アモルフォファルス・ティタヌムは、和名でいうとショクダイオオコンニャクまたはスマトラオオコンニャクと呼ばれる蒟蒻芋の仲間です。
そんな難しい名前より「世界一臭い花」「死人の花(死臭がするから)」という別名のほうが有名ですね。
そうです。あの臭い花が小石川植物園で開花したのです!
といっても日本初ではありませんし、小石川でも19年前に一度だけ咲いたことがあるそうです。
開花前から公式サイトでレポートされていたそうで、テレビやネットのニュースで「ついに開花」と報じられたら見学者が殺到したそうです。ものすごい行列ができて、入場制限までかかったそうですよ。
わたしが見に行ったのは開花してから二日くらいたった7月25日の早朝です。開園直後だったせいもあり、さすがに空いててゆっくり見られました。
これが問題のアモルフォファルス・ティタヌムです(長いので以下はティタヌムと省略)。
これはでっかい。
そうとうでっかいですよ。
鉢の分をさっぴいても子供の背丈くらいあります。
ただ残念なことに、写真のように苞がしぼんでいましたし、せっかくの(?)死臭もしませんでした。
植物園の人に聞いたところ、完全に開花したのは23日の夕方で、翌日くらいまでは少し離れたところまでぷんぷん匂っていたそうです。
根元を写してみました。地面にぺろんとしているものは、ティタヌムがつぼみだった頃にかぶっていた皮です。この皮がむけてオトナニなるわけですね。
え、なに、表現がエロい?
それはいたしかたのないことです。なんせ、学名のアモルフォファルス Amorphophallus は「変な形のおちんちん」という意味なのです!
ティタヌムは「タイタンの」という意味です。タイタンは巨人の名前ですから、巨人のへんてこなおちんちんという意味なのですね。
チンコチンコ言うなーという苦情はうけつけません。偉い学者先生たちがつけた立派な学名なので仕方がありませんっ!!
これは19年前に小石川で咲いたティタヌムの写真だそうです。今年咲いたのと違い、真ん中の突起が黄色いですが、種が違うのではなく個体差だろうということでした。
こっちは葉っぱです(ティタヌムのじゃなく、近縁種の何かかもしれません)。花が萎れると翌年はこういう葉っぱが生えて来ます。
日本の蒟蒻芋もそうですが、まず球根から葉がでてきて、その葉が枯れて、翌年はまた葉が出てきて枯れて……というのを何年か繰り返して、ある年とつぜん、葉ではなく花になる芽が生えてきて、ぱっと咲いて萎れてしまい、翌年はまた葉が出てくる……というのを繰り返します。
他の花から受粉すれば種になりますが、自家受粉では種ができないということでした。今年は人工授粉をしたそうですから、うまくすると種ができるかもと、植物園の方がおっしゃってました。
ところで、ショクダイオオコンニャクのことを、世界一大きな花とも言いますよね。ギネスブックにもそのように掲載されているそうです。
でもティタヌムのラッパのように見えるヒラヒラの部分は苞といって、葉が変化したものです。花は小さくて、苞の中にびっしりついています。
http://www.bg.s.u-tokyo.ac.jp/koishikawa/+Amorphophallus/+A.titanum2010/titanum.html
今ならこちらのページ(小石川植物園の公式サイト)で苞を切り取った写真が見られます。
厳密に花のサイズで比べたら、ティタヌムの花はアサガオにも負けるような小さなものです。ギネスブックの記録は、動植物に関して言うと検証がぬるいんじゃないでしょうか。
なお、小石川植物園では「世界一高い花」と呼ばれるアモルフォファルス・ギガス(ギガントのへんてこなチンコ…笑)が咲いたこともあります。その時の様子は珍獣様の博物誌をどうぞ。
◎珍獣様の博物誌・アモルフォファルス・ギガス
http://www.chinjuh.mydns.jp/hakubutu/plantoj/kon01_a.htm
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