浅草寺の本堂落慶五十周年ということで、ご本尊さまがご開帳されたと聞いて9日(日)に見に行きました。天気が悪かったせいもあるのでしょうが、思ったより人がいませんでした(注:観光地なので参拝者は大勢いますが、いつもどおりという感じです)。
雷門をくぐったところに柱がたっていて、五色の帯がたれさがっています。その帯は、本堂のご本尊様につながっているので、帯に手をふれて拝むと、ご本尊様に直接ふれているのと同じだという趣向だそうです。
それほどありがたいイベントならば、もっと長蛇の列があってもよさそうですが、それほどでもありませんでした(注:観光地なので参拝者は沢山います)。並んでいる人が「色に意味はあるのですか」と警備の人にたずねていましたが、「すべてご本尊様とつながっています。自分の前にあるものを選んでください。独り占めしようとしないでください。観音様はみなさんと繋がりたいと思ってらっしゃいます」との説明でした。模範的な説明だと言えるでしょう。
帯にふれて拝んだあと、おたのしみ(?)のご開帳を拝みに本堂へ行きました。浅草のご本尊様は、絶対秘仏で誰も見たことがなく、それがこのほどはじめてご開帳されたというので期待がふくらみます。しかし、やはり思ったほど人がいません。もちろんいつも通り大勢の参拝者がいるのですが。一体どうなっちゃっているんでしょうか。
中に入ってみると、本堂はまったくいつもどおりに見えました。大きな賽銭箱があり、ご本尊さまがいらっしゃるところは金網の向こうです。さきほどの帯は、途中で細い紐になりますが、参道の上をとおってちゃんと本堂まで続いており、金網の隙間を通ってご本尊様の手に……あ、ほんとだ、結んである。
金網の向こうに、板状の木に彫った感じの仏像がありました。
あれがご本尊さま?
なんかイメージとまるで違う。浅草の観音様はとても小さいと聞きました。でも、今見えてるやつは、特別小さくはないと思います。大きくもありませんが。しかも、金網の向こうにあってろくに見えません。
今ひとつ釈然としないまま、いつもどおりよろしくお願いしますと拝んで浅草寺をあとにしました。
帰宅してから調べてわかったのですが、このほどご開帳になったのは、お前立ちのご本尊様なのだそうです。お前立ちというのは、大事な人の前にたってお守りする人のことです。
つまり、漁師が海からひきあげて、子供達がアカザのお堂をたてて拝んだ絶対秘仏のご本尊様じゃなくて、そのご本尊様をお守りするために作られたご本尊様その二だったのです。
戦後たてなおして五十年ぽっちしかたってない本堂の落慶記念に、ご本尊様のご開帳なんて話がうますぎるとは思ったのですが……orz
ちなみに、お前立ちのご本尊様もこれまでご開帳されたことはなく、慈覚大師円仁が1200年も前に謹刻したものなので、こちらもきわめて貴重なものだそうです。
◎浅草寺
http://www.senso-ji.jp/about/index.html
http://www.senso-ji.jp/info/this_month_info/h20-daikaityou/h20daikaityou-sp.html
浅草寺の本堂は戦争で焼けていますが、ご本尊様は天水鉢におさめて地下深く埋めてあったのでご無事であった、というのが通説になっているようです。絶対秘仏とはいえ、おそばでお仕えするお坊さんたちは見たことがある、ということなのでしょうか。少なくとも、戦災から守るために地下に埋めたお坊さんは見てるのですよね?
それというのも、誰も見たことがない秘仏なのに、小さい観音様なんだよってみんなが知ってるのはなんでだろうって思うので。いや、たしかに海からひっぱりあげた漁師は見ただろうし、放置されてた観音様にお堂をつくってあげた子供達も見てるはずだけど、それって1400年近く前のはふじおkpl@;「:……げほっ、ごほっ、いえ、なんでもありません。
浅草寺には、意外と深い謎がありそうです。そんなところがちょっと好き。
▲浅草寺(11月9日)、本堂落慶五十周年、ご本尊様ご開帳に集まった人たち。こうして写真を見返すと大勢いますね。きっと不信心なわたしの目が曇っていて、ものが見えていないのでしょう。
お参りをしたあとにお寺のまわりを歩いたら、浅草にも地口行燈がたくさんありました。面白いのが多いんですが、残念ながら元ネタが並記されちゃってる。まあ、元句を読んでも意味不明だったりするんですけど、まずは自力で考えてみるのが楽しいんですけどねー。
左:坊主の手からじゅずがもり|右:おやおやうづばっかり
元句:上手の手から水が漏り|元句:おやおや嘘ばっかり
左:わらう顔にはふぐきたる|右:あとの号外先にたゝず
元句:わらう顔にはふぐきたる|元句:後の後悔先にたたず
左:はんぺんもらってたばこにしよ|右:大かめもちだ
元句:三遍回って煙草にしよ|元句:大金持ちだ
左:たらいに見かわすかおとかお|右:板きりむすめ
元句:互いに見交わす顔と顔|元句:舌切り雀
江戸文化にしたしんでみよう
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稲荷の初午や天王祭に地口絵を飾ることが江戸後期に流行した。古典や慣用句や端唄や歌舞伎の名科白などを捻った多種多様な地口灯ろう絵から、当時の庶民の豊かな教養と情感が窺われる。地口の魅力満載の事典。
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