湯本温泉は童謡の町?
写真は童謡詩人・野口雨情についての資料を展示する「童謡館」です。むかし銀行だった古い建物を利用しています。
湯本には野口雨情が一時期住んでいたことがあるそうです。そのため湯本駅の発車ベルも雨情作詞の「しゃぼん玉」が使われています。
貴重な古い建物の保存をかねた良い企画だと思うのですが、建物の前にある丸いポストの扱いが残念ですね。現在使われておらず、郵便物を入れられないように口がガムテープで塞がれていました。せっかくだから使えばいいのにと思うんですが、それが無理ならもう少しきれいな塞ぎ方をしてほしいです。
町中にあるブロンズ像
町中にこんな銅像が沢山あって、傍らに謎のポエムが掲示されていました。
雨情の童謡をモチーフにしてそうなものもありましたが、ほとんどは雨情と関係なさそうなものでした。全体としてはポエムだなあという感じ。
ブロンズ像に添えられた詩には「肇」という署名がありました。郷土の詩人なのでしょうか。なんの説明もないので立ち止まってしばらくぼーっと見てしまいました。
帰宅後に調べてみると、この銅像を設置してるのは「夢わくわくゆもと市民議会」という団体で、肇さんというのはそこの関係者の方だそうです。
素敵な銅像が多いです。その件は否定しないんですが、あんまり説明がないので「は?」となりがちなのは少し残念かな。
温泉神社
▲iPhoneで拝殿を写したら、なんらかがぼやーっと写ってしまいました。神降臨なら嬉しいのですが、露光の調節が完了するまえにシャッターを切ってしまっただけかもしれません。
前の記事に、湯本温泉のお湯は石炭を掘ると勝手に涌くらしいと書きましたが、炭坑の町として栄える前から温泉自体はあったようです。
伝説によると日本武尊のお父さんの時代に、この地で矢の刺さった鶴が温泉で傷をいやしているのが目撃されたのが湯本温泉のはじまりだということです(延喜式に見えるエピソードであるとか)。
この神社はご神体が湯の岳という温泉が湧く山だという話をネットで読みました(現地にはほとんど説明がないんだもの)。
▲拝殿に彫刻された謎の生きもの。鹿のように蹄があり、背中には甲羅を背負い、頭には(摩滅してよくわからないけれど)角が一本あります。そして背景には波。完全に犀(さい)ですね。犀は水と関係する生きものと信じられているので、水源を守る者として温泉神社に刻まれたのだと思います。
幻獣の犀は実在のサイとは別のものだと説明する人もいますが、わたしは同じものだと思っています。この場合はシロサイでもクロサイでもなく、インドサイです。
インドサイには鼻の頭に一本だけ角があります。鹿には似てませんが蹄があります(サイは奇蹄目)。皮膚が分厚く鎧を着ているような感じなのを甲羅と表現したのでしょう。そして、インドサイは湿地で暮らす生きものです。
昔のことですから写真などなく、一本角で蹄があり甲羅を持つと説明し、実物を見た事のない絵師が空想で挿し絵を書いたら幻獣の犀のできあがり。生息地の情報として水辺だと書いてあれば、背景に波が書き加えられ、あたかも水中でくらしているかのようになるわけです。
神社やお寺に刻まれた幻獣を訪ねる旅も楽しいものです。
▲入り口の両脇に斜めに切られた円筒状の石碑があるのがわかりますか? 切り口に平成二十三年の日付とともに「為・東日本大震災誌之」とあります。
どうやら震災で石の鳥居が崩れてしまい、震災を言い伝えるために土台だけを残したもののようです。奥の階段の手前にもうひとつ石の鳥居がありますが、そちらも崩れかけたようで、金具で補強されているのが見えます。
そうこうしているうちにもうすぐ13時。そろそろ帰らないとまた遅くなってしまいます。湯本駅に戻ったらまたもや電車が強風で止まっていました。13時7分の電車に乗るつもりだったのに、電車が到着したのは14時半を過ぎた頃でした。
強風に行く手を阻まれ、日帰りのつもりが一泊二日になってしまいましたが、予定になかった温泉神社や石炭化石館も回れたのでラッキーだったと思うことにしておきます。
青春18きっぷはあと3枚残っているので(強風で半日電車が止まったので、二日目は一日目の切符で乗れるようにしてもらったのです)、今度はひとりで日曜日から宮城県へ行ってきます。
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