今年の正月に青春18きっぷで金沢に行きました。その時に上越線に乗ったわけですが、水上駅の近くのどこかで車窓から「釈迦の霊泉」という看板が見えたと思うんです。正確にどこだったかは覚えてませんが。
ルルドの泉みたいなやつだっていうのは看板からなんとなくわかります。その水を飲んだり、水に浸かったりすることで病気が治ると評判なんでしょうね。
先日、上越線に SL を見に行った時、道端で「奈女沢温泉 釈迦の霊泉 この先私道を 3km 」などと書かれた看板を見たので寄ってみました。奈女沢は、なめさわ、と読むようです。とても古い看板で完全に昭和のものです。
奈女沢温泉とあるので普通の温泉街とも思えるのですが、私道と書いてあるところを見ると宗教団体か何かかもしれません。少し迷いましたが、行くだけなら害もないだろうと思い、言って見ることにしました。
大通りからはずれて私道に入ると、道は細くて山道なのでちょっと恐いですが、きちんと舗装されててちゃんと整備されてます。
道の途中に派手な仏塔がありました。最近整備されたのか囲いや門構えは新しい感じでした。仏舎利を祭っていること、たくさんの神々がいるところで、立派な門は閉ざされており立ち入りはできないと書いてありました。霊泉はさらに上へ 1km くらいとも書かれています。完全に宗教だなあと思いながらも、ここでは車をまわしにくいのでさらに上へ行くことにしました。
一番上までのぼるとがらんと広い場所があり、新しくない建物がいくつかありました。職員のものとおもわれる車がいくつか止まっています。とても静かなところです。沢ですごい数のカエルが鳴いています。
▲建物の壁に何か書いてあります。よく見ると「ここでは現金を一切扱いません。引き換え券がないと霊泉は出せません」とあり、無駄足だったかなと思いました。
▲でも、こっちの建物には「御神水 受付」と書いてあるので、話くらいは聞いてみようとしたら、建物の中には「試飲できます」と書いてありました。そこで、受け付けの人に聞いてみると、
「どなたでも、通りがかりの方でも、試飲は無料ですし、もしペットボトルをお持ちでしたら、2リットルまでは無料で汲んでいただけます。それ以上お持ちになりたいなら代金をいただきます」
ということでした。合宿施設のような感じで、別に宗教っぽいところはまったくないです。
▲釈迦の霊泉はこんな蛇口から出るようになってました。岩の間から沸いてるようなところを想像してたのでちょっと肩透かしです。たぶん源泉は保護されていて、通常飲んだりするようにパイプで水を引いているのでしょうね。
▲特に香りもなく、色もありません。いただいてみると冷たくて美味しい水でした。
▲ブログもあるらしいです。宿泊施設もあると書いてありますね。どやらこの釈迦の霊泉を沸かしたのが奈女沢温泉らしいです。
いろんな人がここの霊泉で病気がなおったと、お礼の手紙が来るそうです。そういう手紙がコピーされ、資料として置いてありました。癌が治ったとか、糖尿病が治ったとか、原爆症が改善したとか、まさにルルドの泉のようなものです。
ともだちは宗教だっていって「怪しい、怪しい、こういうのは本当に効くのか」を連発するんですが、そういうふうに怪しんでしまうなら効かないと思うって答えました。こういうのは多分に心の問題なので、効きっこないと思ったら効かないと思うんです。
でも、そこはわたしが見た感じだと、怪しいを連発するほどヘビーなところとは思いませんでした。途中に派手な仏舎利塔があるくらいで、その他の点ではほとんど宗教っぽい感じがしませんし、宿泊施設だって食事付きで一泊9000円だったら普通の温泉宿と変わりません。公式サイトで見ると、お水の値段は「送料込みで」10L 3500円です。ぼったところが少しもありません(同様の例でいうとゼロ磁場の水なんか通販で買おうとするともっと高いんですよ)。入浴のみの利用もできるみたいなので入ればよかったかな。
帰ってから検索したら、国民保養温泉地にも指定されてるそうで、そうなると源泉を管理しているのがたまたま宗教関係だというだけなんじゃないのかと思います。昔もっとゆるかった時代は、なんとなく評判でそこに人が集まってくる感じだったんじゃないですかね。
◎釈迦の霊泉・公式サイト
http://www.shakanoreisen.com/
このサイトに古い新聞記事などが掲載されているのですが、代表者は今井貴美子さんという老婦人で、子供の頃から霊の声が聞けたり、人の死期を予言できたりしたそうです。しかしその能力を親が喜ばなかったため、霊力を心に閉ざして大人になりました。しかし、第二次大戦後にまた神仏の声を聞きます。「おまえがしっかりしないと日本は滅亡するぞ、よいか」
彼女が教祖として歩みはじめるのはそれからです。神仏から聞いたことを参考に作った育毛剤などで有名になり、一時期は政財界でもてはやされたりしたそうですが、神仏の声に導かれて群馬の山のなかで霊泉をみつけ、ここで病に苦しむ人を助けようと決意した…と、そういう感じです。
でも、施設に行ってもそういう説明はほとんどなかったです。だから余計に得体がしれなくて落ち着かない感じはしますが、特になんということもなく普通でした。そのうち癌が再発していよいよダメになったら湯治に行ってもいいかなと思います。
ちなみに、この水を飲んでからしばらくは便通がよくて、いきまなくてもツルンと出てしまい、かといって下痢のときのように渋ることもなく、非常に爽快でした(いや、わたしはもとから便秘の気がないのですが)。顔も洗わせてもらったところ、吹き出物が消えていい感じです。霊力なのか温泉成分なのか、そこは神のみぞ知るところですけどね。
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