東京は神田にある柳森稲荷神社です。本殿にお祭りされているのは倉稲魂大神(くらいなたまのおおかみ)といって、いわゆるお稲荷さんのことです。
ところがこの神社で有名なのはお稲荷さんではなくて、かたわらにある小さなお社。
お社の前にあるのは……えっ、タヌキ?!
この小さなお社に祀られているのもお稲荷さんだそうです。福寿稲荷といって、五代将軍綱吉公のお母さんである桂昌院という人が江戸城内で信仰していたのもだとか。
お稲荷さんならお使いは普通はキツネです。それがここではなぜかタヌキ。おタヌキ様の神社なのです。
それというのもこのお社を作った桂昌院様が、八百屋の娘でありながら三代将軍家光公の側室に迎えられたことに由来します。「他を抜いて」玉の輿に乗った院の幸運にあやかりたいと、大奥のお女中たちがタヌキ(多抜き)の神様として崇拝したのがはじまりだとか。
境内のあちこちにおタヌキ様の像があります。このタヌキ、抱えているのは腹鼓ではありませんよ?!
こっちのおタヌキ様の持ち物はやや小振りながらリアル?! 他を抜いて出世するという洒落だけでなく、摩羅信仰のようなものがまざっているのかもしれないです。なんせ大奥由来ですからねー。
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柳森稲荷神社は地図で言うとこのあたり。神田駅より秋葉原駅に近い川沿いにあります。
ちなみに
桂昌院様というのは、男女の役割が逆転した世界を描いた漫画の『大奥』で言うと、玉栄(お玉の方)が大人になってからの名前です。史実とは違い小坊主という設定でしたね。
柳森神社で写真をとったのが3月20日、テレビドラマで玉栄の師匠である有巧(ありこと)を演じた堺雅人が、映画で綱吉を演じた菅野美穂との婚約をすっぱ抜かれて大騒ぎになったのは翌日の21日でした。
まったく偶然のことですが、とんでもないタイミングで写真を撮ったものです。桂昌院=玉栄と気づいてからは、頭の中で男女が逆転して大混乱ですよ…