埼玉県比企郡に吉見百穴っていう横穴墓群があることは前に書きました。
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先日桜を見に行った伊豆半島にもよく似た古墳があって、柏谷横穴群とか、柏谷百穴などと呼ばれているそうです。場所は静岡県函南町にある柏谷公園内とその周辺。柏谷の読みは「かしや」みたいですね。
▲これが柏谷公園内にある横穴群です。こういうのが公園の外にも何ヶ所かあるらしいですよ。
▲望遠で寄ってみます。左の三角にふさがっている穴は、中に遺体をおさめてから石でふさいだ状態を再現してるんだそうです。
▲この図のように、奥に玄室(遺体をおさめる部屋)があって、入り口は石でふさがれてたようです。手前に墓前域というスペースがあり、そこでなんらかの儀式をしたんじゃないかって書いてあります。
▲近付いてみました。山肌はモルタルで保護されてて自然の状態ではないそうです。
写真だと分かりにくいかもしれませんが、山肌が段々になっていて、穴の前に人が立てるようになってます。これが墓前域ってやつでしょうか? こういうスペースは埼玉の吉見百穴にはなかったと思います。
この墓前域っていうのを見ていたら、なんとなく沖縄の亀甲墓に似てるような気がしてきました。山肌に横穴を掘って作るって聞いたことがあるし、各お墓の前に広場のようなものがあって、清明節には一族が集まって墓前で宴会(つまり儀式でしょ?)をするとか聞いたので。
ってな話を一緒に来ていたおともだちに話したら
「東京でも墓場で宴会をするから同じだね」
というので、あんたのところにはマジ真剣そんな慣習があるの?と聞いたら、青山墓地とかでお花見やってるじゃんっていうので脱力しました。
「それは花見で賑やかになる墓地もあるという話であって、墓前で一族が集まって宴を開く習慣とは別なんじゃあるまいか」
と説明したけれど、イマイチ通じない感じでした。
なんというか、このおともだちは常にこんなふうで、異文化を無理やり自分の常識に当てはめて同じだと主張して理解した気になるんです。それはぱっと見すごく寛容に見えるんですが、なんとなく事実をねじまげてるし、都合の悪いものを見てないだけっぽい。それで分かった気になられると、イラッとくることがあるんですが、このイラッとポイントがどうも伝わらない。
だいたい、なんで同じだって主張しなきゃならないんですかね。違ってちゃダメなんでしょうか。「みんなちがってみんないい」by 金子みすゞ なのでは? 違ってるものは許せない?
あ、話が逸れました。
▲穴の中はこんな感じになってます。穴によって形状が違って、床が平らだったり、この穴みたいに四角い凹みがあったりします。
入り口は狭くてかがまないと入れませんが、中は人が足を曲げれば寝られるくらいの広さがあって、天井は意外と高くて大人が立てるくらいでした。
▲こんな穴もありましたが、これは土を入れて埋め戻したあとなんですかね。崩れやすい穴は埋めてあるようなことが案内板に書いてありました。
このような横穴墓は7世紀から8世紀にかけて作られたものが多いそうです。柏谷の例だと最古は6世紀の末とのこと。てっきり古墳時代の前かと思っていたら、後のものだったのね?!
大化の改新後に、薄葬令という勅令があったそうです。なんでも、中国では墓が立派になりすぎているのを戒めているので、我が国でも身分に応じてこのくらいの墓の規模を制限しようではないか、というような命令だったそうです。「蘇我むしころす(645年)大化の改新」ですから7世紀の話。
全国に横穴墓が盛んに作られたのは6世紀中ごろ〜8世紀のことだそうですから、大化の改新の前後になんらかの時代の変化があったってことみたい。へー、なるほど。
ということで、柏谷公園、おもしろかったです。横穴群の見学は無料でした。公園には無料駐車場もありました。公園の外にも横穴群があるはずなんですが、今回は時間がなくて公園内のしか見られませんでした。
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