上の写真は特撮ドラマのロケなんかでよく使われてる首都圏外郭放水路の調圧水槽、通称「地下神殿」です。春日部市で毎年開催している彩龍の川まつりにあわせて一般公開されたものです。
写真が多いのでページを分けます。「続きを読む」をクリックしてください。すべて昨日、11月16日(土)の写真です。
▲朝10時、東武野田線・南桜井駅到着。駅から開場まで臨時シャトルバスが出ていました。片道100円。バス停にはもう行列ができててめげそうです。ちなみに自分の番がまわってくるまでバスを2台見送りました。どの便もお客さんぎゅーぎゅー詰めでの発車です。
▲これはバスの切符。ボランティアっぽいおじいちゃんたちが売ってました。
▲ここがお祭り開場。駅からバスで10分くらい走ったところでした。食べ物の屋台があったり、よさこいソーランのダンスグループが踊りを披露してたりいろいろです。
しかし、今回見たいのは放水路。どこへ行けば見られるの?!
▲よくわかんないので人の流れについてったらこんなところにたどり着きました。ここはポンプ室だそうです。何をどうポンプしてるのかイマイチよくわかりません。
▲ガスタービンの説明だそうです。何をタービンしてるのかよくわからないので、見てる人たちみんなテンション低いです。
▲これはポンプのミニチュアで、このポンプの実物をガスタービンで回してるらしいです。ミニチュアにはハンドルがついてて手で回せるのですが、見学者の少年がひとりで熱心に回しており「ストローのように吸い込むのです」と繰り返していました。
▲こんな本の展示もあったのです。あれ、この本持ってるよ。図書館のリサイクルコーナーに捨ててあったの拾ってきたの。奥付け見たら初版が出たばっかりだったのでぶったまげた記憶あり。っていうか、荏原製作所ってこの本に出てるポンプ製作の偉い会社か!
もしかしてここ、すごく高まるところじゃないんだろうか。みんな状況もわからずポンプ室見せられて、説明してる製作所社員のみなさんもテンション低めだから白けてるけど、この会社たしかいろいろすごいんだぞ(詳細は忘れたけど)。
ちなみに「ポンプのひみつ」は探してみたらタダで読めるサイトがありましたわ。わたしもあとで読みなおそっと。
http://kids.gakken.co.jp/himitsu/076/index.html
で、地下神殿です。みんなそこを見に来たので「水貯めるとこどこですか」とか聞いて先に進んでます。
▲調圧水槽の入り口はこっちらしいです。
▲こんな階段降りて行きます。
▲深いねー。
▲地下18メートルだって。
▲下から上を見るとこんな感じ。
▲おー、テレビで見たことある場所に着いたー。
▲ここが「地下神殿」かー!
広ーいって言いたいところなんですが、いや確かに広いんですけど、想像してたほどじゃないような気もします。壁しか見えないので遠近感が麻痺してるせいもあるでしょうが、天井まで18mですから、ガンダムが頭を打つくらい? コンバトラーVは無理ですよねー、みたいな(笑)
でも広いことは広いんですよ。ここに台風の時なんかに水がいっぱいになるわけですよね。天井まで水が入ったところを想像すると……おー、やっぱりすごいかも。なんかすごいよ。
何がすごいって、ここ乾いてますよ? ヘドロもたまってないし、臭いもしない。すごくきれいにかたづいてる。ついこないだも大きな台風があったじゃないですか。絶対ここに水入ってたはずですよね。重機で掃除してるとは聞いてたけど、こんなきれいになっちゃうものなの???
なんとなく半信半疑のまま先に進みます。
▲この薄暗いところの先にポンプがあるらしいです。
▲このあたりにはまだ少し水がたまってました。
▲この穴の中にあるのがポンプのインペラ。
▲これがインペラ。これってさっき上で子供がくるくるまわしてストローのように吸い込むのですーってやってたアレなのかな。
▲みんな頑張って写したりしてるんですが、どうもテンション低いです。なんかよくわからないけど世界有数の大きさらしいよみたいな感じ。
▲ポンプ見て出てきたところで地下神殿をもう一枚。
▲こんな看板ありました。あのくらいまで水がたまってないとさっきのポンプで吸えないらしいです。ほほー。
このへんで「解説がありまーす」っていうアナウンスがありました。
▲こんなパネルでお姉さんが説明してくれるんですが、なんか集まってくる人少なくて「もうはじめちゃっていいんですかね」とかお姉さんやや苦笑してたり。
お姉さんの話は、この空間がどういう場所かを説明するものでした。
首都圏は、荒川と江戸川にはさまれた、低い土地にあります。6000年くらい前まで海だった場所なんです。そのため、ちょっと雨が降ると洪水がおきちゃいます。カスリン台風の古い写真とか見ると、町中水没してものすごいことになってますが、ほっとくとああなっちゃうわけです。
▲これは龍Q館にあった展示ですが、上の川が利根川・江戸川で、下の川は荒川です。ふたつの川の南北は土地が高くなっていますが、間は低いですよね。
それでも昔は低地に水田が多かったので、ちょっとくらいの雨なら水田が遊水地の役割をして耐えられたんだそうです。でも、今はみんな宅地になってしまいました。
で、どうするかっていうと、どこかに一時的に水をためて、コントロールしながら大きな川に排水すりゃいいんじゃないのって話しになります。地上には作る場所がないので、地下に掘りました。
具体的にどこに掘ったかっていうと、国道16号の下を利用したそうです。5ヶ所に深い縦穴(正式には立坑と書くらしいです)を掘って、それぞれを横穴でつなぎます。縦穴は、洪水を起こす可能性がある小さな川と繋がっていて、大雨のたびに川から水が入ってくるようになってます。
で、その水は、ポンプで吸い上げて江戸川に捨てるのですが、ポンプをうまく働かせる為には一定の水深とかを保つ必要があって、そのための「調圧水槽」がここ、通称「地下神殿」というわけなのです。
ちなみに、調圧室は高さ18mですが、縦穴は深さが70m以上あるそうです。コンバトラーVが余裕ですわ(公式サイトによるとスペースシャトルがすっぽり入ると説明されてる)。
この話を聞いて、今までテンション低いままで見てきたものがストンと理解できました。そうか、地下神殿が思ったほど大きくないと感じるのはあってるんだ。ここは水をためておく場所じゃなくて、ポンプを働かせるために適したサイズにしてあるわけね!
しかも、ストローのように吸い込むのですー、のポンプはやっぱりすごいんですよ。あれを何機って言ってたかな。四機だか五機だか、そのくらいで、国道16号の下に掘った横穴やら縦穴やらの水をずごーーーーっと吸い上げてるわけじゃないですか。
もうね、完全に見る順番逆ですわ。その話聞いてからだったら荏原製作所のみなさんの説明がさぞ面白かったことでしょうに。
ちなみに、この調圧水槽は年平均で7回くらい水でいっぱいになるそうです。今年は台風が多かったのですでに11回使ってるとのことです。
川の水を引き込むので、年間で2〜3cmの土砂が貯まるそうですが、排水したあとにブルドーザーで掃除してるということです。最初に書きましたが、ほんとにきれいに掃除されてて、中はポンプまわりの低くなってる所以外はカラカラに乾いてます。臭いもしません。
▲話を聞いたあとにアンケート書いたら何かもらえました。ペーパークラフトみたいだけど、なんだろこれ。
▲この先にある丸いところこそ、コンバトラーVが余裕で入りそうな縦穴です。この下に50mくらい深さがあって、見えてるとこだけで20mくらいあります。近くへ行って下を見たら、きっと吸い込まれそうな深さなんだと思いますが、危険なので近づけないようになってました。こいう縦穴が国道16号の下に5ヶ所あって、それぞれ川と繋がっているそうですが、この写真の縦穴はどの川とも繋がっていないってお姉さんが言ってました。
▲説明を聞いて、縦穴も見て、気分が盛り上がったところで地下神殿をもう1枚。
面白くなってきたところですが、一通り見たのでそろそろ出ようと思います。
▲これは、階段の途中から写したんですが、壁際にある段差の上なんです。階段で写真とっちゃだめ(危ないから)って言われながら慌てて一枚だけ写したものです。ここには土砂が残ってます。ブルドーザーでさらう前は、こういう感じで土砂がたまってるらしいですよ。
ちなみにー、実はここって平日限定ですが事前予約すればいつでも見られるらしいですよ。しかも、予約して見に行ったほうが詳しい説明を聞けるってお姉さん言ってました。
http://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/gaikaku/
ここの見学会ってとこに申し込み方法があるので興味がある方はどうぞ。1名から申し込めます。
▲外へでてきました。ここは龍Q館という資料館の屋上です。見えている川は江戸川。遥か地平線に緑地帯が見えますよね。あの辺は台地というか、こちらがわより高くなってるんです。
あの高台はずーっと海のほうまで続いてますね。たとえば、ららぽーと新三郷の駐車場から北を見た時に、地平線付近に見える緑地帯もこれの続きなんです。
そして、どんどん南に行くと、途中川から遠ざかるところもありますが、松戸駅や戸定邸あたりの高くなってるところとか、市川市の国府台(こうのだい)とか、里見公園とか、みんな繋がってるっぽいんですよ。
で、江戸川をへだてて埼玉や東京側が低くなってて、昔は海だったと。
▲これがその説明。数千年前は埼玉を鯨が泳いでたかもしれないぞっと。
▲これはここいらの地層をがっつりほり抜いて作ったタワーだそうです。海であった証拠に、貝の化石なんかが沢山含まれているわけですね。
▲操作室です。気象情報や、地下坑内の水流などをここで監視しています。
▲子供にもわかりやすいように、漫画やアニメを使った解説にも力を入れてるようです。このアニメは『レジェンズ』ですが、内容は完全にここオリジナル。大雨で洪水が起こりそうになり、レジェンズ(風や火や雨などの精霊のような設定でしたっけ?)が協力して縦穴・横穴を掘り、街を洪水から救うというお話です。さっき地下神殿で聞いた話を胸熱な物語にしてあります。
レジェンズのアニメ以外にも、『忍たま乱太郎』のオリジナル漫画の展示もありました。そっちも面白かったなあ。忍者学校のある村が川にかこまれた低地にあって、水害に弱いことに気づいたドクタケ忍者隊が水攻めにするんですが、忍たまたちが地下放水路を作って切り抜けるんです。
「昔も同じようなことがあったが、スーパー放水の術というもので村を救ったんだ。しかし今は低地に村があるのでそれはできん」
「じゃあどうすれば……」
「うむ、ウルトラスーパー放水の術というのが……」
みたいな感じで、地下に放水路を通しちゃうんです(台詞はかなりうろ覚え)。忍たまの漫画だと貯めた水を吸い上げるのにポンプを回すとこまでやってました。動力は銭を追い掛ける乱太郎の人力でした(笑)
▲これは縦穴やら横穴やらを掘るのに使った掘削器具の歯みたいです。本物かレプリカかは、ちょっとわかりません。どっかに説明があったかもしれないけど見てきませんでした。
というわけで、首都圏外郭放水路見学でした。面白かったですよ! もうお昼になっちゃいますが、今日17日もやってるはずです。近くの人なら間に合うかもしれないのでよろしければ今すぐどうぞ。野田線の南桜井駅の前からバスです。祭り中は施設の駐車場が使えません。