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トマトとお麩と、卵のふわふわ鍋

 卵のふわふわっていうのは江戸時代に袋井宿(現在の静岡県袋井市)ってところの名物だった料理だそうです。土鍋に澄まし汁を作って、よく泡立てた卵を汁に流し込み、火をとめ、蓋をして、1〜2分おいたものです。

 主役は卵なので具はなくたっていいんですけど、ふわふわ感をじゃましない、小町麩と湯むきしたトマトを入れてみました。

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 100均ショップで売ってる小さな土鍋にすまし汁を作って、湯むきしたトマトと、小町麩を入れて数分煮る。小町麩はあらかじめ水で戻して軽くしぼっておくこと(そのまま入れるとすまし汁を全部吸っちゃうかもしれないので!)。その間に、卵(全卵)をよく泡立てて、煮立った土鍋に流し込んで、すぐ火をとめて蓋をする。

 すまし汁は自分で出汁をとったら完璧ですが、わたしはお気に入りの「茅乃舎だし」を使って、醤油、みりん、塩・各少々で味付けして作ってます。

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 2分くらいして蓋をとるとこんな感じ。

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 卵は固まってるわけじゃなくて、ふわっととろけるような状態。このフワッと感を楽しむ料理なのですが、鍋肌でやや固まったところも美味しい。

 思いつきで入れたトマトと小町麩ですが、想像した通りの相性の良さでした。調理は土鍋でどうぞ。100均の土鍋が大きさ的にも手ごろです。


 グッドアンサーズに投稿しようと思って写真を用意したんですが、今受け付けしてるお題が「鍋」じゃなくて「モツ鍋」だったの巻きでござるよ。うん、まあ、自分のブログに書いちゃうから無駄はないです。美味しいのでやってみて。

タグ:郷土料理

ブラックジャックばりに自分の腹を自分で手術した男の話

 手塚治虫の名作『ブラック・ジャック』を知っていますか?あ、いや、知らなくても知らないって言わないでください。説明面倒くさいから(笑)!

 知らない人のためにかるーく説明すると、ブラック・ジャックは天才外科医なんだけど残念ながら無免許で、でも世界のあっちこっちで訳ありの患者の治療をひきうけて、一生かかっても払い切らないような治療費を要求してまわってます。

 彼の技術がどのくらい天才的かっていうと、馬の脳を人間に移植したり、摘出した奇形嚢腫を人間の形に整形して育てたり、鏡を見ながら自分の腹を手術するという離れ業をやってのけたりするわけです。

 あれ、面倒っていいながらけっこう説明しちゃった。まあいいか。

 で「自分の腹を手術する」っていうやつ。これね、いくらなんでも漫画でしょって思うわけ。だって鏡を見ながら手術するんですよ?左右逆なんだから。いくら天才だってそんなの無理でしょって思うわけですが、

なんと、ほんとうにそんな手術をやってのけた人が存在するらしいのです。ぜんっぜん関係ないことを検索してて、偶然みつけました。

 その人はレアニード・イヴァーノヴィチ・ラゴーザフ(Леонид Иванович Рогозов)という旧ソ連の医師でした。1960〜1961年に南極探検隊に医師として参加しましたが、滞在中に虫垂炎からくる腹膜炎で、手術しないとまずいんじゃないのってな状況になりました。# 名前の発音は「レオニド・イワノヴィチ・ロゴゾフ」とかのほうが日本語として通りがいいかもしれないです。

 ところが基地内には医師が彼しかいません。悪天候で他の基地などに助けを求めることもできませんでした。そこで自ら手術する決意をします。腹部に局所麻酔をして、気象学者などの手助けを借りながら、ややリクライニングするベッドの上で鏡を見ながら自分の腹を切ったそうです!

 手術は約二時間かかりましたが成功し、彼は二週間で職務に復帰したそうです。その後、帰国してからも医師として活躍し、2000年に66歳で亡くなったということです。

◎Leoniv Rogozov, el medico que se operó a sí mismo.|Tejiendo el mundo(スペイン語)
http://tejiendoelmundo.wordpress.com/2010/01/08/leoniv-rogozov-el-medico-que-se-opero-a-si-mismo/
 最初にみつけたページはこれです。手術中の写真があります。白黒写真なのでグロくはないと思います。

◎Leonid_Rogozov|Wikipedia(英語)
http://en.wikipedia.org/wiki/Leonid_Rogozov

追記

 自分としては、すごい発見のつもりだったんですが、すごさが伝わらないかもしれないので追記しておきます。

 ラゴーザフが自分で自分の開腹手術をしたのは1961年ですから、もちろん手塚治虫がブラック・ジャックを書く前の話です。たぶんですけど、手塚はこの話を知ってたんじゃないでしょうか。

 ブラック・ジャックが自分の腹を手術するというのが、たしかピノコを養子に出そうとするエピソードが最初だったと思います。

 ピノコをおっぱらった後に、ブラック・ジャックは腹膜炎で寝込んでしまうのですが、化学療法で回復が見込めないので自分で手術しようとするんです。シチュエーションからしてソ連の南極基地での出来事と同じです。

 つまり、ラゴーザフの自分回復手術がブラック・ジャックのエピソードの元ネタなんじゃないでしょうか。

 今のところまだ「おそらく」の域を出ませんが、ラゴーザフのことを報じる日本の新聞記事かなにかが出てきたらアタリだと思います。

関連記事

◎鯨に飲まれた男の話
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=1433

タグ:びっくり偉人伝

フタモンアシナガバチが越冬してる…?!

9月12日:フタモンアシナガバチの巣別れ?
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=1667

9月19日:フタモンアシナガバチはまだ飛び立ちません
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=1669

 これらの記事の続報です。



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▲2013年9月12日撮影

 去年の9月、桑の木にフタモンアシナガバチがたかっているのをみつけました。桑の木自体には巣はなく、どこかの巣で増えたのが新しい巣を作るために一時とどまっているのかな、と思っていました。

 しかし、このアシナガバチはいつまでたってもこの場から移動しませんでした。何度かはげしい台風もありましたが、それでもここにとどまり続け、11月の中頃までは、まだ桑の木にいたのを確認しています。

 しかし、12月になると、とうとう桑の木からいなくなってしまいました。さすがに気温も下がっていますから、新しい巣を作ったとは考えにくく、死んでしまったんだろうと思っていました。

 ところが今日、ひょんなところから出てきました。

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▲放置されてた植木鉢

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▲植木鉢の下からフタモンアシナガバチが!今日撮影。

 素焼きの植木鉢をひっくりかえしてみたら、なんとその下にフタモンアシナガバチの集団がいるじゃないですか。しかも生きてます。寒さで動きがにぶくなり、触っても飛びませんが、確かに生きています。寒くなったので桑の木をはなれて、植木鉢の影に引っ越していたのです。

 アシナガバチの類いは、女王だけは越冬するそうですが、働きバチは死に絶えると聞いてました。この集団は働きバチではないんでしょうか。まさか全員女王なのでしょうか。それとも死に絶えるという情報が間違ってて、実は春になると元気に働き始めるのでしょうか。

 さっぱりわかりません。どうなっているのでしょう。

追記

 この写真は片づけをしている最中だったので、植木鉢をひとまずよけて作業をして、ついうっかり一日そのままにしてしまいました。慌てて様子を見に行ったところ、蜂は2頭を残してどこかへ移動してしまいました。まわりを探しましたが死体は落ちていないので、本当に移動したようです。

 寒さで動きは鈍くなっていますが、環境が変化したら移動するくらいの体力は残っているようです。この状況から考えると、東京あたりのフタモンアシナガバチは冬に死に絶えるのではなく、成虫のまま越冬するようです(寒冷地ではわからない)。

 ちょっと惜しいことをしました。すぐにもとの場所に戻したら春まで観察できたかもしれないんですけどね。

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角大師は如意輪観音の夜叉モードかもしれない?

 今日もしつこく角大師について考えよう!

◎突然だけど角大師のお札のことを考えてみた
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=1754

 一昨日は↑の記事で与太話を書いたわたくしですが、今朝になって突然重要なことに気がつきました。

 『三元大師籤絵抄』に「元三大師は御本地によいりん觀音にてましませば」とあるとおり、慈慧大師(三元大師)は如意輪観音の化身だと言われているのです。

 そこであらためて、角大師(三元大師)のお札を見ると、
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右手(向かって左の手)を床というか、座面について、左手は膝に置いてます。そんでもって右膝を立てて座っているみたい。

 これ、もしかして如意輪観音の座り方なのでは?

 如意輪さんは、だいたい左膝(向かって右膝)を立てて座ってる。そんでもって腕が六本くらいあって、いろんな持ち物を持ってるんだけど、左腕のひとつを座面について体をささえてる。

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 いろんな作例はあるだろうけど、おおむねこんな感じ。

 ここから、持ち物がある手を消すとこうなる。↓
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 これを左右反転するとこうなる。↓
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 ほら、角大師と座り方がおんなじ!

 角大師が如意輪さんと左右が逆なのは、木の板に彫ったのを紙に刷ったので逆転したか、如意輪そのものではなく化身であることをあらわすために、わざと逆にしたかってところじゃないでしょうか。

 これまでの話を整理すると、

・角大師の手足が滑稽なまでにクネクネしているのは、膝をたてて、手を座面についてる姿を平面的に表現しようとして、大胆にデフォルメされたから。

・なんで片膝たてて片手をついてるかっていうと、三元大師が如意輪観音の化身であることを、ポーズを同じにして表現しようとしてるから。

・一般的な如意輪観音像と角大師像が左右逆のポーズなのは「木の板に彫って紙に刷った時に逆転した」または「仏そのものでなく化身であることを表現した」のどっちか。

…ってな感じです。

[追記]

 如意輪観音だと右手でほおづえついてますが、ただの観音様だったら膝に置いてる作例もけっこうありまして、

神奈川県・清雲寺の滝見観音
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/p632190.html

伊豆の国市・北條寺の観音菩薩半跏像
http://izu-np.co.jp/feature/news/20130414iz0003000126000c.html

鎌倉市・東慶寺の観音菩薩半跏像
http://www.tokeiji.com/heritage/mokuzou-kannon/

などなど、立ててる膝も右だったり左だったり様々ですが、ほおづえをつかずに手を膝に置いてる例がたくさんあるみたい。

 ようするに角大師は観音様ってことでファイナルアンサー?

タグ:寺社幻獣 おまもり

山口敏太郎の妖怪博物館ってところに行ってきた

 正月休み中に妖怪博物館ってところに行ってきました。去年の秋くらいにお台場に出来たらしいんですよ。河童のミイラとかが展示されてるらしいですぞ。

https://www.odaiba-decks.com/?mode=shop&page=detail&code=278
↑ここですここここ、デックス東京ビーチの、台場一丁目商店街の中にできたんです。わたしが行った時は入館料値下げ中で大人1人400円とかだったかな。

 見せ物小屋みたいな感じにしてあるのかなあと思ったら、そういうの入り口だけで、中はどっちかっていうとエロ抜きの秘宝館?かなり狭くて、展示品は大した数はなかったです。400円くらいなら文句ないけど、もし800円とられたらウキーッって感じだったかも(笑)

 展示品は狭い部屋にごちゃっと置かれているだけ、説明は小さな紙にプリントアウトされたのが置いてあるだけってな状況で、かなりチープ。でもひとつひとつ見ていくと、どれもそれなりに面白いものばかり。妖怪関連の民芸品、京都の空井戸から出てきたという呪いの人形、河童のミイラ、ジェニーハニパー、ジャッカロープのはく製、チュパカブラのミイラ…などなど。「○○を細工して作ったものと考えられる」などと冷静にコメントがついていて、見せ物小屋やお化け屋敷ではなくて、あくまで珍品コレクションの展示なんだな、という感じ。

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▲ジャッカロープ:北米の未確認生物。角の生えた兎で、人の声真似が上手だと言われる。ウィスキーが大好物で、その乳は万能薬だとも。目撃できたら幸運が訪れるなんてことも。ただしネイティブアメリカンの伝承には登場しない。もちろんこのはく製は、普通の兎に鹿の角をくっつけただけなんだけど、こういうのが幸運のマスコットとして今でも作られてるんだって。

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▲チュパカブラのミイラ。チュパカブラというのは南米の未確認生物で、山羊(cabra)の血を吸う(chupa)と言われてる。その姿は、背中にトゲがあって二足歩行するとも、毛のない犬のような姿で四足歩行だとも言われていて一定しない。時おりチュパカブラのものとされる死体が発見されて話題になるが、そのほとんどは皮膚病で毛の抜けたコヨーテだと言われてて、写真のミイラもコヨーテじゃないかってことでした。

 なお、この二点に関しては撮影が許可されてました。ほかはダメだって。

 展示品はコレクションのごく一部だそうです。面白いので時々入れ替えてほしいですね。わたしこういうの嫌いじゃない、っていうかかなり好き。300円のパンフレットも買っちゃった。入館料はずっと値下げしたままでいてくれたらまた行きたい(笑)

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▲パンフレット。表紙のお面は笑い出すと言われているいわく付きのお面らしいですよ。

タグ:不思議