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今いるお蚕が虚弱でダメなので来年どうしようって悩みながら一代交配品種の話をしてみる

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 春先に産卵させたお蚕の卵を、冷蔵庫で保存して9月12日に冷蔵庫から出してみました。うまくすると二週間くらいで孵化するはずなんですが、その気配がまるでなく、10月14日になってやっと一部が孵化しました。

 でも、これは育たずに死ぬかもしれないです。写真は今朝撮影したのですが、孵化から10日もたっているのにあまり育っていません。

 だいたい春に産ませた種が小さくてあまり良い感じじゃなかったです。 #お蚕の卵のことを種といいます。

 うちに今いるお蚕は、ぐんま黄金という、一代交配品種の、さらに子供です。一代交配品種というのは、ぶっちゃけた話雑種なんですが、良い性質が出るように親を選んでわざと作った雑種です。そのため二代目は親とは別の性質になってしまうんです。

 しかも、最初に群馬から取り寄せた種は「一蛾」という単位でした。これは 1頭のお蚕が産んだ卵という意味です。だいたい300個とか沢山産みますが、つまるところそれは兄弟姉妹ってことですから、そのまた子供を作ったら近親交配で生まれたってことになりますよね。

 昆虫の場合どこまでどう問題が発生するか、わたしにはよくわからないんですが、血が濃くなるとやっぱり遺伝的に問題が出るんじゃないですかね。今年のが特別虚弱な種だったのも、そのせいかもしれないですし。

 おまけに孵化に一ヶ月もかかったせいで季節が養蚕向けでなくなりました。気温も下がってしまったし、台風が二度も来て餌になる桑の葉がぼろぼろ。

 というわけで、写真の毛蚕たちは適当なところでカエルの餌にしようかと思ってます。それ以前に餌の問題などで育たずに死にそうな気もします。


 話がウザイとは思うんですが、ちょっと前にtwitterで「自分の育てたお蚕の卵を人に上げてもいいかどうか」っていう話題が出たので、一代交配種のこと、近親交配の問題など、参考までにウザく書いてみました。この手のことは専門的な文章なら探せばネットにもあるかもしれないけど、普通の言葉で書いたのは少ないかなと思って。




【まとめ】
・カイコの品種には、固定品種と、一代交配品種がある。

・固定品種というのは、同じ品種同士で交配させた時に、子供が親とほぼ同じ性質をもって生まれてくる品種のこと。

・一代交配品種というのは、同じ品種同士で交配させても、子供は親と同じ性質を持たない品種のこと。

・自分で育てた一代交配品種の種(卵)を、人にプレゼントしてよいか→おすすめしない

理由1:F1は良い性質であっても、F2(二代目)は良いとは限らない。

理由2:一代交配品種を商品として作っている会社や団体があるので、その子供をさらに作って配布するのは問題があるかもしれない。

理由3:同じ親から生まれた子供同士を繰り返し交配させていると、近親交配による劣化がおきるかもしれない(おきないかもしれない)。

・あくまで人にプレゼントしていいか、という問題なので、自分の趣味や研究で交配させる分にはお好きになさってよろしいのでは。



【蚕種の配布・販売をしているところ】
◎高原社
http://www.kougensha.com/
 長野県で昔から蚕種屋さんをやってた会社だそうです。趣味で飼うのにちょうどいい20頭くらいの飼育キットを販売しています。人工飼料も扱っているので桑が手に入らないという人にもお勧めできます。わたしも昔ここで注文したことがあります。

◎ジーンバンク
https://www.gene.affrc.go.jp/index_j.php
 ここは個人にもわけてくれるはずですが、もともと研究・教育用で、手続きがめんどうくさいです(届くまでに時間もかかるし)。わたしはまだ手を出したことがないんですけど、来年はここにお願いしてみようかと…うう、面倒くさいよう。でもここなら、美智子さまが御養蚕所で飼育している小石丸のような昔の品種も分けてもらえるはずです。

◎塩野屋
http://www.shiono-ya.co.jp/
 こちらは京都の織り元さんで、この会社オリジナルの品種「都あさぎ」の飼育キットを毎年夏になると販売しています。わたしも何度か注文したことがあります。わたしが注文してた頃は、都あさぎ以外にも、変わった品種を入れてくれることがあって楽しかったですよ。餌にする桑もセットで売ってくれますが、セットの桑で繭になるまで育てることはできないので、桑の葉がないんですっていう人はあらかじめお店の人に相談してみてください。たしか桑の葉だけ追加注文できたはずです。

◎群馬県 - 蚕糸技術センター
http://www.pref.gunma.jp/07/p14710007.html
 ここは以前は日本中どこにでも蚕種を有料配布していたのですが、数年前から蚕種配布事業を縮小して群馬県外には出さなくなってしまいました。がーんがーんがーん……富岡製糸が世界遺産入りして養蚕に注目が集まっている今だからこそ再開してほしいような気がしますが、相手は未開の地グンマーですからこのままじゃないですかね(涙目)

タグ:カイコ

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  • 2014年10月23日(木)13時39分
  • 自然・園芸::虫

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