だいぶクールダウンしたから落ち着いて書けるといいましょうか、あるいは頭にキターって書いたほうが面白かったといいましょうか、百穴温泉っていうやつに行ってみました。
百穴というのは遺跡の名前です(詳細は前の前の記事)。山肌に数百の穴があるだけなのですが、なぜか大勢が見に来ます。
遺跡の近くにこんな古い看板が残っています。こういうの見ると行ってみたくなっちゃう。旅館・百穴温泉・チンギスカン・山菜料理……最初に来た時この看板を見て、次回はここへ行ってみようと思っていました。
川沿いの細い道の先に温泉があるらしいです。こんなゲートがあるので温泉街なのかと思ったけど、行き着いたところにあるのは謎の建物だけでした。
謎というか、なんと表現すればいいんでしょう。別に変わった建物があるわけではないんです。古いだけで別になんということも。ただ、入り口にあれだけ大々的にゲートを立てておきながら、その建物はこれっぽっちも旅館には見えないし、お客を歓迎しているようにも見えません。そうかと思うと庭に車がたくさん置いてあるので、実は繁盛しているのかなとも思いました。
いちおう看板は出てたと思いますが、なんと書いてあったか正確には覚えていません。センター部・旅館部・百穴温泉・春菜とか、そんな感じだったと思います。センター部ってなんだ?
とりあえず営業してるのかどうか聞いてみることにしました。玄関を入ってみると……うーん、なんだここは。たしかに旅館をやってたような形跡があります。入って左手に立派なフロントがありますが……あー、物置になってる。しかも、そうとう大昔に物置になったと思われます。
右手にロビーがあり、ソファーに誰か座っていましたが、わたしの顔を見ても立ちがらないのでお客さん……なの?
奥にむかって、ごめんくださいーい、などと叫びながら、しばらく待ってみました。どこかの子供がぎゃーぎゃー騒ぎながら走り回っています。
何度か叫んだら宿の人がでてきました。温泉はやってるということでした。一日1300円で宴会場で自由に休憩してよくて、温泉は何度入ってもよいとのことでした。
1300円……ちょっと高い。いや、かなり高い。タオルも何もついていないのにですよ?
今思えばそこでやめておくべきだったんですが、せっかく来たしと思い、お金を払って入ることにしました。
こっちが温泉で、あっちが宴会場ですと案内されました。建物は古くてガタが来ているけれど、昔はそれなりに立派な旅館だったかもしれません。昭和中期くらいの香りがします。しかし懐かしい感じはしませんでした。ひどい場末感が漂っていて、廊下の途中にあるコインランドリーの機械なんかも絶対に動かないんじゃないかと思えるオーラを発しています。
「カギのかかるロッカーがないので貴重品はフロントでおあずかりします」と宿の人がいうので、タオルと携帯電話だけ持って、他の荷物はともだちの車に置きにもどりました。
ロビーで座っていた人が「騒がしくてすみませんね」と言いました。どうやらこの人は宿の関係者のようです。あるいは知人かもしれないけれど、とにかく身内のようです。わたしたちが玄関でずっと立ってた間、この人は何もしないでくつろいでいたのに。やっぱりやめればよかったと強く思ったけれど、お金を払ってしまったのでもう仕方がありません。
脱衣所に入ると壁一面に木製のロッカーがありましたが、すべての蓋が取り外されていました。あきらかに、昔は蓋があった形跡があります。壊れたので全部はずしてしまったのでしょう。
服を脱ぐ前に浴室を覗いてみました。誰もいませんでした。これがそのとき携帯で写した写真です。古い温泉の女湯なので、広さはこんなものでしょう。昔は一流旅館だって、女湯はこの程度でした。
でも、なんでしょう、この場末感は。
何かがおかしい。
ああ、そうだ。窓が曇りガラスじゃなくてペンキなんだ!
最初からこうなのか、割れた窓ガラスを入れる際にこうしたのか、事情はわからないけれど、すべてのガラスがペンキで塗られています。しかもつい最近のことじゃないでしょう。ずいぶん前からこうなのです。
もうなんだかよくわかりません。思考が停止しかけています。ひとっ風呂浴びてさっさと出ることにしましょう。
と、服を脱いで浴室に足を入れたら……うえぇ、砂でジャリジャリ。古い施設なのでタイルがはげたりしているのは我慢するとしても、床が砂だらけです。デッキブラシが無造作に置いてありました。勝手に洗えということでしょうか。上を見れば天上はカビだらけ。写真には写っていない左の奥に温泉にはありがちな溶岩の岩場が作ってあり、そこにはT字カミソリと歯ブラシが放置されていました。
ペンキでぬりたくられた窓は、本当にただのサッシで、女湯側からカギがかかるようになっています。カギをあけて、少しだけあけて外を見たら、そこは男湯でした。いや、混浴かな。そういえば脱衣所に露天こっちって書いてあったような気がします。露天風呂は混浴なのでしょう。混浴にはお客さんがいたので慌てて閉めました。女性用の脱衣場には服がなかったので、入っているのは男性客だけでしょう。
肝心の温泉はというと、無色透明で香りもありません。温泉かどうか判別はつきませんが、たぶん温泉です。メタホウ酸泉というらしいです。温度がやや低いけれど、長湯するにはいいかもしれません。
目的は温泉だから、温泉さえよければそれでいいやと気を取り直し、着替えて廊下に出ました。宴会場の近くのトイレを見たら、二部屋あるのに両方とも紙がきれており、トイレットペーパーの芯だけが散乱していました。
散乱です。一個落ちているとかではなく、無数が散乱。いくつかは汚物入れにつっこまれていて、入りきらない分が散乱しているのです。ペーパーを一巻き使うのにどのくらいの時間がかかるかわかりませんが、それが無数にあるので一日や二日じゃないでしょう。その間、このトイレは掃除されていないということです。
とりあえず紙はないかと、あちこち見回しました。便所のとなりに厨房のような場所があります。厨房というか、屋台のような感じ。宴会場があるので、昔はここでちょっとしたものを屋台風に提供していたのかもしれません。でも、がらんとして、今は使われていないようです。もちろんペーパーも落ちてない。
宿の人を探そうとさまよっていたら、別の場所にもトイレを発見。確認したらこっちには紙がありました。
さて、自由に使っていいという宴会場へ行ってみました。ちょっとした舞台のある立派な宴会場です。えんじ色の幕があったと思います。
実は宴会場をろくに見ていないんです。先にでていたともだちをみつけて座ったら、後ろで「やん、あはん」「しっ、しずかに(笑)」「あん、いやん」ってな感じの声がしたもので。
その手のことに耐性がないわけじゃないのですが、予期せず自分の真後ろから聞こえてきたので振り返りにくくなってしまった。
宴会場には10人くらいの人がいたと思います。テレビがあって、何かのアニメを放映してました。夕方ですがまだ明るい時間です。やけに裾の短いヒラヒラのワンピースを着た女の子が「じゃ、かえりますぅ、ありがとうございましたー」と明るく立ち去って行きました。太ももが剥き出しでおしりが見えそうでした。「はい、またよろしくー」みたいな男性の声が後ろからしました。このお姉ちゃんも「あはん、うふん」の仲間のようです。
後ろの声がいよいよ大きくなってきましたが、誰も騒ぎ出すことなく歓談していました。みなさん変な顔をしながら声の方を見ているようなので、気づいてはいるようでした。というか全員がよがり声の仲間だったかもしれないです。
わたしたちは頃合いを見計らって席をたちました。出がけに横目で見たら、座布団を並べた上に服を着たままの女の人が寝転がって、おまたを広げた状態で、あはん、うふんと言っており、それを複数の男性が取り囲んで見ていました。エロビデオの撮影かもしれません。
よっぽど宿の人に言うかとも思ったのですが、宿の人も仲間かもしれないのでやめました。
そんなこんなでございます。わたしは一体なんのために1300円も払ったのでございましょう。看板にあったチンギスカンだの山菜料理だのはどこへやら、料理されていたのはお姉ちゃんだったというお話の一巻の終わりでございます。
えーと、とりあえず1300円返してほしいな。苦情を言うとしたら、どこに言ったらいいですか? そもそも旅館組合とか観光協会とかには加盟してそうもないですしね。やる気のないのもここまでくると犯罪級ですな。いっそ警察呼んでみればよかったかなって思う今日この頃です。よい子はけっして近づかないように。
追記
コメント欄で「子供の悪口はゆるさん」と書かれたので見直しましたが、これ悪口ですかね。わたしは受けた扱いをそのまま書いたつもりなのですが。
たしかに、宿の子だとすれば誰だかわかってしまうのでまずいのでしょうが、本当に宿のお子さんかどうかはわかりません。ロビーに座ってた人が関係者っぽくて、その人が注意したので関係者の子供のようには感じますが、それだけです。コメント欄で「宿の子だろ」と言われて、ああ、やっぱりそうなのと思ったくらいです。
しかし、もしその関係者らしきお子さんがこの記事のせいでいじめにでもあっては困りますので(あるいはもう合ってるというご指摘なのかもしれませんけれど)、お子さん関係を大幅に削除しました。