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養蚕重宝記04:[ ]国中にいかなる家なりといへども

 『養蚕重寳記』の続きです。ツッコミを待ちながらやりたいところですが、誰からも相手にしてもらえそうもないのでどんどん行っちゃおうと思います。

二丁表〜二丁裏前半:まだ序文みたいなのが続いてる…

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko04/bunko04_00660/bunko04_00660_p0007.jpg
↑ここの左側

・國中にいかなる家なりといへともその …1
元をあらため見るに吉日吉方をゑらみ
立る家なれは是蚕あたらぬといふ事
なし

一 ・にたとへ日に三度のめしたきそこのふと …2
  いへども水かけんのしさいなり「蚕かひ
  そこのふといへどもようき取ちがへのしそ

二丁裏

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko04/bunko04_00660/bunko04_00660_p0008.jpg
↑ここの前半3行

  んじなりいかなる家にても・・・・ …3
  こうをかんかへ「かひ立るならばちごうと
  いふ事なし

読めなかった部分のメモ

?國中に
 なさけないことに冒頭からして読めません。左画像の一文字目はなんと読めばいいのでしょう? 酷似した文字が少し後にも出てきます。場所は「…1」の行です。


?々に?
 この一文字目と、先ほどの文字は同じでしょうか?
 二文字目は「〃」とか「々」かもしれません。
 三文字目は「に(仁)」だと思いますが、「え(江)」である可能性も否定しきれません><
 四文字目も読めません。そもそもこの文字は一文字でしょうか?
 場所は「…3」の行です。


?に
 これもわからない部分です。一文字目は宀(ウかんむり)の文字でしょうか?
 二文字目は「に(仁)」なのか「え(江)」なのか…
 場所は「…2」の行頭です。

その他のメモ

「ゑらみ立る家なれは」
 「ゑらみ"立てる"家なれば」なのか「ゑらみ"たる"いえなれば」で書き下し方を変えるべきなんだろうなと思うんですが、どっちかわかんないので「立」の字を残しました。「ゑらむ」は選ぶことですが「得る」から派生した言葉らしいです。

「かひ立るならば」
 上と同じです。「飼ひ"立てる"ならば」「飼ひ"たる"」なのかよくわからないです。文法的に「立てる」がありうるのか、ド素人なのでちょっと判断つきません。

しそ
 これは「しそんじなり」の「しそ(志楚)」です。一文字だと思い込んで必死で考えてしまいました。よく見ると志と楚だったので頭をかかえました。活字にはありえない面白い部分でもあります。

用語


 蚕の卵のことは、今でも種(たね)と呼ばれてます。蚕種で「こだね」とか。

あたる
 蚕はいきものなので病気になることもあるし、うまく育たず質の悪い繭になってしまうこともあります。うまく育って立派な繭が取れたら「あたり」です。

タグ:古文書解読

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  • 2012年12月12日(水)13時53分
  • 未分類

コメント一覧

武邑くしひ 2012年12月13日(木)00時26分 編集・削除

「立る」は「タツル」でいかがでせうか。

武邑くしひ 2012年12月13日(木)00時42分 編集・削除

「古の下に又」と書く「事」の異体字があるさうです。冒頭の文字はこれではないでせうか。

http://140.111.1.40/yitia/fra/fra00048.htm

武邑くしひ 2012年12月13日(木)01時03分 編集・削除

ウかんむりの字は「実」かな。自信ないけど。

http://140.111.1.40/yitia/fra/fra01046.htm

珍獣ららむ〜 2012年12月13日(木)07時39分 編集・削除

>「立る」は「タツル」で

ありそうですね。第一候補にしときます!


>「古の下に又」と書く「事」の異体字

これもなるほどという感じです。
吏に似てるけど通じないしって考えてました。
ということは
1.「事國中にいかなる家なりといへども」
2.「いかなる家なりといへども事々に・こうを」
って感じですよね。
2はなんとなく通じる(事々により事毎にがあってそうだけど)けど、1もイケてますかね?!

そういえばもっと後に似た文字が出てきたような気がするので「事」をあてはめて検討してみます。


>ウかんむりの字は「実」かな

これは文字だけ見たらそう思うんですが
「実にたとへ日に三度の飯たきそこのうと…」
と続けて読むと、実にが余分に見えてくるんです。
あまり意味はなくつなぎに使ってるだけなのかもしれないけど。


なにはともあれ、
ありがとうございました。
特に「事」はまったく思いつかなかったので助かりました。

武邑くしひ 2012年12月14日(金)01時33分 編集・削除

二丁裏一行目末尾は「季」でいかが。「季こうをかんかへ」

http://www013.upp.so-net.ne.jp/santai/jpg/0152.jpg

珍獣ららむ〜 2012年12月14日(金)12時52分 編集・削除

「季こう」それだ!!!

すばらしい。すばらしいですよ。
ありがとうございます!

武邑くしひ 2012年12月14日(金)21時36分 編集・削除

「季こう」なる熟語が本当にあるのかどうかは自信なし。

珍獣ららむ〜 2012年12月15日(土)00時17分 編集・削除

今朝からまた全体を見直してるんですが、
「八斗あまり」とかの「あまり」を「預」と書いてるのをみつけました。
ほぼ同じパターンの文字列で「余」を使っている箇所があるので間違いないかと。
となると、「気候」のつもりで「季こう」と書くくらいのことはあっても不思議はないです(笑)

『重宝記資料集成』の第三十巻に短い解説がついてましたが「職業用語か、方言か、特殊な言葉遣いも目立つ」と書いてありました。
プロが読んでも意味不明な部分があるようです。
大半は養蚕用語みたいですが、言葉遣いがややおかしいのかもしれません。

珍獣ららむ〜 2012年12月20日(木)15時50分 編集・削除

色々わかったことがあります。

>「あまり」を「預」と

これは「程」の読み間違いでした(笑)

>季こう

四季と七十二候をあわせて「季候」という言葉が普通に辞書に載ってました。

>・國中にいかなる家なりといへとも

この部分は事ではなく「夫(それ)」っぽいです。
「夫れ國中にいかなる家なりといへども」
同じような文字で

>いかなる家にても・・・・

ここは微妙です。
「いかなる家にても夫々(それぞれ)に」
と読んでしまっても矛盾はないです。
が、「夫」と微妙に書体が違って見えなくもないので
「事」の異体字である可能性も否定できません。
とりあえず「事々に」よりも「夫々に」のほうが普通の言葉っぽいので夫を採用しとこうと思います。

ほかの部分にも「夫」っぽいやつが出てきます。
だいたい「夫より」と書いてあって、
「それより」「それにより」などと読めそうです。

>・にたとへ日に三度の

これは「實に(実に)」であってそうですが、
「處」にも似ているので、外に可能性がないか考え中です。

「實」っぽい文字が何ヶ所かあるので、抜き出して並べたらなんかわかるかもしれません。

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