まあその、試食してみたわけですが。
いきなりページわけてみるか。
うーん、虫食ってるくらいでウゲッて思う人は来んなって思うので、こんな配慮は必要ないと思うんだけれども、ゲーム関係で見に来る人もいるから、さすがにそれは気の毒かなあとも。
それはともかく、昆虫は幼虫のうちは卵を産みません(あたりまえ)。わたしが飼っているのはハバチの幼虫なので「増える」というのもおかしな話ですが、餌として取ってくる植物に幼虫がくっついているので結果として増えてしまうのです。ハグロハバチの食草であるギシギシはちょうど旬を過ぎた状態なので、虫のいない葉を選んで摘むのが難しくなっているし。
そして現在こんな状態。
あー、そこでウゲッと思ったあなた、この写真でクラクラするようなら別のところへ行くべきです。この先は見ないで、なるべく上を見ながらブラウザの戻るボタン、もしくは閉じるボタンでも押してですね、他のところを見に行ったほうがいいんじゃないかと。
最初は餌を花びんに挿して与えていたんだけれど、なんせもう増えすぎてしまって、そんな余裕はないので土の上に直置き。どんなに沢山あってもあっという間に葉脈だけになってしまう。いくらなんでも多すぎる。この幼虫がこういう成虫になる、というのを確かめたいだけなので、こんなに多くなくていいんです。間引くしかないかなあ。
そこで問題なのは、間引いたものをどうするか。元いた場所に放すったって、幼虫ですから餌のないところに放しても死ぬだけです。餌は探すのが大変なくらい少なくなってる時期だからこれだけの幼虫を放せる場所がない。
というわけで、試食。昭和天皇も研究対象のウミウシを試食なさったというし(一緒にするな?)。
ハバチの幼虫は餌がないとよく歩き回るので、生きたまま一カ所に集めておくのは無理です。熱いお湯を用意して、一匹ずつつまんでお湯に放り込みます。お湯が熱いうちはすぐ死にます。
これは拡大写真。小さな虫なので気づかない人が多いかもしれないけれど、ハグロハバチの幼虫ってきれいなんです。鮮やかな緑色で、脇腹に黒い点々が並んでる(生きてる時の写真はこのへん)。体長は20mmくらいでしょうか。
全体の半分か、三分の二ぐらい間引いたと思うんですけど、あんなにいると思っていたのに、集めてみたら大さじ一杯くらいになってしまいました。
あまりきれいな環境で育ったものじゃないですから、もう一度鍋で沸騰させて下ごしらえ。味を付ける前に何匹か食べてみましたが、やわらかい食感は悪くないけれど、軽くえぐみを感じるような気がします。たぶん餌にしているギシギシのアクでしょう。
長芋があったので山かけにしてみました。つるんとひと口で飲み込めてしまうような量でした。こうなるとろくに味はしません。噛んだ時の食感だけですねえ。
食材としての可能性なんかも考えてみちゃったりするんですが、採集で集めるのはたぶん大変です。初夏にたくさん発生しますが小さいですし、そうとう集めても大した量になりません。昆虫を食べるにあたって常に思うことは、嫌悪感よりも合理性に負けるってこと。エビやカニ、タコやイカなんて、そうとうグロいと思うんだけれど、それでも食べますよね。虫だって食べ慣れたらどうってことないはず。ただ、食べるほど集めるのが難しい。
ハグロハバチの場合、餌がギシギシだというのもよろしくないです。ギシギシは食用になる植物ですが、蓚酸を多く含んでいます。人間がギシギシそのものを食べる場合やわらかい新芽を選んで食べるわけですが、虫はそんなことお構いなしにどこでも食べてしまいます。ということは、ハグロハバチの幼虫にも蓚酸が多く含まれているような気がする。今回のようにスプーンに一杯分くらい食べたところで影響ないですけれど、たくさん食べたら蕁麻疹を起こす人がいるかもですねえ。
同じようなハバチでも、チュウレンジバチは餌がバラの葉なので成分的には悪くなさそうです。オオクロハバチに至ってはトネリコという樹皮が薬になる木の葉を食べるのでもっとイケそうですが、高い木にいるので食べるほど採集できないと思われます(街路樹が丸裸になるほど発生するんですけど)。ニレチュウレンジが食べるニレの木も樹皮が薬になりますが、こいつは大量に発生しているのを見たことがないです。ハバチはほかにも沢山いますが、身近でわいてるのしか知りません。
ちなみに、ハグロハバチの幼虫は、間引いた後、さらに数が減っているような気がするので(飼育箱はグルーガンを買ってきて強化したので逃げてない)土に潜って蛹になっているかもしれません。