▲脱皮を済ませたあとのお蚕さんは、少しだけ誇らしげに見える。
▲脱ぎ捨てられた古い皮。傍らに落ちている小さな丸いものは頭の殻。
5月30日に四眠が明けました。最後の脱皮です。蚕は脱皮の前に死んだように動かなくなります。その状態を眠(みん)とか休みとかいいます。四眠は長いのです。眠に入ってから脱皮が済むまで丸二日もかかりました。
▲なぜか必ず一匹や二匹大きくならないのが混ざってる。
こういう育ちの悪い小さな蚕ばかりより分けて「これを自分で育ててごらん、こうやって餌をやるんだよ」と祖母から飼い方を習ったことがあります。
小学校低学年の社会科の授業で、「養蚕の仕事を手伝ったことがある人」と先生から言われて「小さい蚕と、大きい蚕をわけるのを手伝いました。小さいのはもらって育てました」と答えたら、鼻先でフンと笑われて、スルーされたのを強烈に覚えています。
確かに手伝いではないですが、そういう先生こそ農家の出でもなさそうなので、今考えるとこちらが鼻先でフンという感じ。
蚕の落ちこぼれは本当に必ず出るものなので、それをどうするかを知ってるのはリアルな養蚕体験のある人だけなんじゃないのかしらね。
より分けて育てた家もあったでしょうし、かまいきれなくて捨てていた家もあるかもしれません。捨てられた蚕をこっそり育てて小遣いを稼いだ手伝いの若い娘さんもいたかもしれないし、これで練習しなさいと子供に渡した人もいたかもしれないです……わたしがそうだったみたいにね。