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蟹退治>胃カメラのおどり食い

蟹退治、前回までのあらすじ……

 胃カメラと大腸内視鏡の順番待ちの間にお腹が苦しくなったので腹水を抜いてもらった。それにしても、この手記いつになったら入院生活に突入するんだろう。

スケジュール

8月5日(土) 腹水を抜きました
8月6日(日) 夜八時以降は絶食です
8月7日(月) 胃カメラのおどり食いに挑戦
8月8日(火) 検査前の特別な食事
8月9日(水) 今度は尻からカメラですっ

 以下は当時の日記を軽く加筆しながらそのまま転載。書き直すより臨場感がありそうなので。

腹水を抜いたらおならがブー
 腹水の穿刺のあとは期待(?)された液漏れもなくネタにもなりませんでした。腹水が減ったせいで軽く腹が垂れ気味ですが、これといって支障はないです。でも、スイカを食べたあとに腹がパンパンになったときは焦りました。早くも元にもどったかしらと思ったけれど、でっかいゲップが出たらへこんだようです。まあ、完全に水が抜けちゃったわけじゃないので、食事は普段の八分目くらいでお腹いっぱいになっちゃうんですけど。

 明日は胃カメラを飲むので夜7時に夕食を済ませました。8時以降は絶食です。お茶くらいは飲んでよいそうです。

胃カメラ当日
 そんでもって今日は胃カメラを飲んできました。胃カメラも初体験です。喉に麻酔しててもゲロゲロってなるイメージがあるのでちょっと逃げ腰でしたが、最近は軽く睡眠薬を注射して半眠りの状態でやるから苦痛はほとんどないそうです。

 検査室に入る前にメガネや時計をはずしてくれと言われたのですが、メガネをはずしちゃうと何も見えなくなって判断力が落ちるので、何を指示されても「はあ、で、今何言いました?」「あっち? あっちってどっちですか」って感じになってしまうのでカメラを飲む直前までかけさせてもらうことにしました。

 まずは胃の中をきれいにする薬とかいうものを飲まされました。ぐい飲みサイズの小さな紙コップに入った液体です。カルピスを薄くしたみたいな色がついてたような気がします。これといってにおいもなく、味もあるような、ないようなという感じで、飲むのに苦痛はありませんでした。

 それから喉の麻酔。看護婦さん(どっちかっていうと看護師と呼んだほうがぴったり来る愛想のないタイプで)が注射器を持ち出して、
「これから喉に麻酔をします」
と言うので、「注射器使うなんて聞いてないよ」とびびったのですが、よく見たら針はついてませんでした。スポイト代わりです。これもメガネを外してたらパニックを起こしていたかも。はめててよかった。

 麻酔薬はジェル状で、冷たくて(冷たいと感じるだけかも)、苦いとか甘いとかの味はないのですが、やけに刺激的で喉にちくちくする感じでした。喉の奥のほうでしばらく含んでいなくてはならないそうです。アラームが鳴ったら飲み込んでくださいと言って看護婦さんは去ってしまいました。

 えー、アラームって何分ったったら鳴るんですかー。これ、いつまで含んでなくちゃいけないのー。げー、なんか喉がおかしくなってきた(麻酔だからな)。っていうかこれ飲み込めるんだろうか、わたし。

 そんなこと考えてるうちにアラームが鳴りました。含んでる時間は30秒くらいだったか、1分くらいだったか、そんな程度でした。すでに喉の感覚が鈍くなっているので飲み込むのに若干の勇気がいります。うー、ぐぐぐ、ごくん。たとえていうなら冷たくて刺激的な味のする痰を大量に飲みこんだみたいな感じ。激しくキモチワルイ。でも、まあ、むせたりせずに飲めました。

 それから検査台に移動。胃カメラは左側を下にして横向きで寝て飲むそうです。もう歩く必要がないので眼鏡はおあずかりしますねと、持って行かれてしまった。横になったら今度は別の看護婦さん(こっちは愛想のいい感じの人でした)がやってきて
「もう一種類、喉に麻酔薬をつけます。今度のやつはちょっと苦いけど我慢してくださいねー」
という感じで、機械に油をさすやつをもうちょっとスマートにしたみたいなボトルで喉に液をぷしゅっと。ジェルじゃなくて液でした。苦いかどうかはよくわからないけれど、これもかなり刺激的な感触です。こっちはすぐに飲みこんでよいとのこと。

 それから医者がやってきて、カルテをチラッと見てから「お腹張ってるの? いつごろから?」「食欲は?」とか「痛いとか何かあるの?」とか聞いてくるんだけど、こちとら喉に変な薬をつけられてるので丁寧に答えているような余裕なし。あやうく「カルテ見ろよ若造が」と言いそうになったけどぐっとこらえる。喉は感覚が鈍っているけどしゃべるのに支障があるような状態ではなかったです。

 看護婦さんが穴のあいたマウスピースを持ってきて、軽くくわえててくださいと言いました。この穴からカメラを入れるらしいです。

 そんでもって、医師に睡眠薬を注射するからとか言われて、肘の裏がいいか、手首がいいかって医者が迷って「肘を曲げずにいられますか」とか言うんだけど、曲げずにって検査中ずっとだったらイヤだし、そもそもそこは数日前に採血やら造影剤注射やらで何度も刺されてるのでもうさされたくないから「えー、やだ」とか投げやりに言ったら手首の太い血管に刺してました。手首の血管は痛いので普通の人はいやがるらしいです。昔そんな話を別の病院で聞きました。が、しかし、日本の注射針は良く出来ているので、一発で刺してくれればスーッと入っちゃって大した痛みじゃないんです。どっちかっていうと、何度も刺された場所に無理に刺されるほうが痛い。

 注射と書いたけれど、検査のあいだ生理食塩水かなにかを点滴するので、針は点滴用の留置針ってやつなんでしょうか。そういうのを刺します。一度刺してしまうと、針をとりかえずに注射も打てる仕組みになってます。睡眠薬らしきものを二本打たれました。一本目で眠くなるかと聞かれたけれど変化なし。なんという薬ですかと聞いたんだけど、医者がなんて答えたかは覚えてない。二本目で急に効いてきました。効き始めると注射してる最中にもう眠くなってブラックアウト。

 気が付いたらもう胃カメラが口から入ってて、何をしてるのかわかんないけど大きなゲップがゲロゲロ出たので目が覚めた。看護婦さんが「ゲップは我慢してねー」とか言ってるけど、我慢なんか出来るわけがない。なんせ喉に管が入ってて、口にはマウスピースはめられてんのよ。どうやって止めろと言うのだ。ためしにお前やってみろ(怒)と、しゃべれないので無言で青筋たててたら、医者が「いいよ」って言ってたような気がする。

 首は動かせないので視線のみ移動であたりを見たけど、角度が悪くてモニターはよく見えないし、眼鏡かけてないから何がなんだかサッパリね。

 そんなこんなで胃カメラは喉の麻酔が不味いこと以外になんら苦痛もなく終わりました。検査にあたってる医者が言うには「胃はなんともない」だそうです。そうだろうな。圧迫感で食欲が落ちてる以外にこれといって自覚症状もないし。

 睡眠薬を打たれているので少し休んでから帰ってくださいといわれて、検査台(ストレッチャーになってる)ごと移動させられ、休憩所になってるところに並べられてしまいました。でも、かなり弱い睡眠薬らしく、このあたりで既に薬は抜け始めてた。5分か10分か、そのくらい我慢してから「あのー、これいつまで寝てなきゃいけませんかー」と聞いたら、「薬切れました? そろそろいいかもしれませんね」と許可が出たので会計をして帰ることにしました。検査をはじめてから休憩が終わるまで一時間くらいだと思う。

 喉に麻酔をしたあとなので、誤嚥下を防ぐために飲食は30分以上たってからにしてくださいということでした。睡眠薬を打ったあとなので、車や自転車の運転はやめてくださいとも言われた。高速で抜けちゃう薬みたいだったけど、確かに直後の運転は危険かもね。普通に歩いたりするのに支障がないとはいえ、軽く判断力が鈍った感じになります。

注:高速で薬が抜けると書いていますが、たぶん自然に抜けたのではなく、薬の効き目を打ち消す別の薬を打たれたせい。

この日のお会計
基本診療料 210円
検査料 5877円
合計 6090円也

胃カメラは6000円程度で飲めるようです。