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怪我の功名的発明伝説を集めています

 先週末には暑くて死ぬーって言ってたはずなのに、今週はまた雨続きで寒いし困りました。まさか梅雨入りしたのかと思ったけれど、関東の梅雨入りはまだ先で、今年は例年より遅いんじゃないかと言われてるらしいです。

 ところで、わたしは昔、カステラ系伝説を集めていました(注:今も集めてます)。

 最近また別のものを集め始めました。それは一言で言うと発明系の伝説なのですが、単純に発明秘話というんじゃなく、怪我の功名的な発明譚でなくてはいけません。史実である必要はありません。カステラ系ほど明確な条件も(今のところ)ありません。

ドライクリーニング

  • 奥さんが大事にしている絹のテーブルクロスにインクをこぼしてしまう。
  • 妻に怒られたくないので染みを落とす方法を必死で考える。絹は水洗いできないし……
  • やけをおこしてアルコール(油だったかも)にぶち込んで洗ってみたら綺麗になり、布も傷まなかった

# 失敗を隠そうとして必死になるところがポイントで、この部分が話の胆なんです。史実かどうかは知りません。学研のひみつシリーズで読んだと思って『発明・発見のひみつ』をあたってみたけど出てませんでした。『まんがはじめて物語』などのアニメでも見たような気がします。

二十世紀梨

  • ゴミ捨て場から勝手に生えてきた梨が、勝手に交配して実をつけ、その実が落ちてまた新しい梨が生えてきた。食べて見るとすばらしく美味しかったので、新しい世紀にふさわしいとして「二十世紀」と名付けた。

# これは小学校の頃に担任の先生に聞いた話で、史実かどうかはまったく知りません。ゴミ捨て場から勝手に生えてきた、というところがポイントです。

おこげのできる炊飯器

  • 昭和50年代の話。
  • ある日本の家電メーカーが電気炊飯器を輸出しようと考えた。
  • ある国で炊飯器の性能を売り込んだところ「そんなんじゃ売れない」と言われてしまう。
  • その国では「おこげ」がご馳走で、お客さんが来るとおこげの部分を選んでお出しするほど。しかし、日本の炊飯器はおこげなんか絶対にできないように作られている。
  • そこで、わざとおこげのできる炊飯器を作って販売したところ、大成功した。

# 何かのテレビ番組で聞いた話。聞いたのも50年代。そのメーカーが何社なのかもわからないし、どこの国の話だったかもわかりません。そもそも実話なのかもわからない。おこげが上手にできる炊飯器は本当に存在しているのでしょうか?

アイスキャンディー

  • 真冬にある子どもがジュースを飲んでいた。コップには、ストローかマドラーのどちらかが刺さっていた。
  • その子が、親に呼ばれたか、友だちに誘われたかでコップを置き忘れたままその場を去ってしまう。
  • 翌日思い出してもどってくると、ジュースは凍っており、ストロー(あるいはマドラー)ごとコップから引っこ抜くことができた。
  • それまで、ジェラートの類はお皿に盛ってスプーンで食べるものだったが、少年の発見がもとで棒を刺して凍らせる「アイスキャンディー」が売り出されて大人気になった。

# これは一昨年の入院中に見たテレビ番組でやってたものです。ジェラートに関する歴史を紹介する番組で、作ったのは海外のテレビ局(放映してたのはたぶんNHKのBSとか)です。番組中で、少年の名前まで言ってたはずですが覚えてません。調べればわかると軽く思っていたら検索じゃみつかりませんでした。変わったものを作ろうとしたんじゃなく、偶然の産物が売れたというところがポイントです。

チーズ

  • 四千年前、アラビア人のカナナという人が羊の胃袋で作った水筒に山羊の乳を入れて持ち歩いていた(おそらくいつもは水を入れていた)。
  • ある時、水筒の中で山羊の乳が固まっているのに気づき、食べてみると美味しかった。これが世界最初のチーズだと言われている。

# 『発明・発見のひみつ』に出ている話で、あくまで伝説で史実かどうかはわかならい、とあります。こういう、普通なら捨てちゃうだろうみたいなのが美味しいので広まったというのも数々あって、おそらく納豆やクサヤ、シュールストレミングなんかもその系統なんだけど、ある程度形になった伝説として残ってるかどうかは不明です。

醤油

  • 覚心という僧侶が中国から金山寺味噌の作り方を日本に持ち帰った。
  • 日本で味噌を作っていると、味噌桶に塩辛い汁がたまっているのに気づいた。
  • 嘗めてみると美味しかったので調味料として使われるようになった。これが「たまり醤油」のはじまりである。

# これも『発明・発見のひみつ』より。ただ、味噌と醤油では方向が同じものなので、いまひとつ爽快感は薄い。ぜんぜん別のものを作ろうとして副産物がコレになりましたとか、捨てるしかなさそうなものなのに食べてみたら美味しかった、とかが「怪我の功名式」の醍醐味です。



 こんな感じのものを漠然と集めています。カステラ系ほど条件が明確ではないので腐るほどあつまりそうで、そうなるとかえってつまらなくなりそうな気はするんですが、何か思いついたら教えてください。今作りましたというようなあからさまな作り話は困るんですが、史実である必要はありません。

タグ:発明譚

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たっぷ 2008年05月30日(金)13時04分 編集・削除

ドライクリーニングの話

>* 奥さんが大事にしている絹のテーブルクロスにインクをこぼしてしまう。

自分が聞いたときは、ウェディングドレスでした。
なんで、インクをこぼしちゃったかは不明ですが、奥さんに手紙かなんか(たぶん結婚記念日とかなんかそんな記念日的用(^^;だったかな)を書こうとしてほげほげって記憶がかすかにあります。

>* 妻に怒られたくないので染みを落とす方法を必死で考える。絹は水洗いできないし……

これは同じですね。

>* やけをおこしてアルコール(油だったかも)にぶち込んで洗ってみたら綺麗になり、布も傷まなかった

ここは、やけをおこして「酒でも飲んでやるー」って飲みながら考えていたら飲んでいた酒をこぼしちゃったかなんかで、たまたま、インクのシミにかかって・・・って聞いた気がします。酒は、ジンだったかウォッカだったかそんなだったような。

がー、もの凄く曖昧ですみません。

たっぷ 2008年05月30日(金)13時15分 編集・削除

思い出しました。
「冷やし中華」の話。かなり有名だとは思います。

1. 営業時間外の中華屋に知人が訪ねてくる。
2. 「すごく腹が減っている」と言ってラーメンでも作ってくれと頼む。
3. 中華屋は「もう、火を落としちゃったので作れないよん。」と断る。
4. 「えー、スープ無いの?」と、知人
5. 「スープはあるけど、冷えちゃってるのよ」と、中華屋。
6. 「うーむ、構わんからそれでラーメン作ってよ」と、知人に、言われて、仕方がないので、ろくに茹でてない麺に冷たいスープをかけて出す。
7. あぁぁ、結構いけるよこれっっっ。
8. じゃーん、冷やし中華誕生。

結構昔に聞いた話なんだけど、近年(10年位の間)に、NHKの朝の連ドラでこのエピソードを見た気がする。
何のドラマでどんな話かは覚えてないけど。

珍獣ららむ~ 2008年05月30日(金)13時39分 編集・削除

 やけ酒をこぼしたら染みが消えたというのは面白いですね。よりいっそう怪我の功名的でナイス。そういうのを集めてます。

 冷やし中華のも面白いです。冷やし中華は日本で作られたはずなので、うちが元祖って人の逸話かもしれないですね。

ひろこ 2008年05月30日(金)20時38分 編集・削除

ナショナルの話だったと思う。調べてみた。

ttp://panasonic.co.jp/ism/long/suihanki_txt/index.html
お焦げが出来たり、おかゆが出来たり、スチームが出来たりする炊飯器について。

ttp://ctlg.national.jp/product/info.do?pg=04&hb=SR-SV101
お焦げコースがある国内向け上等バージョンも出てる。

○清酒の起源
主人に叱られた奉公人が、嫌がらせに酒を仕込む桶に灰を投げ込んだ。
それと知らずに酒を汲んでみると、あら不思議濁りが無い酒になっていた。
と言うのを聞いた事がある。

Goudeau 2008年05月31日(土)04時41分 編集・削除

ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%94%E3%83%86%E3%82%A3

「serendipity」なんていふ単語があるんですネ。ご存知でした?試薬をまちがへたけどもつたいないのでやつてみたら・・・といふいきさつでノーベル賞もらつたひとを捜してるうちにいきあたりました。セレンディピティなるものの実例も出てゐます。使へさうなのがあつたらどうぞ。

珍獣ららむ~ 2008年05月31日(土)08時00分 編集・削除

 ひろこさんの、清酒の起源はいいですねえ。まさにそういうやつなんです。腹立ち紛れにしたようなことが思わぬ成功を生む話。しかも、そこにドラマが感じられる、まさに伝説。炊飯器の話もありがとう。実は、クイズダービーか何かのクイズ番組で聞いたような気がしていて、だとすると三択の不正解を覚えている可能性もあって、長いことほんとかなーと思ってたのですー。ナショナルかー。

 Goudeau さん、まあ、そうなんですよ。セレンディピディ的と言い直してもいいんですが、発明の事例を集めているんじゃなく、あくまで「伝説」として収集しているので、ドラマを感じるようなものじゃなきゃいけないんです。でも、そのページにある「ウサギにチキンの皮をかぶせた」っていうのが気になりますね。セレンディピティかっていわれると絶対に違うと思うけど(笑)

珍獣ららむ~ 2008年05月31日(土)10時03分 編集・削除

 おともだちから「炊飯器の話は違うんじゃないか。それでいいならポストイットの発明を推薦する」と言われてしまいました。が、わたくしとしては、ポストイットの発明は、セレンディピティの実例としては面白いけれど、今探してるものに入れようとすると、なんか違うような気がするんですよねえ。何が違うかって言われると自分でもよくわかんないんだけど。

 炊飯器の例をあげたのは、日本ではそれで充分に成功しているはずの炊飯器を、海外(ナショナルだとすればイランだったらしい)へ持って行ったら「そんなんじゃダメだ」と突っぱねられた。もう自信満々で、日本じゃ売れてるんだから世界中で売れるだろって思ってたものがダメって言われたところが面白いんです。

 ポストイットの話は

・そもそもが接着剤の研究をしてた。
・強力なのを作ろうとして、剥がれるやつができちゃった(失敗作)
・しおりが本から落ちるのにイラついて、失敗作を思い出す
・ポストイットがバカ売れ!

 …という感じなんだけど、わたしは面白くないと思う(今探してるものとしては)。作家が没ネタを書きためたノートの中から新しい本を書いたみたいなもんじゃないのかなあ。それともわたしが知らないストーリーがあるのかしら。

 そういう意味では、冷やし中華の誕生も、面白いけど違うような気がするのよね。単なる偶然で生まれただけで、妻に叱られるのを恐れて必死で考えたとか、ゴミ捨て場から勝手に生えてきたものが名品だったとかのアクセントになる部分が足りないような気がする。

 ただ、そのアクセントの部分を明確に「こういうものです」と説明しにくいところが難しいのよね。

Sari 2008年05月31日(土)19時17分 編集・削除

TV・CMで『おこげの出来る炊飯器~♪』と言ってるの、覚えています。
中東で、おこげの方がいいとは聞いたことがありませんけど、何でも金色のものが欲しいそうで、輸出用はみな金色。
昔勤めていた会社に見本が置いてありました。
炊飯器・洗濯機・扇風機・冷蔵庫・・・みーんなピカピカ・ゴールド仕様。
扇風機は暑苦しい風が出そうな気が(^^;)


あんまり面白みのないのばかりだけど、
*ペニシリン。
ブドウ球菌と呼ばれるバクテリアを研究していて、休暇から帰ってきたら、うっかり忘れたバクテリアの乗った試験皿の一つに菌が繁殖していて一旦捨てたけど、その皿のブドウ球菌が繁殖した菌によって成長できないことに気づいた。
翌年そのことを発表しても、あまり注目されなかった。その後1945年になってから他の化学者たちに研究され、ペニシリンが製造できた。

*電子レンジ
アメリカの発明家のスペンサーは、マグネトロンの製造をしていた。
マグネトロンの隣にいたスペンサーは、ポケットにの中にあったチョコレートが溶けていることに気づき、
マイクロ波の影響?と、ポップコーンや他のもので次々と実験。ついでに卵も。(当然爆発)
初のオーブンレンジは340kgもあり、冷蔵庫くらいの大きさだったそうです。

*アイスクリームコーン
1904年、セントルイスでのワールド・フェアで、暑くてバカ売れだったアイスクリーム。
皿が足りなくなってしまい、横のザラビアの屋台(ワッフルのようなウェハースを薄くしたようなエジプトの菓子)は、売れ行きがよくなかった。
そこでそのオーナーが薄いワッフルをロールして作ることを申し出た。

*スリンキー
海軍エンジニアの机から、バネが偶然机から転がり落ちた。

あとはありきたりなものしか思いつかない、
遊牧民が羊の胃製の袋にミルクを入れて羊追いで歩いているうちに、チーズやバターになってたとか、サンドイッチ伯爵のとか。
すみません、役立たずで。

珍獣ららむ~ 2008年06月01日(日)09時15分 編集・削除

 沢山ありがとうございます。でも、どれも今ひとつ違うんですよねえ。カステラみたいに真・疑・偽でランク付けするなら偽かなーと。

 求めているのはピリッと効いたスパイスの部分なんですよねえ。それが何かを説明するのは本当に難しいです。わたしが本文にあげたものも、吟味すると「これは違うんじゃないの?」ってのがありそうです。醤油などは、ダメな例の典型ですねえ。