http://www.tokyo-mutsugoro-oukoku.co.jp/last.html
サマーランドの横でやってた新ムツゴロウ王国ですが、25日にとうとう閉園してしまいました。わたしは23日に行ってきました。
▲ナポリタンマスチフのビアス。ものすごくでっかい。そして、おとなしい。いつも百友坊の奥にあるベンチのそばにいるから、そこがお気に入りの場所かと思ったら「場所はどこでもいいんですよ。ボクがいる場所にいるんです」って世話係のやまちゃんさんが言ってた。
やまちゃんさんが移動すると、ナポリタンマスチフのビアスとカーラ、大勢のメキシカンヘアレスが一斉について行っちゃう。やってみたことはないけど町のど真ん中で人通りのあるところでも大丈夫なはずだそうです。一度でいいからちゃんと許可をとって渋谷のハチ公前でリード(引き綱)なしで犬と歩きたいと言ってました。実現したらちゃんと育てた犬がどんなにおとなしくてリードなしでも大丈夫かわかってもらえそうです(あくまで「ちゃんと育てた」が条件)。
これは石川さんも言っていたけれど、犬というのはかわいがって育てた人間と一緒ならばどこへ行っても大丈夫なんだそうです。王国の犬たちも、スタッフと一緒ならば、東京だろうがヨーロッパだろうがどこでも同じようにお客さんを呼んで営業できる。でも、引き離されたら同じにはいかないでしょうって。
王国の閉園が決まったら、あちこちのテーマパークを買収している有名な某社が電話をしてきて犬を全部ひきとりたいと言ったそうですがお断りしましたと言ってました。本気でこういう商売をするつもりなら、なぜ育てるところからしないのかとも。
ムツゴロウ王国の犬たちは、さまざまな犬種が雑多に暮らしていて、いわゆる犬のテーマパークみたいに見た目はきれいじゃないですが、スタッフの誰かが必ず様子を見ていて、問題がおこりそうになると金網のあるところへ犬をひっこめたりしてます。見た目の雑さよりもずっと丁寧にやってる印象でした。
▲レオンベルガーの誰さんだろう
最初はチベタンマスチフかなぁと思っていたんだけれど、Tマスチフとは顔つきが違うし、もっとでっかい、かな?? 19世紀にドイツでつくられた犬種だそうです。
▲手を入れて写すと……うっ、ほんとにでかい。でもすごくおとなしい。このヒトはいっつも寝てる。前回行った時も通路のど真ん中で寝てた。
▲メキシカンヘアレス
体毛がほとんどない犬種。チャイニーズクレステッドというのと同じかなと思っていたんだけどひょっとしたら違うのかも。日本ではあまり見ない犬種だけど、王国にはたくさんいる。10月に行った時はピンシャンはねまわっていたのに気温が下がったせいかこの日は寒そうに寝てる子が多かった。
ちなみに、この子が来てる白いセーターは王国のサモエド(白くてふさふさした、スピッツを大型にしたみたいな犬種)の抜け毛を集めて作ったものらしいです。紡いだ人の腕もいいのでしょうが、いい感じに起毛して手触りがよく、とても軽い毛糸です。サモエドは北国の犬なので毛も上等。王国のお客さんをよーく見ていると、いろんな人がサモエド毛糸の帽子やマスコットを持ってました。常連になってお願いしていると作ってもらえたのかもしれません。
この日は閉園後に別途参加費を払って石川さんの百友坊(犬エリア)で材料持ち寄りの宴会をやってました。寒い中200人も集まって、鍋ものや焼き物を食べました。同じような集まりを月一くらいでやっていたみたいなんですが、通常は19時解散のところをこの日は21時まで延長して飲めや歌えの大騒ぎ。騒ぎの中、犬たちもお客さんにまじって走り回ってる。どの犬も人になれてるのでお客さんが大勢いても平気。ときおり美味しいものをもらったりしてご機嫌です。
王国では、犬に人間の食べ物を普通にやっているそうです。もちろんドッグフードも便利なので使っているそうですが、レストランで余ったものなどを普通にあげてました。宴会の最中も、人間が食べてるものをお客さんの手からもらってる(注:通常営業中は食べ物の持ち込みは不可です。お客さんが餌をあげていいのはお祭り騒ぎの時だけ)。
石川さんが言うには「昔の犬は人間と同じものを食べてた。夕飯の残りにお味噌汁かけたのとかで生きてた。それで病気になったりはしなかった。犬の臓器が突然弱くなったわけではないので、常識を越えるような量の塩や砂糖を与えるんじゃなければ人が食べてるものを普通にもらうのは問題ないはず」だそうです。今のほうが犬が長生きしているのはフィラリアの予防接種のせいだとも言ってました。現に、フィラリアのいない北海道では昔から本州より犬が長生きしていたとも。何事も程度の問題なんだと思います。人間だって塩辛いものばかり、甘いものばかり食べてたら体に悪いけれど、たまにだったら大丈夫なんだし。
こういう集まりの時だからわかる犬の表情というのもありまして、たとえば食べ物をみせて「待て」と言うと、ラブラドールなどはとても丁寧にお座りなんかして「おりこうにしてますからくださいよ」って顔をするんだけれど、柴犬は「ふーん、この人、待てとか言ってるよ」って顔をする。柴犬が馬鹿だとか不従順だとかじゃなく、人との距離の取り方や、信頼関係の築き方が犬種によって少し違うんだと思います。盲導犬などにラブラドールが使われる理由がちょっとわかります。
▲フレンチブルドッグの……何ちゃんだろう。だっこしたらフゴフゴいいながらそのまま寝ちゃってた。
持ち寄った食べ物はたくさんあったし、ほっといたらいつまでも続きそうでしたが「21時までという約束で施設利用の許可をとってるのでー」ということになって、みんな名残惜しそうにしながらお開きになりました。石川さんは二年後にまた必ず首都圏に帰ってきますと言ってたけれど、ちゃんと戻ってこられるのかなあ。
百友坊の親分、石川さんは面白い人です。犬が大好きで馬も大好き。でも普通の人が聞いたら引くかもしれない。
馬を助けたいと思うなら、観光地で馬を見たら触れてみよう(観光地で人が喜ぶことがわかればお金を出して馬を維持しようとする人が現れるから)、乗馬できるところ、馬車に乗れるところでは乗ってみよう、馬券も買おう(とくにハズレ馬券を…笑)、そして馬肉を食べようって言ってた。なぜかっていうと、家畜というのは人に利用されることで人から守られ、増えていくわけです。人が利用しなくなったら数が減り、いずれ誰も飼わなくなる。馬は家畜なので、馬が好きなら利用してやるのが馬のためになる、ということなんだと思います。
宴会の最中にも動物がかわいそうなのでベジタリアンになったという動物愛護の人について「とっとと死んでください」なんて話もしてましたが、その瞬間だけ笑いの止まったお客さんもけっこういた(わたしは拍手して喜んでたし、頷いてた人もたくさんいたけれど)。だいたい、その「かわいそうな」動物ってやつが肉や魚を食べて生きてるんだから、それが生き物の決まりなんです。わたしゃ断然、石川さんのファンになってしまいましたよ。
そんな石川さんの書いた本です。わたしはまだ読んでないけど、たぶん面白いです。動物愛護はオッケーですが、愛誤の人は読まないほうがいい、かも?
[追記]
石川さんの本を読みました。王国で聞いた話ほど過激ではありませんでした(笑)が、犬の飼い方としてなかば常識化してあちこちで吹聴されていることを、端から「そうじゃないよ!」と解説しています。
世間で言われている常識が、まったく間違っているわけではないでしょうが、それだけが100%正しいわけでもないと思います。人間だって、世間で言われてる理想的な教育を受けられないからといって、必ずダメ人間になるでしょうか。そんなことないでしょう?
マニュアル大好きな人こそ、この本は読むべきだと思います。今まで信じていたことを全否定するためではなく、別の考え方も存在するんだと知るために、です。