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蟹退治>やっと入院の日取りが決まったよ

 前回までのあらすじ。胃カメラのおどり食いに挑戦したり、大腸内視鏡で尻から責められたりしてやっと検査が終わり、ついに……?

注意:これは去年の話ですっっ
 蟹退治タグのついている記事は去年の話ですから、そこらで出会った時に重病人扱いされても困ります~。あと、ご心配はありがたいような気もするんですが、同じ病気だからといって同じように苦しいと思われても困るんですぅ。


*お楽しみの宣告です

 先日の大腸内視鏡でひととおり検査が済んで、あとは病名と治療方針を決めてもらわなきゃならない。結果を聞きに行く日はあらかじめ決めてあるので朝から病院にでかけたわけよ。もうこの頃は疲れがひどく、待合室で普通に座って待ってられない。仕方ないので、看護婦さんに頼んで処置室のベッドを貸してもらって順番待ちをしてた。

 やっと順番が回ってきたら、今日はいつもの医師じゃなく別の人で、「腹水たまっているならまた抜きますか」とか核心から遠い話をぐだぐだと。わたしゃちゃんと予約して結果を聞きに来ているはずなので、それはないだろうと思い、

「あのー、お話をさえぎって悪いんだけど、結局のところわたしは何なのですか。今日はそういうのがわかるというから来たんですけど?」

と、丁寧に「ふざけんな」ビームを送ってやったら、いつもの医師からそういう話を聞いていなかったので……ってしどろもどろになっちゃって、「卵巣癌の可能性が高くて、治療方針はこれから考える」みたいなことをホイホイしゃべってました。

 胃も腸も異常はなくて、子宮内膜にも癌細胞はなかったから、CTやMRIに写ってるとおり卵巣の腫瘍でしょうと。腹水をとって調べた結果では、五段階で三くらいの確率で「癌っぽい」という結果が出たそうです。

 今後としては手術で切って細胞の検査をしてから癌だと確定したら抗癌剤を投与、もしくはその逆で、抗がん剤で叩いてから手術するかのどっちかなんだけど、それはこれから決めるらしい。

 いやべつに、腹水たまってて卵巣悪いって言われたときから癌かもってのは思ってたから別に驚きゃしないんですけど、今日はいろいろ先のことが決まるからっていうので出かけたのに、なんだよそれ、これからかよ(怒)

 というわけで、初めての癌宣告は、これといって悲壮感なしに終わったのでした。っていうか、癌だからすぐ死ぬわけじゃなくて切れば治るケースも多々あることは知ってる。仮に治らないとしても、即死しちゃわないことのほうが問題なのよ。将来がどうのこうのより、今この腹が苦しいんだってば。あと咳がね、とまらないのよ。痰がしつこくからみついて、ときどき発作のようにげほげほと。これがつらい。もしかして肺にも転移してるのかなぁと思ったけれど、そこまで行くとそうとう悪くなってるはずだから、もーーーーっと動けなくなるかも、なんてことを考える。

 お腹が苦しいならまた腹水を一リットル抜きましょうってことになったんだけど、ええええ、抜くってこの人が?←かなり失礼。いやその、針の刺し方だって人それぞれクセが違うしさー、医者変わるとそのたびにドキドキするじゃないの。やだなーと思っていたら、案の定というか、なんというか、お腹にごそごそ刺し始めた後に「針もう一本ある?」だと。お、おまえ、失敗したのか!!! 見ると医者の手には途中で折れ曲がった長い針が。痛いってわめいてやりたかったけど、局所麻酔が効いてるからぜんっぜん痛くなかったのよ。くやしいーっっ。その医師は、看護婦さんに針をもらって、もう一度刺し直してました。

 癌宣告の後のせいか、不機嫌光線乱射中のせいか、看護婦さんがやけに親切でした。わたしの右腕の内出血のあとを見て「どうしたのー」って言うから、

「大腸内視鏡検査の時に点滴針がうまく刺さらなかったんです。献血車に乗ってる看護婦さんとか外来で血を取ってる看護婦さんとかは見れば刺しにくいのをわかってくれるのに、検査系のお医者さんはまるで気にしないで刺してから漏れたっていうの。100%そんな人ばっか。MRIの造影剤も漏れたし」

「ああ、MRIのやつは針が太いのよ」

「えー、太い針だったのか。そんなのを無頓着にブスッとやったわけね。なんか、ものすごい自信で一発で刺すから、ひょっとしてこの医者は天才なのかもしれないと思ったら、漏れたっていうし」

隣で何かの処置を受けてた中国人の夫婦が一瞬ウケてました。

 そんなこんなで腹水を抜き始め、今日は「ヴィーンD注」とかいうリンゲル液を点滴しながらやったのでけっこう時間がかかって疲れました。腹水は抜かなきゃいけないんだけれど、抜いたら体の中の水分やらミネラル分やらも出てしまうので、補給しなきゃならないらしいです(補給した分もどんどん腹にたまるんだろうなー)。

 治療方針は決めておくので明日また来てくださいだと。おいおい。

 帰りがけに「咳がとまらないんだけれど、これは呼吸器内科とかに行ったほうがいいですか」と聞いたら、医者が変な顔をして

「内科へいっても腹水のせいだと言われるだけですよ?」

とか言ってた。たぶん他の医師から説明をうけてると思ったんだろうね。腹水がたまりすぎて胸のほうに上がってくると湿った咳が出るんだそうな。しかも腹水を抜くと胸にも水がたまりやすくなるとかで、咳がひどくなるのはごくあたりまえのことなんだとか。メジコン散という薬の処方箋を書いてもらい、薬局に寄って帰宅した。

 前にも思ったけれど、腹水を抜いてもらうとおならが出る。それだけ腸が圧迫されていて、ものが通りにくくなってるということだと思う。腸自体に悪いところはないので圧迫がとれると動き始めるわけね。

 当時のメモを見ると、初めて腹水を抜いてもらったのが8月5日で、検査の結果を聞きに行ったこの日は11日。一週間もたってないのにお腹はもとのようにパンパン。腹水を抜くと、水と一緒にアルブミンだのなんだのという成分が出てきてしまい、そのせいで余計に水がたまりやすい体質になる、という話は何かで聞きかじっている。想定通りの展開なんだろうなー。

 そういえば、この日は内科でも胃カメラや大腸内視鏡の結果を聞く予定になっていたんだけれど、当時のメモやブログなどを読み返しても内科へ行ったという記述がない。よく覚えてないけど、婦人科から受診の必要があるか問い合わせてもらい、特に異常がなかったので行かなくていいことにしたんだったかも。


*そして翌日も病院だよ

 腹水を抜くと、今度は胸水がたまりやすくなったりするそうで、そんな影響もあってか咳がぜーんぜん止まらないのね。それで昨日、メジコン散100mgとかいう粉薬をもらったんだけど、コレが効かないのなんのって、仕方ないので市販薬(アスクロン)を飲んだら咳は楽になったけど朝から頭がボーっとしてます。

 そんでもって卵巣腫瘍ですよ。卵巣の腫瘍は切ってみないと良性か悪性かの確定が難しいそうでございます。なので、癌の疑いが高い場合は、癌という方向で予定を立てるそうでございます。

 明日また来いって昨日言われたので、今日でかけてみたのですが、こっちが何も言う前に処置室のベッドをあけてくれて「ここで寝て待っていていいですよ~」ってな状態でした。ついでに治療方針の説明も寝たまま受けちゃった。

 とにかく切らなきゃならないのは確実なんだけど、手術に耐えられる体かどうか検査しなきゃならないので、これから採血と心電図と肺機能の検査と尿検査と、胸部と腹部のレントゲンをとってきてください、その結果、手術できそうなら23日入院の25日手術で、手術が先だと体がダメそうならもっと早くに入院して抗癌剤をぶちかましましょうって感じ。

 そんでもって「卵巣も子宮もとります」だそうで、あらそうなの。わずらわしい生理とおさらばできるのと引き換えに更年期障害みたいな症状とコンニチワなのね。

 と、いうわけで、話を聞いたあとは、またもや検査部めぐりですよ。まず採血。やっぱ採血のプロは違う。

「腕見せてください。はい、左にします」

 そんでもって刺すのも一瞬。なんの痛みもない。次に、血の止まりやすさを調べるというので小さなかみそりみたいなもので耳たぶに傷もつけるんだけれど、

「やりますよ。1、2、3」

 まるで躊躇なし。ストップウォッチでタイムを計ってチャチャッと絆創膏をはって終わり。

 なんという手際のよさ。なんという名人芸! でもこれ、八月だからかもね。四月とかに大学病院に通うと研修医さんたちがうろついているからイロイロとタイヘンな目に……ひひひひ。

 その他の検査も滞りなく高速で終わり、ちょうどお昼時で会計だけ異常に時間がかかりました。薬は「こないだのぜんぜん効かないから、痰を切るやつにして」って言っておいたので今日はムコソルバン錠15mgっていうのが出ました。効くのかなあ。検査の結果と入院の日取りは水曜日に出かけていって聞くことになってます。

 はあ、入院の準備しないと。手術した後が長いはずなので、結局来月一杯くらい入院しちゃう予定ですよ。

*この頃の状態

 熱を測ると常に微熱がある。高熱になったりはせず、37度をちょっと超えるくらいの熱がずっとある。
 食欲はあるけど、少し食べるだけでおなかいっぱいになる。腹が圧迫されてるせい。
 腸の動きが悪くなってるわりに、便は毎朝出る。食べる量が少ないので、便も少なめ。 尿の量はとても少ない。水分はほとんど腹にたまっている模様。
 痰がからむ。咳がひどい。病院でくれた薬はさっぱり効かない。一日に三度飲むことになっているので咳がとまっているのに時間で飲むと、何かが刺激されてやぶ蛇発作がおこり、何時間もおさまらない。こんなんでどうしろっていうのか聞きたい。

*ヤクキター、そしてやっと入院の日取り決定

 8月16日水曜日です。病院行ってきました。予定通り手術を先にするそうです。ちょっと早めに21日(月)から入院することにしました。

 いやー、もう、とにかく咳が苦しくて、昨日なんか一日の大半を「せ、せき、く、くるしい……ぜえぜえ」って感じで過ごしました。病院でもらったメジコンとムコソルバンはぜんぜん効かなかった。むしろ飲むことで何かが刺激されてしまい、かえって咳がひどくなるんじゃないかという、やぶへび現象まで起こる始末。

 今日は、何がなんでも咳が苦しいんですと主張したら、リン酸コデインという麻薬系の薬が出ました。怪しげな白い粉です。めちゃくちゃ苦いんです。でもこれまでの薬に比べれば格段効いてるような気がします。薬飲んで横になっていれば、そうそうひどい咳は出ません。でも、こんなの飲んで本当に大丈夫なんですかね。医者は習慣性はないよと言うんだけど。軽くハイな気分になっているのは気のせい?

*にーぎゃーいーーーー

 咳止め用のヤクがあんまり苦いので「おくすりのめたね」とかいうお子ちゃま用のゼリー状オブラートを買ってきたのですが、なんとコデインの苦さのほうがイチゴ味より強かった! 普通に大人用のオブラートで飲んだほうが苦味を感じなかったです。コデイン恐るべし。澱粉オブラート最強。

 わたしは苦い物が全面的にダメというわけじゃなく、ニガウリみたいなものは大丈夫だし、生薬の五味子の種なんかかみつぶしても「んー苦いっ、もう一粒!」って感じで決してイヤではないんですが、リン酸コデインの粉末はダメでしたねえ。とにかく細かい粉末で、たとえて言うと龍角散みたいな舌触りで、それがほんの少量なのにやたら苦いというか、マズイというか。細かい粉だというのも良くないのかも知れません。薬局でサンプルにもらった田七人参の粉末も苦手だからねえ。


*やっぱり効かない

 ……効いてるかと思ったけど、発作来た。ゲホゲホゲホ、ヒーーー。とめどなく痰が出てきて咳とまんない。うぎゃああ、薬飲んでから一時間くらいしかたってないのに。追加のみしたらまずいわよね。まいった、く、くるぢい。

*ほんとにこの薬でいいの?

 なんとなく、必要な薬はこれじゃないかもって気がしてきた。

 素人なので、まちがった理解をしてるかもしれないんだけれど、リン酸コデインについて調べると咳中枢に作用する「麻薬性中枢性鎮咳薬」の部類であるということで、そういう薬は痰が絡んで苦しいような時は飲んではいけないようなことがいろんなところに書いてある。

 そんでもって、そういう時は末梢性の気管支拡張剤みたいなやつがいいようなこともチラホラ。実際のところ市販薬で効き目があるものの効能を見ると、気管支を拡張する作用があると書いてあるんだよねえ。

 咳も苦しいけど、咳自体は痰がからむので出るわけで、どちらかというと困ってるのは痰のほうなんだよね。それは医師にもちゃんと説明してるはずなんだけど、どうも「これだ!」という薬が来ないんだねー。なんでだろ。「市販薬を飲むと効いた」とは話してみたけれど、その市販薬がどういう傾向の薬なのか、医者はこれっぽっちも聞こうとしなかったよ。それは聞いてもムダだからなのか、プライドかなにかが邪魔をするからなのか、かなり気になるところ。市販薬がダメな理由があるなら教えてくれないと納得いかない。あきらかに病院でくれる薬じゃ効いてないし、かえってつらくなってるんだもん。

*負けた……ついに入院

 9月18日金曜日です。負けました。予定では21日に入院するはずだったけど、今日入院することに決めました。

 腹水のたまる速度がとてつもなく速くなってる。11日に抜いて約一週間しかたっていないのに、もうパンパンで息苦しくてまるでダメ。痰と咳もひどくて苦しいー。

 仕方なくまた病院へ行き、ベッドがあいてるみたいだったので早めに入院を決定。今度は腕にもお腹に管をさしっぱなしにして、腕から点滴をばんばん打ちながら、必要に応じて腹の水をじゃーじゃー抜くというグロい生活に入るわけだね。もっと前からそういうふうにしたら楽だよと言われていたんだけれど、楽なわけないじゃん、病院のご飯マズイし、トイレも風呂も慣れたのじゃなかきゃ落ち着かないしさ。

 そういうわけで、次回からやーーっと入院日記に突入するわけだよ。ああ、長かったー。