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突然思い出した数年前のドラマとその原作の話

 何年か前に入院してた時、夕方のドラマ再放送枠で自閉症児を育てる母親のドラマを楽しみに見てた。たしか母親役は篠原涼子だったと思う。

 これがやけに心に残るドラマだった。自閉症という生まれつきの障碍をかかえた夫婦が、その子を養護専門の学校でなく、普通の小学校の養護教室に入れようとして奔走してる。あっちこっち断られてしまうんだけど、とうとう協力的な学校をみつけて、さまざまな問題を乗り越えながら頑張という、あらすじだけ書くと、わりとあたり前の話なんだけど。

 自閉症がどういう障碍なのか、すごく的確に表現してるように見えたし、子役も熱演してた。校長先生や養護の先生なども、配役がいい感じ。冷静に考えるとこんな協力的な人ばっかりの学校なんてリアリティないんだけど、作り方がいいのか、見てて「いい先生でよかったね」って気持ちになれたし、毎回次が楽しみだった。

 「万華鏡きらきらー まわる世界はーああーああー 君にどう見えるの?」という歌詞の主題歌もついてた。歌詞から考えてタイアップ曲じゃなくてドラマのために作ったんだと思う。これも印象的だった。

 このドラマ、ラストがものすごいの。養護の先生が、なんかの理由で突然やめることになる。協力的だった校長先生も心臓の持病が悪化して急死しちゃう。

 新しくやってきた養護学級の先生は自閉症の知識がまったくなくて、前任の先生が残していった資料を、ほとんど読みもせずにゴミ箱に放り込む。ちなみに配役は片桐はいり。想像するだけで恐いでしょうが。

 これからどうなるの?! っていうところで、なんとびっくり、最終回なの。続きがない。ええええ?!?!?!

 打ちきりだったのか、小休止をはさんで続編を作るつもりだったのかはよくわからない。原作が漫画らしいので、連載が進むのを待ってた可能性もある。とにかく、その時点ではそこで終わってて、続きはないらしい。



 ってなことを、最近思い出して検索してみた。

 タイトルは『光とともに…』で、原作も同名。結局それっきりドラマは作られてないらしい。

 原作を読むか、ちょっと悩んだ。だってドラマのイメージのまま原作を見ると、絵も違うわけだから、同じように面白いとは限らないじゃない?

 でも、区内の図書館にあったので、ためしに読み始めたら原作もすごい、というか原作がすごい。フィクションなんだけど、空想で描いてる感じじゃなくて、もしかして本当に自閉症児をかかえてる人なんじゃないか、と思うほど。でも、どうやら綿密な取材で作ったお話らしい。

 原作では自閉症児の光(ひかる)くんが中学生になるところまで進んでた。ドラマで片桐はいりがやってた理解のない先生もちゃんと出てくるし、細かい設定は違うものの、ドラマは原作のエッセンスをしっかりくみ取ってることもわかった。

 で、原作のラストがどうなるのかっていうと…なんと、作者が病死したとかで、病症で綴ったネームという状態の下書き原稿が掲載されてた…えっ!!!

 わたしが借りてきた本は文庫ではなく、大きめの分厚い本なんだけど、作者が亡くなった事がちらっと書いてあるだけで、事情がさっぱりわからない。

 検索してみると、作者は神戸市出身で、中皮腫というアスベスト公害と関係があるかもしれない病気だったということだ。それ以上のことはよくわからなかった。


 なんせとにかく、ドラマの終わりが片桐はいりだったことからはじまって、原作も作者病死で未完だったことにはうちのめされてしまい、どう落としていいかわかんなくなったのでアフィリエイト広告でも貼っておく。



▲これが、わたしが借りてきて読んだ大きい判で、15巻あるので全部貼れないから最終巻だけ貼ってみた。それぞれの巻に自閉症などの専門家や、障碍をかかえながら暮らしている当事者がつづった解説がついてる。リンク先は楽天ブックスで1冊から送料無料。



▲こっちは文庫版の全巻セット。リンク先は「全巻読破 漫画大人買い 楽天市場店」で送料無料。文庫版は見た事ないので中身はよくわからない。


 誤解されがちな自閉症という障碍を理解するのに非常に役立つ内容だし、物語としてちゃんと面白いです。葛飾区内の図書館にはあるので予約して借りてみるというのもいいかもしれない。

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