚕月間です。
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