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養蚕重宝記08:蚕間取置場伝授の事〜種一枚はきおろしの事

 続き行きます。URLは説明がないかぎり早稲田大学の古典籍データベースへのリンクです。原典が画像で見られます。

 間違い等のつっこみを歓迎します。「・」にしてある所はまるで読めなかった部分なので特に見てくださるとうれしいです。

十丁表

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko04/bunko04_00660/bunko04_00660_p0015.jpg
↑ここの左側から

【蚕間取置場所傳授の事】

神蚕はじまりよりおはり迄手をとりておしゆるが
如くくはしくこれありといへども第一伝授の・は
此間どりに有尤家の「方がくあらましに・・・と
いへども戸間口のあけ所または其家々にくで

十丁裏~十一丁表

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko04/bunko04_00660/bunko04_00660_p0016.jpg

んあり世の中ひろめのために此度改はん
いたし差出し申候

# 「はじまりより」の「より」は字が面白い。字典を見て読めたけれど、知らないと読めない。
# 「改はん」は「改版」か。
# 「申候」の「候」部分も知らないと読めない。略し方が半端ない。
# 「第一伝授の・は」 「役」に似てるけど意味が通じないような…
# 「方がくあらましに・・・といへども」 最初が「寸」か「方」二番目が「出」に見える。三番目はまったくわからない。一番目・二番目で一文字かもしれない。

『居宅方角の図の事』
  (挿し絵:居宅方がくの図)

『傳授ゆるしの事』
  (挿し絵:女蝶・男蝶)

# 目次に『伝授ゆるしの事』とあるが、ページ上部に雌雄のカイコガの絵があるだけで残りは余白。この本で勉強した者に免許なり皆伝なりを書き入れるのだろうか。このページの絵に添えられた文字を見ると「曝」に似た崩し字が「蝶」であることがわかる。

十一丁裏〜十二丁表

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko04/bunko04_00660/bunko04_00660_p0017.jpg

【種かひとりかこひやうの事】

一 もの々うるをひなきは心へ入置べし 但し寒水へ
  入る時は種壹枚の目方を改め午の日「きれいなる
  桶に水をくみ入へし夕方出しひかげにて
  能くしまし右種の目方より少しかろく
  なる心もちにちにほしあげしまふべし

『蚕はき立時候の事』
一 蚕はき立のせつは國々寒暖をかんかへ
  桑のめ・・にしたがひ・・より出ししら紙
  を三尺四方・・へにつぎ是にて「つつみ其上を
  きれいなるふろしきにて「つつみ家内のあた
  たかなる所の目通りにかけ置へし
  [事A]より種むしの出を心つくへし
  よく日はきたてんとおもはは前日紙六枚

# 「國々寒暖をかんかへ」 寒暖は自信なし。前後の意味からして気温関係だろうと。
# 「桑のめ・・にしたがひ」 めはえ→芽生え?
# 「・・より出ししら紙を」 「心得」に読めるが意味が通じない一文字か。
# 「三尺四方・・へにつぎ」 「くらへ」に読めるが意味わからない。
# 「種むし」孵化したばかりのお蚕のことか。
# 「[事A]より」
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=1481
↑ここの「・より普くふゑん事」の一文字目と同じ字か?「これより」「これにより」みたいな意味の文字ではないか。「事」のくずしたのにも似てるけど意味が通じない。

十二丁裏

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko04/bunko04_00660/bunko04_00660_p0018.jpg
↑ここの右側

  程つぎ桑の實づ 此みづといふは国々ところ違事あり桑の實の事也
  弐服程あつめ 但し實づなきときは桑を取置べし

# 「"程"つぎ」 「程」は自信がない。
# 「弐服程」 これも自信がない。
# 毛蚕に葉ではなく実をとって与えてたというのは面白い話。
# 「實づ」 「此"みづ"といふは」の部分は「えづ」「てづ」とも読めなくもない。長野県の方言で現在でも「クワミズ」「メゾ」「メド」などと言うらしい。それに類する呼び方と思われる。


【種一枚はきおろしの事】
(挿し絵:紙の上に種無数の毛蚕を散らしたもの、二枚)

壹番はきおろし
三尺四方にひろけて
よろし
弐番同即

タグ:古文書解読

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珍獣ららむ〜 (12/19 23:52) 編集・削除

># 「・・より出ししら紙を」 「心得」に読めるが意味が通じない一文字か。

これは一文字で「籠」か「箱」みたい。
たぶん「箱」かな。
蚕種は箱に入れて保管するから。

珍獣ららむ〜 (12/22 08:55) 編集・削除

>方がくあらましに・・・と

「書印と」か「書申と」のどっちかみたい。
神の旁と同じくずし方だから「申」っぽくもあるけど
「申」単独だとこういうくずし方はあまりしなくて
「印」はズバリこれっぽい。
http://clioz39.hi.u-tokyo.ac.jp/ships/ZClient/W34/z_list.php?title=%E5%8D%B0&resourcetype=0

一円 (12/27 22:32) 編集・削除

 「如くくはしくこれありといへども第一伝授の・は」
これは「儀」に見えるんですが、どうでしょう。
 次の一文字目は既にららむ~さんが読んでいるように「書」ですね。

 それにしてもしばらく来なかった間にこんなことをやっていたんですか。ごく一部の読み下しを確認しただけですが、かなり良く読んでいるのではないかと思います。と言っても自分がこういう文書(もんじょ)をほどほどにでも読める、わけではないのですが。
 ただ、ごくたまにですが江戸時代の版本を何度も何度も繰り返して見ることが無いわけじゃありません。そうやっていると、僅かづつではあっても、読める部分が増えてくるのは誰にでも覚えがあることですね。

 原典との比較対照は時間も掛かるし、精読しようとは思いませんが、とにかくららむ~さんも色々とやるなあと感心しています。

珍獣ららむ〜 (12/28 00:26) 編集・削除

ありがとうございます。そこはたしかに「儀」ですね。
実はこの記事を書いてからさらに見直して、
まったく読めない部分が八ケ所くらいに減っています。
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=1499
もしよかったら、ここだけでも見てください。
よろしくお願いします。


いろいろやるというか、
養蚕関係で現代の本が意外とないんですよ。
昭和中期くらいで産業として終わっていて、
あまり一般の人が近付かない分野だからでしょうね。
理科の観察用に子供用の本とかはあるのに
養蚕をなりわいとしてた人の手記とかハウツー本のたぐいは少ないです。

ならいっそ古典でも読んでみようと思ったら、
『養蚕重宝記』は活字化されてなさそうだし、
変体仮名やくずし字は前から覚えたかったので
ちょうどいいからやっちゃえっていう感じです。

柴又帝釈天にある伝説上の人物や動物の彫刻

ファイル 1494-1.jpg
▲鶴に乗る仙人。中国の伝説に出てくる王子喬(おうしきょう)という人です。

 王子喬は笙(しょう)という楽器の名手だったようです。ある時、浮丘公という道士に誘われて山に入ったきり行方が知れなくなりました。数十年後、友人の前に現れて「七月七日に緱氏山に家族を集めてくれないか」と言ってまた姿を消してしまいました。言われたとおり家族が待っていると、王子喬が鶴に乗って現れ、家族に挨拶してまた去って行ったと言われています。

 日本では、あまり名前が知られていませんが、お寺や神社の彫刻ではたまに見かけます。

ファイル 1494-2.png
▲柴又帝釈天だとここにいます。


ファイル 1494-4.jpg
▲これは前の記事に貼った応竜です。これはけっこう珍しいんじゃないかと思います。

 応竜は雨を降らせる生きもので、黄帝が蚩尤をやっつける時に呼び出して嵐を起こさせました。ところが殺戮に加担したせいで天に帰れなくなり、地上に住むことになりました。中国の南方に雨が沢山降るのは応竜が住んでいるからです。応竜の話は『山海経』にも出てきます。

 応竜はよそのお寺ではあまり見かけないものですが、柴又帝釈天では何ヶ所かに彫刻されています。それはもしかすると、中国神話の天帝と帝釈天が同一視されいることと関係があるかもしれません。応竜の伝説に出てくる黄帝という人は、もとは天の中央に君臨していた天帝なのです。

ファイル 1494-5.png
▲ここにいます。ここ以外にもいるので探してみてね。


ファイル 1494-3.jpg
▲これはたぶん、犀(さい)だと思います。波の中にいて、馬のような姿をして、頭に一本角があり、背中には亀の甲羅があります。おそらくインドなどにいる実在のサイについて「蹄(ひづめ)があり、一本角、体に甲羅がある(皮膚が甲羅のように固い)。水辺にいる」などと言葉で伝えられるうちに、角が鼻から頭に移動して、甲羅のある馬の姿に変化したんじゃないかと思います。。

 犀の彫刻はそれほど珍しくはありません。あちこちのお寺や神社でみかけます。なぜ犀の彫刻が好まれるかというと、犀が水中に住むと言われているからだと思います。昔の建物は木造ですから何より恐いのが火災です。火災よけのおまじないとして、水に住む生きものを彫刻するわけです。波に千鳥なんかも良くあります。

 もう一枚写真を貼るのがめんどくさいので(五枚以上貼る場合は小細工をしないといけないので)場所は書きませんが、もし柴又へ行くことがあったら探してみてください。あまり目立たない場所にいます。

タグ:伝説 寺社幻獣 神社仏閣

柴又さんぽ

ファイル 1493-1.jpg
 帝釈天前の公衆便所のところに丸ポストを発見。あれ、こんなのあったっけ? しょっちゅう歩いてるような気がするのにポストが丸いことに今気付いたよ。

 検索してみると2005年ごろにはすでにあったようだけど、よそにあったのを移設したみたい。だから目に入らなかったんだね。結局観光用だし。今となっては貴重なので移設して残すのには賛成だけど、できればもともとあった場所で街の顔として残したほうが洒落てるような気がするよ。



ファイル 1493-2.jpg
 とらやの焼き草団子。1本150円也。しまった、背景にピントがあっちゃってる。帝釈天の参道に団子屋は沢山あるけれど、焼いてるのはここだけだと思う。

◎柴又とらや
http://www.toraya.info/



ファイル 1493-3.jpg
 昔懐かしい輪転機。これは寅さん記念館に新しく入ったやつ。タコ社長の印刷所を再現したみたいなコーナーに展示されてます。

 この機械はつい最近廃業した印刷所にあったもので現役で使われてたらしいです。なんでも紐のついてる封筒なんかは最近の機械には通せないので、案外あちこちでまだ使われてるって話でした。

 寅さん記念館は12月15日にリニューアルオープンして展示が増えました。隣接する施設内に山田洋次監督の資料館みたいなところも増えたし、フィルムだった時代の映写機も展示されてます。

◎寅さん記念館
http://www.katsushika-kanko.com/tora/


ファイル 1493-4.jpg
 柴又帝釈天には見事な木彫があることでも有名です。十二支の動物や法華経などから題材をとったものが多いけれど、たまに珍しい幻獣がまざってます。この写真の竜にはよく見ると翼がついてて西洋のドラゴンみたいですが、中国の伝説に出てくる応竜という雨を降らせる生きものです。

 次の記事で帝釈天にいる幻獣の写真を少し貼ります。

タグ:地元(葛飾周辺) ポスト

養蚕重宝記07:下種かひ方の事〜蚕十分あたりの事

 解読に慣れてきたので一気にいきます。蚕の病気について記録されているので興味深い部分です。

四丁裏~五丁表

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko04/bunko04_00660/bunko04_00660_p0010.jpg
↑ここの2行目から

『下種かひ方の事』
一 下々種は蚕かいにくし乍去下品といふとも
  一切ふ作といふことなしまゆのつくりあしく
  蚕飼のおん方御そんなり「此種の級は下直
  に仕入方いたし所々の下まゆにて種取此故に
  下まゆにつくるなり

# 乍去=さりながら 不忍(しのばず)みたいに逆さに読む。

『蚕はき立の事』
一 蚕はき立のせつ置場「手違にてほこりに
  なる事此「置場と申はたばこのけむりさき
  あるひは「しもふりさむき風にあたり死して
  ほこりとなるなり

# 置場は聞いたことのない用語ですが、状況から考えて蚕を飼う部屋のことかと思います。後半に「たばこのけむり"さ"き」とあるのは、「こき(濃き)」の間違いなのか方言なのか、ちょっとわからないポイントです。

『蚕はき立次第の事』
一 蚕はき立たくさんにあり「湲々あかく「すき蚕
  になる事此「すき蚕と申は四度のやすみ
  あり「やすみより三日四日めにとふろうのことし
  かならすまゆつくる事なし此蚕は四方を

# 「はき立」は通常は孵化直後の餌やりのことだが、ここで語られているのは四眠後の病気についてなので、養蚕すること全体を「はき立」という言葉でさしているかもしれない。
# 「湲々」は流れるという意味か。読みは「えんえん」かと思うけれど自信なし。
# 「とふろう」は意味不明。「透ける」か「溶ける」に関する言葉のような気がするが。

五丁裏〜六丁表

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko04/bunko04_00660/bunko04_00660_p0011.jpg

  たて気こもりようきはらはずして并に
  火ばちなど入あたたかなるゆへに皆すき
  蚕となるすき蚕にならぬやうにはそらへ
  気をはらひちう夜の桑を入蚕母心を
  とめ「ようきをかんかひ取事せん一なり

# 「すき蚕」は、普通は繭を作る直前に蚕が透明になることを言うが、ここでは すき蚕になっても繭を作らない異常を言っており、それは暖かくしすぎるせいなので、通気をよくして桑を与える事に専念しろと続いている。直前で「湲々あかくすき蚕になる」「四度のやすみあり、やすみより三日四日目に」とあることからお、蚕が突然死んで溶けた様な状態になる病気のことを言っているような気がする。しかし、その病気ではお蚕が黒くなり、透けない。「すき蚕になる頃に、その病気が発生する」というのを途中はぶいて説明しているかもしれない。

水なりかるこのゆへに?
『蚕はき立二度休の事』
一 はき立より二度のやすみまで蚕かしら
  大きく「しりほそく水出す事あり此水
  を出す事は毛蚕のうちよりさむきにあたり
  尤此あたりはひるはようにして火なり夜
  九つまではあたたかにして火の気をたもつ
  夜九つよりは陰にして水なりかるこのゆへに
  八つすぎより夜あけ「朝五つまてはことことく

# 「水なりかるこのゆへに」とある部分は意味が通じないので別の読み方があるかもしれない。


六丁裏〜七丁表

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  さむし二つやすみまではおりおりしもふり
  こふる事ありよくよく心を付へし

# こふる 粉ふる? 雪のことか?

『同二度休より吉凶を知る事』
一 はき立より半分よきまゆをつくり「半分
  すき蚕となるは南の方ようき「つよく
  してあたたかなるゆへなり是を止る
  事は「ようきはげしき時戸を引
  北をとりはらひ蚕にあたらぬやうに
  自然と北風を入る時はすき蚕になら
  ぬなり

しちやうのへの?かひそだてはつる蚕
『蚕六七分の当りにて吉凶を知る事』
一 蚕六七分のあたりふしたかくなる事有
  けむりさき風さきまたは「しちやうのへの
  にてかひそだてはつる蚕「ふしたかく
  なる

# 「けむり"さき"」、「風"さき"」ちょと前にも出てくる。「さき」って何??
# 「しちやうのへの」の意味がわからない。
# 「かひそだて"はつる"蚕」もあやしい。


七丁裏〜八丁表

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『蚕ちぢれ次第の事』
一 蚕にちぢれあり「まゆつくり七八分に
  あたる事此あたりは四度のやすみ
  きぬをぬくせつ風にあたりたるゆえ
  なり

#きぬをぬく=衣を脱ぐ 脱皮のこと

『蚕死ぐもりの事』
一 蚕あたり「まゆつくりしにぐもりある
  事此しにぐもりはまゆ中にてくさり
  是は毛蚕の内夜あげがたさむきにあたり
  たるゆへなり

# 「夜あげがた」は原文のまま。夜明け方ならば「げ」の濁点は余分か?


『同四度の休の事』
一 四度のやすみまでは蚕上々にて三分
  壹になる違ひあり此三分一になる
  ちかひと申は四度のやすみきぬを
  ぬぐせつ北風またはあらき風にあたり
  蚕よろしきといへとも三分壹へる
  事あり

八丁裏〜九丁表

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko04/bunko04_00660/bunko04_00660_p0014.jpg

『庭休より吉凶を知る事』
一 庭やすみ「のちに蚕ふとくして水
  いろにすく事此水色と申は蚕がひ
  のせつさむきにあたり「のちに水色に
  すくなりのこりしまゆは中作なり

# 蚕がひ=蚕飼い(こがい)、養蚕すること。寒さにあたり…とあるので、熟蚕になっても繭にならない症状のことを言っているのかもしれない。

『四度の休より上々蚕桑付の事』
一 四度のやすみまで上々蚕「くはつけの
  しそんじにて五分のあたりなり此
  くはづけのしそんじと申は蚕「そろひ
  たく「くはくれる事手をくれになり蚕
  母の心え違ひなり

# 蚕の成長をそろえるために、四度の休みに脱皮があらかた終わるまで桑くれを止めることがある。桑をやらない時期が長すぎると発育不良になり繭を作らなくなる。ここではそれを「桑くれが手遅れになったせいで、蚕母の過失である」と言っている。


『蚕七八分あたりの事』
一 蚕はじめすこしにてのちに上々のまゆ
  作り七八分にあたるなり此あたりと申は
  蚕母蚕をこのみそばをはなれさる
  ゆへにきこうのさむきあつきをわきまへる

九丁裏

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko04/bunko04_00660/bunko04_00660_p0015.jpg
↑ここの右側まで

  ゆへに自然のあたりなり

『蚕十分あたりの事』
一 蚕十分のあたり「まゆつくりにいたり
  ちかひの事此ちかひと申は「まゆつくり
  のせつ打つ々きあめふりはなはだすす
  しき事あり上々の蚕といへとも五六分
  のあたりとなるなり

タグ:古文書解読

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武邑くしひ (12/18 07:59) 編集・削除

先をこされたけど、蚕飼(こがひ?)の「飼」は下記参照

http://www013.upp.so-net.ne.jp/santai/jpg/0395.jpg

珍獣ららむ〜 (12/18 13:39) 編集・削除

くしひさん、いつもありがとうございますー。
アップする前に直したつもりが直ってなかったので
あわてて書き加えてしまいました。
資料のURLは助かります。自信がつきますから。

珍獣ららむ〜 (12/18 18:41) 編集・削除

「しちやう」は「紙帳」かもしれないです。
『紙帳養蚕法』という明治時代の文献をみつけました。
紙帳自体は平安時代からあったそうですから、
江戸時代の養蚕農家で温度や湿度の管理に使っていたのかもしれないです。
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/840872

「へのにて」は、
「利」をくずしたのが「の」みたいになることがあるらしいので、
「縁にて」かもしれないです。
それなら寒さにあたって病気になるのも納得できるので。

珍獣ららむ〜 (12/21 18:44) 編集・削除

>かひそだて"はつる"蚕

これは「かひそだて"たる"蚕」でした。
よく見ると堂をくずした変体仮名の「た」ですね。

養蚕重宝記06:中種かひ方の事〜極上々種かひ方の事

三丁裏〜四丁表

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko04/bunko04_00660/bunko04_00660_p0009.jpg
↑ここの3行目から

『中種かひ方の事』
一 中種のかひ方は種壹枚はきくは十五駄をあたへ
  蚕母弐人にて「かうまゆ壹石三斗[預]取蝶の
  せいぶんますゆへに種よろし是を中種といふ也

『上種かひ方の事』
一 上種と申は種壹枚はきくは廿駄をあたへ蚕
  母三人にて「かうまゆ壹石六斗[預][有]蝶のはたらき
  種しまりよきを上種と申

『極上々種かひ方の事』
一 極上々種と申は元種をあらためまゆ弐石余
  [有]此かい方壹枚に付桑三拾駄をあたへ蚕母
  五人掛りまゆのつやよろしく手ざはりやはら
  かにして弐石の内よりまゆ壹ツつ々弐斗をゑり出し
  是より出る蝶のはたらきゆへに種粒大きく「しまり
  かたく是を極上々種といふ故に直段高直を

四丁裏

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko04/bunko04_00660/bunko04_00660_p0010.jpg
↑ここの1行目まで

  いとはず極さい上の種をはく事かん要なり

用語

蚕母
 中国で養蚕を最初に始めたと言われる伝説上の女性が「蚕母」と呼ばれるが、ここでは蚕の世話をする女性のこと。

直段=値段
高直=高値

読めないところ、解釈に悩むところ

今回はまったく読めない部分がほとんどないのですが、前回の続きで「〜斗預」の部分に注目したいと思います。三ヶ所あります。

A: まゆ壹石三斗[預]取
B: まゆ壹石六斗[預][有]
C: まゆ弐石余[有]

[ ]でくくった部分は解読に自信がない部分です。

まゆ壹石三斗[預]取拡大
▲A: まゆ壹石三斗[預]取

まゆ壹石六斗[預][有]拡大
▲B: まゆ壹石六斗[預][有]
 ここでは最後の文字が「多」をくずしたものにも見えるのですが下の例を見ると[有]っぽいなと思います。

まゆ弐石余[有](此かひ)
▲C: まゆ弐石余[有](此かひ)
 ここを見ると、多ではなく有のくずし字っぽいわけです。ついでに言うと、預ではなく余が使われており、ほかの部分も余と書くべきところを当て字で預にしてあるのかなと思うわけです。

 ただし、A、Bは同じようなパターンで出てきますが、Cだけやや違うので、Cを見てA、Bを直していいか悩むところではあります。


養蚕重寶記、養蚕重寳記

タグ:古文書解読

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珍獣ららむ〜 (12/20 13:03) 編集・削除

あー、これはわかりました。
「預」に読めるところは「程」ですね。
http://clioz39.hi.u-tokyo.ac.jp/ships/ZClient/W34/z_list.php?title=%E7%A8%8B&resourcetype=0

読書百遍というのは百遍読まないと文字すら判別できないという意味だったのですね(ちがうかも)。