▲鶴に乗る仙人。中国の伝説に出てくる王子喬(おうしきょう)という人です。
王子喬は笙(しょう)という楽器の名手だったようです。ある時、浮丘公という道士に誘われて山に入ったきり行方が知れなくなりました。数十年後、友人の前に現れて「七月七日に緱氏山に家族を集めてくれないか」と言ってまた姿を消してしまいました。言われたとおり家族が待っていると、王子喬が鶴に乗って現れ、家族に挨拶してまた去って行ったと言われています。
日本では、あまり名前が知られていませんが、お寺や神社の彫刻ではたまに見かけます。
▲柴又帝釈天だとここにいます。
▲これは前の記事に貼った応竜です。これはけっこう珍しいんじゃないかと思います。
応竜は雨を降らせる生きもので、黄帝が蚩尤をやっつける時に呼び出して嵐を起こさせました。ところが殺戮に加担したせいで天に帰れなくなり、地上に住むことになりました。中国の南方に雨が沢山降るのは応竜が住んでいるからです。応竜の話は『山海経』にも出てきます。
応竜はよそのお寺ではあまり見かけないものですが、柴又帝釈天では何ヶ所かに彫刻されています。それはもしかすると、中国神話の天帝と帝釈天が同一視されいることと関係があるかもしれません。応竜の伝説に出てくる黄帝という人は、もとは天の中央に君臨していた天帝なのです。
▲ここにいます。ここ以外にもいるので探してみてね。
▲これはたぶん、犀(さい)だと思います。波の中にいて、馬のような姿をして、頭に一本角があり、背中には亀の甲羅があります。おそらくインドなどにいる実在のサイについて「蹄(ひづめ)があり、一本角、体に甲羅がある(皮膚が甲羅のように固い)。水辺にいる」などと言葉で伝えられるうちに、角が鼻から頭に移動して、甲羅のある馬の姿に変化したんじゃないかと思います。。
犀の彫刻はそれほど珍しくはありません。あちこちのお寺や神社でみかけます。なぜ犀の彫刻が好まれるかというと、犀が水中に住むと言われているからだと思います。昔の建物は木造ですから何より恐いのが火災です。火災よけのおまじないとして、水に住む生きものを彫刻するわけです。波に千鳥なんかも良くあります。
もう一枚写真を貼るのがめんどくさいので(五枚以上貼る場合は小細工をしないといけないので)場所は書きませんが、もし柴又へ行くことがあったら探してみてください。あまり目立たない場所にいます。