▲江戸時代の姫君のお道具「糸入れ」
前に、どこかの博物館で、江戸時代の奥向き道具の展示を見ました。
奥向きというのは生活の場のことです。お化粧道具を入れる箱や、お茶道具をしまう棚や、裁縫箱など、日常生活に使うものが沢山展示されていました。
その中に紙で折った箱のようなものが展示されていました。箱といっても折り畳むとぺたっと平らになるもので、おりがみ界では「たとう」と呼ばれるジャンルに含まれるかなあ、と思います。
展示には「糸入れ」というタイトルがついていましたが、説明はなかったので正確にどんな使い方をしたのかはちょっとわかりません。わたしはお琴の換え弦を入れたんじゃないかと想像しています。
この「糸入れ」を、ひと目見て折ってみたくなりました。それほど複雑なものじゃなさそうだから開いてみれば簡単にわかるはず。でも博物館の展示なので触れてみることすらできません。
そいう時は、完成品をじーっと睨んで折り方を想像します(俗に言う睨み折り)。パズルみたいで楽しい作業です。箱本体は似たような折り方をする作品を以前に見た事があるのですぐわかりました。蓋の部分にある剣花菱みたいな(菊の花みたいな)模様を折り出すのに苦労しました。
たぶんおりがみの偉い先生たちがとっくの昔に解明してそうな気はするんですが、ネット上ではみつからなかったので動画にしてみます。オリジナルが江戸時代の古典作品ですし折り方は自分で考案したのでナントカ権的には問題ないはずです。
▲基本の折り方です。紙の表側の色だけが出ます。
▲こっちは模様のところだけ紙の裏の色が出るようにアレンジを加えました。四ヶ所に切れ目を入れます。
[追記]
この本の p.6 と p.25 に「豪華な糸入れ」という名前で完成品の写真が掲載されています。本に出ているものは大小あわせて5箇所に箱がついている大作ですが、無論一枚折りではなく、完成品を五つ貼り合わせているはずです。
折り方も出てないかな、と思ったのですが、残念ながら完成品だけでした。ヒントとして「おりすえ」という、茶道や香道で使う道具の折り方は掲載されています。「おりすえ」は「糸入れ」と構造は同じですが、蓋の部分に飾りがありません。
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