思い出すままに昔のこととか書いてみる。
田舎では思わぬものに砂糖を使う。うちではなぜか、トマトに砂糖をかけて食べていた。
昔のトマトは今みたいに真っ赤でもなければ甘くもなくて、ちょっと青臭くて、やや酸味があった。それを櫛切りにして、スプーン一杯の砂糖をかけて食卓に出す。イチゴに砂糖をかけるような発想だけれど、デザートじゃなく、おかずとして食べた。
正直言うと、ご飯のおかずに砂糖がけのトマトは微妙だと思う。でも、その食べ方自体は嫌いじゃない。大人になった今も、たまに思い出すとトマトに砂糖をかけてみる。トマト自体が甘くてしまりがなくなっているので、昔みたいな味がしない。
砂糖といえば、子供の頃、わたしの家では麦茶が甘かった。
昨今、麦茶といったらペットボトルで買ってくるか、さもなきゃ水出しのティーバッグで済ませてしまうでしょうが、昔はお茶っ葉みたいに袋詰めで売られていて、ヤカンに水と一緒にぶちこんで、煎じて作ったものだった。ティーバッグもあったけど、水出しではなくお湯で出してたね。
その麦茶が、うちでは甘かった。まだ熱いうちに砂糖を入れて冷やすんだと思うけれど、なぜか砂糖を入れてる場面はあんまり記憶には残っていない。子供心に覚えているのは、冷蔵庫で冷えてる麦茶はすでに甘かったということ。
とにかく、わたしにとって麦茶は甘いものだった。甘い麦茶しか知らずに育ったので、甘くない麦茶が存在するなんて考えたこともない。
ある日、友達の家で「麦茶飲んで行きなさい」と言われて、飲んでみてびっくり、ぜーんぜん甘くない。
「ねえ、これ甘くないよ?」
と、友達に言ったら、
「えっ、麦茶が甘いわけないじゃない」
と、冷たく言われ、その時はじめて、うちの麦茶には砂糖が入っていることに気がついたというわけ。生まれて初めてのカルチャーショックだった。
何時の頃からか、うちでも砂糖を入れなくなったけれど、たぶん水出し麦茶のティーバッグが普及したせいじゃないのかな。冷たい麦茶に砂糖はとけないもんね?
タグ:昔のこと