松戸市の戸定邸(とじょうてい)というところへ行ってきました。松戸駅の東口を出て、線路沿いを南へ徒歩10分くらい。徳川慶喜の弟で、徳川昭武(とくがわあきたけ)という人のお屋敷だそうです。
昭武は歴史の表舞台にはあまり名前の出ない人だと思うのですが、13歳の時、パリ万博(1867年)に将軍の名代として派遣されたということです。明治維新の前年ですね。その後、2年間パリで留学生活をおくり、その間に明治維新で徳川の時代が終わってしまい、帰国して水戸藩主になります。29歳の若さで隠居して、松戸に構えた屋敷が戸定邸というわけです。
撮影していいのかどうかよくわかんないのでろくな写真がないんですけど、まあ、よさそうなものをいくつか。
▲普段は入れない庭園から撮影:お庭は立派な芝生になっていて、普段は保護のために立ち入りが禁止されています。毎月10日に解放されるので、こうやってお庭から写真がとれるわけですね。
お屋敷は木造の日本家屋で、とても広くて迷路のようです。昔の家なので、裏も表も縁側で、壁になってる部分にも必ず小さな窓がついているので、開け放つといい風が吹き抜けていきます。庭園に面したお座敷は、座ってくつろいでもいいことになっているみたいなので、文庫本でも持ち込んで、一日のんびり読書でもしたら、さぞ気分がいいだろうなと思います。
正しい日本家屋っていいですね。こういう昔のお屋敷をあちこちで見るにつけ、現代日本の住宅事情は何かに騙されているような気がしてなりません。狭さの問題ではなくて、外界と遮断することしか考えていない作りがいけないような気がする。
▲蝙蝠の欄間:各部屋の欄間は、デザインはそれぞれ違うものの、だいたい全部こんな感じでした。徳川家のお坊ちゃんの家にしては質素。そこが素敵ってのはあるんですけど、幕府が転覆したことで財政的にどうだったのかな、なんて余計なことを考えてしまう。まあ、質素といったって平民の家に比べたら段違いに豪華ですよ。
▲このように富士山が見えるはず……?!:光っちゃって見にくい写真ですみません。平成17年に関東の富士見百景に選ばれたそうで、お庭に面したお座敷からは、この写真のように富士山が見える「はず」なんですって。
ところが、実際はどうかっていうと……
▲鉄塔の位置から考えて、富士山ポイントはここだと思うのですが、これはちょっと、あんまりなんじゃないだろうか。金町南口のでっかいビルが富士山の手前にでーん。
来る人来る人が、「ここから富士山が見えるんですってよ」と楽しそうに言うので「この写真の通りなら、あのビルの向こう側ですね」と教えてあげたら「きっと裾野くらい見えるんじゃないかしら」とおっしゃる方もおられたのですけど、関東の富士見百景が裾野のチラリズムじゃね……地元民としてちょっぴり心が痛みました。まあ、わたしが建てたんじゃありませんが。
この季節は空が霞んでいて、晴れていても富士山は見えませんから、真冬にもう一度来て、実際どんなふうなのか確かめてみようと思います。実は想像より見えるのかもしれないし。
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◎松戸市戸定歴史館
http://www.city.matsudo.chiba.jp/index/profile/shisetsu-guide/rekishi/tojo.html
入館時間: | 9:30〜16:30(17:00閉館) |
休館日: | 月曜日(月曜が祝日の場合は翌火曜) |
駐車場 | あり(無料) |
入館料 | 資料館と共通で240円 |
お屋敷のほかに小さな資料館があります。今日は徳川昭武が自分で映した写真が展示されてました。たまに臨時休館日があるそうで、今月は24日(木)がお休みだそうです。
歩きなら松戸駅の東口から。車だったら、水戸街道の陣ヶ前という交差点から北へ入って突き当たったら左、線路の手前で右って感じです(園芸大学を迂回する)。
[追記]富士山の見える季節に見に行きました
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=816