▲繭になって一週間くらいたちました。
▲トイレットペーパーの蔟(まぶし)は大人気です。七つの穴に八つできちゃってる。
▲まだ繭になってないのが一頭だけ。さすがにこれは、育ちが遅いんじゃなくて、先天的に問題があるのかも。
▲蔟からはずしました。農家だと、格子状の蔟から繭をかくのに専用の道具を使うんですが、趣味の盆蚕*1なので手でひとつずつもぎ取ります。
蚕は、まず網のように糸をはりめぐらせてから、それを足場にして繭を作ります。足場になった部分を養蚕用語では「けば」と言うのですが……
▲このとおり、蔟からはずしたばかりの繭はけばがついています。いわゆる座繰り*2で紡ぐ場合、けばは邪魔になるので剥いてしまいます。
5/6 はきたて(孵化)
5/12〜13 しじのやすみ(一眠) 7日目
5/16〜17 たけのやすみ(二眠) +4日=11日目
5/22〜23 ふなのやすい(三眠) +6日=17日目
5/28〜31 にわのやすみ(四眠) +8日=25日目
6/7〜9 上蔟(繭になりはじめる)+9日=34日目
6/15 繭かき(蔟から繭をはずす)
今回はこんな感じでした。親が新小石丸だからか、少し成長が遅かったかもしれません。
さて、繭はこのままほっとくと、中の蛹が蛾になって出てきてしまいます。そうなると、座繰りでは紡げなくなるので、ここで殺蛹(さつよう)という作業をします。
具体的にどうするかっていうと、繭に熱風を当てたりするらしいんですが、家庭では面倒なので冷凍庫で凍らせてしまいます。一日くらい入れておけば蛹は死ぬはずです。
ここで重要なのは必ず凍らせるってことです。虫は意外と丈夫で、冷蔵庫くらいの低温じゃ死にません。かならず冷蔵庫につっこんで殺してしまわないといけないんです。
我が子のように大事に飼っても、最後には必ず殺してしまうのがお蚕と人間のつきあい方なのです。シルクのスカーフ、絹の着物、それらすべてが、こうやって作られています。わたしたちが毎日食べる肉が、豚や牛や鶏の死の上にあるのと同じです。
でも、それってかわいそうなことじゃないと思うんです。家畜も蚕も、人に飼われることで保護されて増えていってるわけですから、こういうのはもちつもたれつの尊い縁(えにし)ではないでしょうか。
人も家畜もお蚕も、すべてが世の中で欠くべからざる役割を果たしているのです、たぶんね。
*1:しゅみのぼんかいこ:盆栽を楽しむように小規模の養蚕を楽しむこと。わたくしが作った言葉でございます。
*2:繭から糸を紡ぐ一般的な方法。糸車にくるくる巻き取っていく。