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豆腐百珍:麺豆腐

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七十四 菽乳麪(とうふめん) [十]かみなり豆腐の下に出たる碎豆腐(くだきとうふ)の如くし青菜の微塵剉(みぢんきざみ)と豆腐と等分に油ニ 而炒つけたるをみづを入れ烹て ○索麪(そうめん)を少しこはめに瀹(ゆでゝ)よく洗ひをきたるをうちこみ醤油の和調(かげん)する也

碎豆腐というのはこれです。

豆腐水をしぼりよくつかみくづし青菜を微塵に剉(きざ)みとうふと等分にして油をよく煮たゝせ先(まづ)とうふを入れよくかきまわし次に青菜を入れ又よく攪し(かきまはし)醤油にて味つくる也 十挺(てう)に油二合あまりの分量也 是を碎きとうふといふ

 つまり「水切りした豆腐を手でつかみくずし、油で炒めたところに、みじん切りの青菜を入れてよく混ぜ、固めに茹でた索麺を入れて、よく混ぜて醤油で味をつける」ですね。豆腐入りのソーミンチャンプルーでしょうか。豆腐は砕けてしまうので存在感が薄く、主役は索麺になります(それにしても写真は麺を入れ過ぎですが)。

 索麺を炒める手法は沖縄料理が流行ってから普及したと思うんですが、江戸時代にはすでに索麺をチャンプルーにして食べていたようです。油が高価だったでしょうから、庶民の家では茹でて食べ、美味しいものを食べ飽きた人がいく料亭でこんな食べ方をしたのかもしれません。

 なお写真のものにはアレンジで出汁がらのかつお節を入れてあります。

タグ:豆腐百珍

いろいろ写真

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▲市販のドウミョウを一度食べてから、残った根っこを水栽培してもう一度伸ばしました。さすがに三度目はカビがはえてきて無理でした。

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▲カエデの種はハネナガウンカみたい。

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▲保護色すぎてピントがあわないムギワラトンボ(シオカラトンボ)。若いオスかもしれない。そろそろトンボが出始めてます@水元公園

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▲14日のヒマワリ。

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▲18日のヒマワリ。

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豆腐百珍:ヒリヤウズ

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十九 ヒリヤウズ 豆腐水をしぼりよくすり葛の粉つなぎに入れ加料(かやく)に皮牛蒡の針、銀杏、木耳、麻子(をのみ)又小骰ものにはやき栗子(くり)か慈姑(くわい)か一品入るへし ○加料を油にて炒つけ麻子は後に入れとうふに包み大小宜きに随ひ又油にて煠也(あぐるなり) 又麪粉(うとんこ)ころもにかくる尤もよし ○ゐり酒二おろし山葵或は白醋(しらす)に山葵の針をくか又は田楽にして青味曾に罌粟(けし)をふる ○ヒレウズ一名を豆腐巻(とうふけん)ともいふ ▲白醋は罌粟をゐりてよくすり豆腐を少しすり入れ酢を入る也 甘きを好むときは大白の沙糖を入るべし 又豆腐のかわりに葛粉を入るゝもよし ▲青みそはみそをよくすり青粉をすり混ぜる也

 飛竜頭(ひりょうず)のことですね。なんでカタカナで書いてあるのかと思ったら、もとはポルトガル料理の filhos なんだそうです(ソース:デジタル大字泉 http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/188608/m0u/%E3%81%B2%E3%82%8A/)。

 しかし filhos は息子の意味です。まさか殿方の股間にある二つの丸いものと同じ形という意味ではないかと一瞬どぎまぎしてしまいましたが、本当は filhós で揚げて作る甘いお菓子のことでした。>http://wikilusa.com/wiki/Filh%C3%B3s

 ひりょうずは、関東だとがんもどきと言うことが多いです。しかもおでんや煮物に入れるくらいしか使いません。自作する人は少なくて、練り物屋さんかスーパーで買うと思います。『豆腐百珍』では三種類の食べ方を紹介しています。

その1:煮きった酒に山葵を入れる
その2:白酢に山葵の千切りを置く
  白酢の作り方は、ペーストにした豆腐にケシの実と酢を混ぜる。甘いのが好きなら白砂糖を入れる。
その3:田楽にして青味噌を塗り、ケシの実をふる
  青味噌は味噌に青粉(たぶん海苔の粉)を入れて混ぜる。


 今回は3をやってみました。青粉は説明がないですが、おそらく青海苔の粉だろうと解釈しました。何を入れても味は大差ないような気がします。味噌に色をつけるのが目的でしょう。

 レシピに麻子(麻の実)や罌粟(ケシ)が出てきます。どちらも食材として手に入りますが、近所のスーパーにはないので胡麻で代用しました。

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コメント一覧

ひろこ (05/21 08:08) 編集・削除

関西では「ひろうす」と言う。
もとの発音に近いのかな。

珍獣ららむ〜 (05/21 09:08) 編集・削除

 引用文に「ヒリヤウズ」の文字が抜けてたので原文通りに追加しました。何ヶ所かで飛竜頭について書かれていて、そのたびに表記が違ってます。ヒラウヅ、ヒラウズなど。ラウは旧仮名遣いでロウの読みだと思います。

 ポルトガル語の読み方はよくわかんないけど、綴りからすると「フィルォース」とかになりそう。昔の人が首をひねりながら文字にした様子が目に浮かぶよねー。

豆腐百珍:雷豆腐

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十 雷とうふ 香油(こまのあぶら)をゐりて豆腐をつかみ砕(くづ)して打入れ直(ぢき)に醤油をさし調和(かげん)し ○葱白(ひともとしろね)のざくざくおろし大根おろし山葵うちこむ ○又はすり山椒もよし ○南京とうふともいふ ○又水気をよくしぼりて 右の如くするを黄檗(わうばく)とうふともケンボロ豆腐ともいふ[四十]に出たる黄檗豆腐と製少しちがふなり 一説なり 又隠元とうふともいふ 

 豆腐を炒める時にばちばち言うのが雷鳴のようなので雷豆腐。これは今も同じ名前で同じような作り方をする料理があります。昔のレシピには山葵(わさび)が入っているが特徴ですね。

 昔のことなので、山葵は自分ですり下ろしたと思います。ここではチューブ入りの山葵を使いました。辛いかなと思ったら、火を通すとからみがとんで、遠くほのかに山葵の香りがするという、サッパリした味になりました。これは悪くないですね。

 レシピには「すり山椒もよし」とあります。山葵の代わりに山椒を入れると麻婆豆腐のようになると思います。

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豆腐百珍:苞豆腐(つとどうふ)

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三十八 苞とうふ とうふよく水をしぼり醴(あまざけ)をすりまぜて棒の如くとりて竹簀(たけす)に巻き蒸して小口切にす

 これはやや失敗でした。指示では豆腐につなぎを入れてないのに、葛粉を入れるものだと思い込み、代用品で片栗粉を入れてしまったのです。甘酒もなかったので酒粕を溶いたのに砂糖を入れました。これじゃ三重に間違ってる。あとで作り直してみようと思います。

 味のほうはまあまあです。レシピ通りにやっても甘くなるはずなので、デザート的なものなのかも知れないし、これをさらに炙って味噌をつけ、田楽のようにするのかもしれません。

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