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最初の眠?

 今日も暑いです。結局、今朝まで変な風が吹き荒れて、真夜中に大雨が通り過ぎて行ったみたい。カエルの水槽の水位がそれほど上がらなかったので、東京の雨量はそれほどでもなかったようです。でも風が強かったから普段は雨にあたらないところまで濡れてる。

 夜が明けると一転して青空が広がって、とにかく暑い!! うちの気温系は30度をさしてます。こんな日に家にいると暑いだけでバカみたいなのでお出かけしたいんですけど金欠です。働け、わたし。

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▲これはお昼頃の写真。葉っぱは朝あげたものなのに、ほとんど食べていない。

 夕べから餌を食べる量が減っています。今朝やった新しい葉もろくに食べてはおらず、頭をもたげてゆらゆら揺れているか、じっと動かずにいます。たぶん、眠(みん)ですね。ゆらゆら頭を動かしているのは、糸をはいて足場を固めているのかもしれません。明日あたり、脱皮するでしょう。

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▲だんだん色白になってきました。

 蚕は、昔から飼われていて、とても大事にされているので、不思議な伝説が沢山あります。昔の人は、蚕が一生のうちに四回も動かなくなることを、なんらかの受難にあって四回死んで蘇るのだと考えました。

 群馬の衣笠姫は、継母に嫌われ、馬小屋にとじこめられたり、川に突き落とされたりして四回も死にかけます。蚕の眠と同じ回数です。姫はとうとう継母にいじめ殺されてしまいますが、姫の墓から黒っぽい芋虫がわいて、桑をたべて育ち、美しい繭を作るのです。

 伝説や昔話というのは、人の生活からかけはなれたものを話のテーマにはしないものです。蚕の性質がここまで克明に物語りに織り込まれているということは、蚕との生活がいかに身近だったか、ということなのです。

昔を思い出して養蚕用具のミニチュアを

 祖母の家で、どんな道具をつかって蚕を飼っていたか、イラストで説明しようかと思ったのですが、画力がないのでろくな絵が描けませんでした。なら作ってしまえ、ということで厚紙でこのようなものを作ってみました。

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▲これは、祖母の家でなんと呼んでいたのか覚えてないんですが、博物館などには給桑台(きゅうそうだい)、仕立て台(したてだい)、桑ふり台(くわふりだい)、なんて名前で展示されているようです。構造が単純で折りたたみ可能。紐はこれ以上開かないようにするストッパーです。実物は木製か金属製。祖母の家には金属のものがありました。

 この上に竹で編んだ大きな笊状のものを置いて、さらに紙をのっけて蚕を乗せてたと思うんです。


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▲これがその、笊状のもので、実物は竹製です。博物館には丸いのもあるけど、祖母の家には長方形のしかなかったと思います。これも呼び名はわからないけれど、博物館などでは蚕籠(かいこかご)と言ってるみたい。この粗い籠目の構造が好きだったなー。

 これを、ネット検索などで調べると、普段は棚にかたづけておいて、桑をやるときだけ桑ふり台に乗せて使うらしいです。でも自分の記憶を脳内検索すると広いバラックに桑ふり台+蚕籠がいつも設置されているような絵しかヒットしません。それだけしょっちゅう蚕の世話をしていたということなのか、たまたまバラックが広いので出しっぱなしにしてたのかは、ちょっとわかりません。

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▲重ねるとこんな感じです。

 祖母の家ではこれで盂蘭盆の盆棚も作ってたと思うんです。家の中に運び込んで、上に茣蓙(ござ)を敷いて、四方に(前方に二本だったかも知れない)笹を立てて、その笹に真菰(まこも)の縄を張ってました。野菜の牛馬は作ってなかったけど、お供え物をして、灯油の小さなランプでお灯明をともしてたりしてたような気がします。

タグ: カイコ 伝説

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Goudeau 2008年07月05日(土)00時50分 編集・削除

小学校の教室でお蚕さんを飼育したやうな、して居ないやうな記憶はありますが、「眠」といふ現象について珍獣様のお話で初めて知りました。挙げられてゐた「衣笠姫」の伝説、大変興味深いですネ。色々比較してみたくなるところが面白いです。

脱皮することで永遠に生きると考へられたものといふと、蛇はいふまでもありませんが、天体の月などもさうですネ。色々な神話のなかで、「皮を剥ぐ」ないし「皮をかぶる」といふモチーフは「死と再生」に関はり合つて居さうですね。

例を挙げますと、天皇即位礼で、皇太子はマドコオフスマといふ皮(布団)にくるまつて、天皇霊の降臨をぢつと待つわけです。

『搜神記』でしたつけの、馬の皮と蚕が結びついた奇妙な伝説とか、オシラサマの幾重もの衣装の「皮」としての意味とか・・・。

珍獣ららむ~ 2008年07月05日(土)10時31分 編集・削除

 おしらさまや、中国の伝説で、馬が皮をはがれる理由は、たしかに脱皮に関係してそうです。馬の分際で娘とねんごろになったことへの罰だけならば、皮はぎにこだわる必要もなさそうですし。

 蚕が頭をもたげる姿は馬に似ている→馬を潰したら皮をはいで使うのが普通→蚕は生きたまま皮をはがれる(脱皮)→生き皮をはぐ刑罰があった(?)→馬がなんらかの罪で皮をはがれて処分されるストーリーができる→おしらさま伝説へ?

 日本の養蚕伝説だと、なんらかの罪のせいか、ライ病にかかっているなどの理由で流刑にされた貴人がかかわってくる場合もあるんですよ。養蚕が海外からもたらされた技術だからというのもあるんでしょうが、何か良いものが生まれる時には誰かが犠牲にされるお約束にも通じていそうです。

 今、とてつもなく暑くて頭まわんないんですが、養蚕伝説は調べると本当に面白いと思います。

Sari 2008年07月05日(土)14時13分 編集・削除

これ厚紙で作ったんですか! すごいな~・・・
まぁ、あの折り紙するくらいだから当然か(^^;)
お蚕様から、オシラ様まで、ここの話題は楽しいな♪

なんか、お蚕さま、蛇腹の継ぎ目がくっきりしてません?

珍獣ららむ~ 2008年07月05日(土)15時43分 編集・削除

継ぎ目も目立ってきてますね。
日に日に芋虫らしくなってます。
今朝見たら、すっかり眠から覚めてました。
ものすごい勢いで餌食べてますよ。

さよ URL 2008年07月12日(土)02時32分 編集・削除

珍獣様、はじめまして。さよと申します。以前からサイトやブログを拝見していました。
先日この記事を拝見して、籠目のコレ、どこかで見たと思いましたら、以前見学に行った旧家の二階に片付けられていました。
よく書かれているI市ですので、珍獣様も行かれたことがあるかもしれないですが、思い出したのでコメントさせていただきました。
お蚕のお話、これからもたのしみにしております。

珍獣ららむ~ 2008年07月12日(土)08時09分 編集・削除

 さよさん、こんにちは。サイト拝見しました。

 そうです、祖母の家ではその写真にある障子サイズの籠目のやつで蚕を飼ってました。どこを検索しても、わりと小さなものの写真しかないので自分が小さかったので大きく感じていたのかと思いましたが、やっぱり伊……I市のは大きいんですね。