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養蚕重宝記10:(後書き)

 23回分くらいあるとかいいながら10回で終わりました。後半まとめてアップしたからです。

 ここからは後書きにあたる部分で、本文より読みにくいところがたくさんありますが、桑の木の皮をはいで、その内側のやわらかい皮を細かくして蚕に与えてみるなどの実験についても書かれており、興味深い内容です。

十八丁表

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko04/bunko04_00660/bunko04_00660_p0023.jpg
↑ここの左側
# ここからは後書き

右記・・・・多年心かけためし見るに飼方の移事宵の晩に
内は勿論外の桑葉にまで蚕はきかけ置見るに夜は露
しもをしのかんゐに葉のうらに迫り昼は・に迫る也風
雨はけしき時もおなしく衷の袖に付是即季かうを
かんごうすへき事也程に四度の休み此清してまゆ作る事
うつくしきもの也然といへども諸色諸虫のかたき多くして
かえがたし實事桑の木の皮肉の間の皮をとり細に

# 「右記・・・・」三文字目は書かも。多年の前の小さな文字も読めない。
# 「宵の晩」 自信なし
#「しもをしのかん"ゐに"葉のうらに」 かんゐに 意味不明
# 「昼は・に迫る也」さっぱりわからない
# 「衷の袖」 内袖のことか?
# 「是即」の即のくずし方も知らないと読めない難読文字
# 「季こうをかんごうすへき」 「季こうをかんがへ」が最初の方に出てくる
# 「也程四度の休み此清して」自信なし。
# 「諸色諸虫の」 ここも自信がない。諸色は物価の事らしいので、値段をとわずあらゆる虫(蚕)の、という意味か。諸國諸人(複数回出てくる)を虫に変えた言葉遊びなのかもしれない。
# 「かえがたし」 かひがたし?
# 「實事桑の木の」 まるで自信なし。
# 「皮肉の間の皮をとり」 樹皮と材の間の薄皮までとったという意味か

十八丁裏〜十九丁表

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko04/bunko04_00660/bunko04_00660_p0024.jpg

して四日程是をあたへ死しやうを見るにせいぶんつよくして
さかんなり後に桑にてかえとり上々のまゆ作る也此二つ道
を能く心に掛其外種々の手立にて秘術を覚る事
多年也是によつて諸國諸人のゐに紀む・・此
書を心に掛御飼立・・成候その当り少もうたがへ
なし実にあらましき道といへども猶此文にしたがひ
口傳の有へきものなり

# 「かえとり」 かひとり?
# 「うたがへなし」 うたがひなし と書くべきところが訛っている?
# 「あらまし」=あらまほし=あってほしい
# 「・・成候」激しく崩してあるので決まり文句っぽい。
# 「口傳の有へき」 有は自信がない。


天保十一年庚子正月改板
信州小縣郡上田在マイタ邑
中村彌七郎謹白(印)

信州佐久郡中山道芦田宿峠
小松屋壽惠藏
謹書

# 天保十一年は 1840年。
# 改板とあるので版木を彫り直してる。十一丁にも「改はん」したと書いてある。

タグ:古文書解読

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珍獣ららむ〜 2012年12月20日(木)18時48分 編集・削除

>しもをしのかん"ゐに"葉のうらに

わかった。
「ゐ」じゃなくて漢字の「為」ですね。
「露しもをしのがん為に」

珍獣ららむ〜 2012年12月20日(木)19時05分 編集・削除

>實事桑の木の

図書館で借りてきた本(重宝記資料集成)だと潰れて読みにくかったんですが、早稲田大学のを見たら「實に夫桑の木の…」みたい。

ちょっと見直してわかるくらいならアップする前に見直せばいいのに、わたし >_<

珍獣ららむ〜 2012年12月22日(土)08時08分 編集・削除

最終的にみなおしをかけたらさまざまなことが分かったであります。

>・・成候

この部分、原文を見ていただければわかりますが、ぐちゃぐちゃっと書いてあり普通には読めません。
こういうところはどうやら決まり文句できちんと書かなくてもパッと見ればわかるたぐいのものらしいです。

この部分は最初のマみたいなのが「可」のくずし字で
最後の小さい n か h みたいなやつが「候」
候の上の元気のいいやつはよく見ると「成」
「可・成候」までわかると、あとは決まりなので
二番目は「被」らしいです。
「可被成候」で「なさるべくそうろう」と読むと辞典に書いてありました。

くずし方もいろいろあって、養蚕重宝記の例などまだ読みやすい方でした。
辞典に掲載されてたものはもっと読みにくく、本当に知らないと絶対に無理……おそるべし昔の人。
これを読みこなしていた昔のインテリたちはどれだけ頭がよかったのかと。