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借りぐらしのアリエッティを見た

 『借りぐらしのアリエッティ』を見てきました(例によってレディスデイの割引で)。原作読んでないのでどこまでがジブリの味なのかよくわかんないんですが、小さい人の暮らしが上手に描けててドキドキしますね。

 ただ、なんか物足りないです。ずばり何が足りないかっていわれるとよくわからんのですが、たとえば意地悪そうなお手伝いさん。長いことあの家に奉公してるんだろうに、雇い人を無視して小人狩りに躍起になっている理由がいまいちよくわかんない。単に意地悪というだけでは説明が付かないような気がする。

 男の子とそのお婆ちゃん(正確に言うとお婆ちゃんの妹?)はジブリアニメにありがちな性格で、小人を見ても驚かない。夢と現実がごちゃ混ぜになった感じの人たち。そこへいくとお手伝いさんは、ひとりで現実の世界にいるわけだから、もっと現実感のある小人との関わりがあってもいいのではないかと。アニメでは突然小人探しを始めるように見えるし、雇い人が先代から大事にしている「小人」をあんな乱暴な方法で捕まえようとするなんてイマイチ現実感ないし、魅力的じゃないんだよね。

 それに、小人たちの家の場所も謎すぎ。人間が配線工事かなにかのために開け閉めする床の下に家があるから、ボコッと蓋をあけると、そこにもう小人がいたりして、見つかって当然なんじゃないのと思うのに、お屋敷の人たちはまったく気づいてないのは変。男の子は一発で探し当ててるのに、何十年も家に住んでる人が気づかないのはありえないなー。

 いや、文句ばっかりですが、面白かったですよ。面白いんですが、ジブリアニメだと思って見ると、寸止め感があるというか、そこ掘り下げるとこじゃないのって要所要所で首をひねってしまう。

 で、見終わってから気づいたんですが、これ脚本は宮崎駿だけど、監督は全然別の人なのね。あー、あーー、あーーー、なるほど。なんか納得(今頃気づくなよ)。事前に何も調べないで見に行くものだから気づくの遅くて申し訳ない。

 若い人を育てなきゃならない事情はよくわかるので、新しい人で映画を作るのは良いのですが、あのテイストは宮崎駿と高畑勲で作り上げた世界なので、他の人がやると、劣化したイミテーションみたいに見えちゃう。まあ、それでも『借りぐらしのアリエッティ』は面白かったんですが、なんだろうこの軽いイライラは。

 トップが偉大すぎると若手は苦労するという例? いや、なんか違うような気がする。真似てるうちは超えられないのは当然なので、短編でいいので全く違うものを作ることはできないんですかね。巨匠の長編と若手の短編で昔みたいに二本立てで上映すればいいのにね。

 ジブリも会社なので、二大巨匠がこの世を去っても続けていきたいというのはわからんこともないのですが、見ている側は宮崎と高畑のイミテーションなんか見たくないわけで、ふたりともいなくなったら見ないでしょ。それでも見てもらいたいと思ったらまったく別の(宮崎や高畑を踏襲しない完全に別の)巨匠を作らないとダメな気がする。ものすごく。

 思っててもできないから今があるんだろうけどさ。


◎借りぐらしのアリエッティ公式サイト
http://www.karigurashi.jp/index.html


 小説・映画『西の魔女が死んだ』に世界が似てると思っていたら、パンフレットに梨木香歩が長文を掲載しているのを見て吹きました。

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