ダイヤモンド富士の話はちょっとお休みです。天気も悪いし、富士山が確実に見えて、なおかつわたしが簡単に行ける場所で、夕日がダイヤモンドになるタイミングが12月の中旬までないので。
今日の話題は食材です。アズキの仲間の豆について書こうと思います。まあ、文章長いのでウザかったら写真だけどうぞ。ここに貼った豆は、すべて マメ科のVigna属に分類されてます。
アズキ・リョクトウ・ウラッド
▲左:アズキ(小豆)、中:リョクトウ(緑豆)、右:ウラッド
この三種類の豆は、みんな マメ科 Vigna属の近い仲間です。アズキは日本であんこにする豆で、緑豆は中国や韓国でよく使います。ウラッドはインドあたりでよく使うみたいです。
アズキ 学名:Vigna angularis
リョクトウ 学名:Vigna radiata
ウラッド 学名:Vigna mungo
学名の決まりはですね、1語目の Vigna が属名になります。2語目を小種名といいます。
これら三つの豆は Vigna 属という同じグループに属している仲間です。しかし、2語目の小種名がそれぞれ違うので種(しゅ)が違う、別種(べっしゅ)ということになります。
属の上には科という大きなグループがあり、種の下には変種や亜種や品種という小さなグループがあります。
植物も動物もそうですが、分類は住所のようなものです。田中さんは東京都葛飾区に住んでいて、鈴木さんは東京都足立区に住んでるとします。
田中さんと鈴木さんは、東京都民という同じグループに属していますが、その中でさらに葛飾区に住んでる人と、足立区に住んでる人という、それぞれ別のグループに分けられるというわけ。
さらに下を見れば、葛飾区・足立区の中でもどこに住んでるとか、東京都民と群馬県民は同じ日本という国に住んでいるとか、住所だとイメージわきますよね。
動植物の分類も同じです。目・科・属・種・変種(亜種・品種)の順にグループが小さくなっていきます。地球・国・県・市区町村・町みたいなもんですね。
こういう理屈がわかると気持ちがいいし、学名に興味がわくでしょ。
ちなみに、動物も植物も、研究が進むと分類が変わることもあるんです。たとえばアズキですが、昔はリョクトウの同種でちょっと違う変種だと考えられていました。つまり、昔のアズキの学名は、 Vigna radiata var.ナントカカントカ…だったこともあるわけです。
同じ分類体系、同じ時代で見ると、学名はひとつしかないのですが「別の学者はこう言ってる」とか「かつてはこうでした」みたいな理由で、学名が複数ある場合があります。そういうのをシノニム synonym と言います。同義語とか別名とかのことですね。
シノニム(別名)が存在してるってこともちょっぴり頭に入れておくと、学名でアレってなった時に霧が晴れるかもしれません。
▲上からアズキ、リョクトウ、ウラッド
値段は(大ざっぱにしか覚えてませんが)ウラッドが1kgで500円しなくて安いです。リョクトウは500gくらいで300円とか。アズキが一番高くて300gで400〜500円くらいします(しかも特別等級が高い品物とかではない)。
リョクトウは、緑豆春雨などの形で日本でも使われてますが、ウラッドは耳慣れないかもしれません。インド・ネパールあたりではよく使うらしくて、カレーに入れたりパーパドという煎餅の生地に使います。
ヒンディー語 उड़द ウラッド
マラティ語 उडीद ウディーダ
サンスクリット माषः マーシャハ
ネパール語 मास マーサ
ってな感じで、各地で別の呼び方されてるらしいです。ウラッド意外は各言語のウィキペディアから拾ってきました。わたしゃデーバナーガリー文字しか読み方を知らないので、タミル語など別の文字を使う地域だとまた別の呼び方があるかもです。
オマケ:アズキとササゲの違い
日本には、アズキによく似た豆で、ササゲっていうのがありますよね。両方とも赤飯に入れます。
アズキは煮ると割れてしまうので縁起が悪いと言う地域もあるそうなので、赤飯にはササゲでしょっていう人もいるかもしれません。
▲これがササゲ。
ササゲもマメ科 Vigna属 の仲間なので、最初に紹介した三種類と並べて撮影すればよかったんですが、わたしは最近まで勘違いしてて、これだけ Phaseolus属(インゲンマメなど)の仲間だと思ってました。そう書いてある本もあるしね。
実は、ササゲもアズキも、昔はインゲンマメの一種として分類されてたらしいですよ。ササゲもアズキも Vigna属に分類しなおされてて、ササゲの学名は Vigna unguiculata だそうです。ほほう(書いてるわたしが感心したりして)。
▲左:ササゲ、右:アズキ
ササゲとアズキは、何がどう違うかっていうと、ササゲのほうは平たくて、アズキのほうが丸いですね。
あと、白いヘソの部分。ここがササゲだと少し黒ずんでるんですが、アズキは真っ白です。
煮たときに腹が割れるのがアズキ、割れないのがササゲです。
それと、もしかするとササゲのほうが色の濃い煮汁ができるかもしれないです。
というのも、スーパーなどで出来合いの赤飯を買うと、入ってる豆はあきらかにアズキなのに。成分に「ササゲ煮汁」って書いてあることがあるから。豆そのものではなく煮汁をあえて使うってことは、発色の問題なんじゃないかと思うんです。↓そのことに気づいた時のツイート。
昨日、栗赤飯を買ってきて「なにこれ美味しい」っていいながら食べた。食べ終わってから「昔の赤飯はこんなに赤くなかった」と思い原材料を見たら、入ってる豆はアズキだけど、ササゲ豆煮汁で炊いてあったよ。ササゲのほうが発色がいいの?
posted at 06:43:27
煮汁をとるのに使ったササゲ豆本体はどこで使われてるんでしょうね。激しく謎です。
なぜアズキや緑豆やウラッドに注目しているか?
なんでこんなことを突然書き始めたか(いや、わたしは常に唐突になんかやりはじめるのでいつものことですがっ)。
ウラッドをパーパド(パパドと表記されることが多い)という煎餅にすると書きましたよね。インド・ネパール系のカレー屋さんでおつまみとして売られてることがあります。
ウラッド豆にはアミロース澱粉が多く含まれていて、ペーストにして加熱すると小麦粉のように固まるんです。
これは、インド食材店でウラッド豆を衝動買いして、買ってから料理法を調べて気づきました。
ちなみに緑豆も韓国ではペーストにしてチヂミの生地にするんです。どうやらこの仲間の豆は、みんなこういう性質を持っていそうですよ?
ってことは、日本のアズキもペーストにして焼いたらパンケーキか煎餅みたいになるんじゃないの?!
ということで、次は実験です(笑) # 更新は明日になるかもしれません。
タグ:食材