中学時代の社会科の先生は変わった人だった。口が悪く、要領のわるい生徒に対して「バカですねー」というのが口癖だった。今だったら問題発言かもしれない。当時でも嫌ってた生徒は多いと思う。でも、その先生の授業はとても面白く、よく実験的な試みをしていた。
たとえばカンニングをしてもいいテストである。テストといえば、自分がそれまでに覚えたことを試す場なので、カンニングなどしていいはずはないんだけれど、その先生は「なんでも調べてこい。ノートにびっしり書いてこい。テスト中に見ていいぞ」と言って、カンニングしてもいいテストを何度か行った。
見ていいのはノートだけだったと思う。教科書はダメ。ただし、教科書を一言一句残さず丸写しにしてくるんだったら許可されたと思う。要するにノートの取り方や、ものごとの覚え方の勉強なのである。何が重要なのか考え、要点を整理してノートを取る訓練だ。教科書を丸写しする者は要領が悪いといえるが、その作業で必ず得るものがあるはずなので問題ないのである。
カンニングしてもいいテストにカナダの問題が出たことがある。「カナダのニューファンドランド島近海はある魚の漁場として有名です。その魚とはなんですか」というもので、答えはスケトウダラだ。
こんなどうでもいいような問題をなぜ覚えているかというと、わたしはテストの前に先生から聞いていたからだ。
たまたまある用事で職員室へ行った時、先生たちの会話を偶然耳にしてしまったわけだ。先生はなぜか自慢げな口調で、ニュー・ファンドランド島ですよ、スケトウダラですよと言っていた。その時は、テストの内容について話していることまで気づかなかったけれど、ニュー・ファンドランド島、スケトウダラという言葉はなんとなく記憶に残った。
テスト当日、問題用紙にニュー・ファンドランド島の文字を見た時には、もしや聞いてはいけないことを立ち聞きしたんじゃないかと思ったけれど、そもそもカンニングしてよいテストなんだから、「これをきっかけにして覚えること」が大事なのだ。わたしはスケトウダラと答えて点をもらった。そして今も、ニュー・ファンドランド島がスケトウダラの漁場だってことを覚えている。わりとどうでもいい知識のような気がするけれど。
どうでもいいことといえば、中学の時に学校で使っていた社会科だか理科だかの副教材の表紙が「カナダ・オンタリオ湖のほとり」だったと思う。みわたすかぎりの草原に花がさきみだれ、そこに茶色い壁の家がたってる。切り妻屋根で白い窓枠がくっきりと映えて、空は抜けるような青。湖が写ってたかどうか覚えてない。そんな写真だった。その表紙を見るたびに、こんなところに住んでみたいなあと何度思ったことか。あの写真の家は、今もあるのかなあ、などと思い出す。
思い出しついでにカナダのことを調べてみたら、意外と知らないことがたくさんあるのに驚いた。カナダはイギリスの自治領だったらしい。イギリスからの独立プロセスが完了したのが1982年の憲法制定時だというから、なんとつい最近のことじゃないか。もちろんそれ以前も独立国として扱われていたんだろうけれど、こんな話は「バカですねー」の先生からも聞いたことがなかった。
カナダの公用語が英語とフランス語であること。それ自体は学校で習った。けれど、公用語が制定されたのが1969年だなんて話は習わなかった。意外と最近じゃないか(40年も前だけど!)。
アメリカのとなりにあって、誰でも名前を知っているのに、カナダは意外と知られざる国なんじゃあるまいか。
さて、突然カナダについて書き始めたのは、他でもなくてレビューアフィリエイトってやつです。
カナダ・アルバータ州の見所を動画で紹介する「バケーション・カナダTV」というサイトができたそうです。知られざるカナダの見所、興味津々です。さっそく見に行きました。
えー、スキーと釣りとショッピング、あとカウボーイのコスプレしてダンス? やばい、だんだんカナダに何を求めているのか自分でよくわかんなくなってきた。少なくとも上記にあげたのはあまりそそられなかったぞ。
あっ、待てよ。バンフって書いてある。バンフってアルバータ州だったのか。温泉の湧くところでしょう? スプリングスネイルという、サカマキガイの仲間がいるので有名なところだよね。
小さな巻き貝で、温泉の「お湯」の中に住んでるらしいですよ。どのくらいの温度のお湯なんでしょう。すごく気になるー。わたしゃ変なものがいるところは大好きだ。アルバータ州、いいところじゃないか!!