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豆腐百珍:結び豆腐

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四 むすびとうふ 細く切り醋(す)にて浸けていかやうにもむすぶへし よく結びて水へ入れ醋気(すけ)をさる也 調味(てうみ)このみしだひ

 酢につけろというのは豆腐のたんぱく質を固くして扱いやすくしてるんでしょうか。最後に水で酢をぬいてるので味つけではないってことですね。

 昔の料理書には分量や時間がありません。そういうのを書き記すようになったのは明治以降だと聞きました。計らずに作るので料理の下手な人はよく失敗していたそうです。料理が不味いことを嘆いた福沢諭吉*1が、海外で分量つきのレシピを見て日本にも導入しようと啓蒙したのが最初だそうです。

 『豆腐百珍』は江戸時代・天明2年(1782年)の本なので、当然細かい指示がありません。酢につけろとはあっても何時間つければいいのかわかりません。

 とりあえず一時間くらい浸けてみたんですけど、うーん、まあ、何もしない時よりも強くなってるけど「いかやうにも結ぶへし」と言うほど自由じゃないですよ。酢気を抜くのはもっと大変。一体何時間水にさらせば酸っぱくなくなるのか……苦労してできあがったものは、写真のようにどうでもいいものです。もっと意外な結び方ができるようじゃないと手間ひまをかける意味がないですね。

 なお『豆腐百珍』は料理を尋常品・通品・奇品・佳品・妙品・絶品に分けて、結び豆腐は尋常品に分類しています。常に用意しておいて何かに使いなさいということでしょうか。これだけで食べるのではなく、飾りにするか、すまし汁の実にするかってところでしょうね。

*1:うろおぼえなので漱石だったかもしれません。とにかくそこいらへんの文化人が最初にやりはじめ、当時の雑誌だか新聞だかに料理のレシピを連載してたらしいですよ。たぶん諭吉です。ソースはすっごく大昔の「昼は○○思いっきりテレビ」今日はなんの日(ふっふ〜)のコーナー。

タグ:豆腐百珍

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