川崎敏和さんが創作したバラの折り紙はすべて川崎ローズと呼んでいいと思うのですが、ここでは紙の目に直角に折り目をつける比較的簡単な方のバラを川崎ローズと呼びます。また、福山ローズも川崎ローズの仲間として扱います。
川崎ローズの折り方を掲載する本は複数あって、しかもそれぞれ折り工程が少しずつ違っていたりします。その違いはほんのちょっぴりだし、できあがったものもおおむね同じような形をしています。趣味として普通に折る場合は大して問題にならないような違いかもしれませんが、厳密に折り比べてみると違う物ができるようです。
*閉じたバラ
簡単な方の川崎ローズには大きく分けて二種類あります。閉じたバラと、開いたバラです。ここでは閉じたバラを比較します。
左から
『折り紙夢world(汽車の表紙)』の「バラ」
『トップおりがみ』の「ばらの花」
『博士の折り紙夢book』の「ばら」
本来は花びらをカールさせ、全体にもっと丸みがつくように仕上げますが、違いを比較しやすいよう杓子定規に折り、仕上げをほどこしませんでした。
左「バラ」と中央「ばらの花」は折り工程が違うだけで同じものと言えます。完成品が違って見えるのは、立体化する段階で「バラ」は棒状のものを使って花の中心を開く工程を積極的にしていますが、「ばらの花」は道具を使わず、手で開きながら立体化しています。どちらも真上から見ると四角いのが特徴で、これは福山ローズでいうと折り工程第3段階の手順28にある斜めの山折り線をつけずに立体化するからです。
写真右の「ばら」は、「バラ」「ばらの花」とまったく同じ折り方をしますが、福山ローズと同様に手順28の斜めの山折り線をつけます。この線をつけてから立体化すると、写真右のように花心がすぼまり、全体に丸みが出ます。
▲「バラ」「ばらの花」を立体化したところ
「バラ」はこのあと中心に楊枝のような棒状のものをつっこんで、すり鉢とすりこぎでごまをするようにくるくるやって中心を開きます。「ばらの花」は上の写真の形になる前から手で中心を開きつつ立体化させるので形を作るのが難しいです。
▲「ばら」を立体化したところ
斜めの山折り線をつけてから立体化すると、中心を開く工程を積極的にしなくともこの形になります。また、「バラ」「ばらの花」に比べるとこの段階ですでにすぼまった花の形になってます。
*開いたバラ
開いたバラは、閉じたバラと同じ折り方をしますが、さらに一手間加えて外側の花びらが開くように工夫されています。福山ローズも川崎ローズの開いたバラの一種です。
上『折り紙夢world(汽車の表紙)』の「バラ」
下『折り紙夢world(汽車の表紙)』の「ひらいたバラ」
『折り紙夢WORLD』には「バラ」の応用として「ひらいたバラ」の折り方が存在しています。途中まで閉じたものと折り方は同じで、仕上げの段階で一手間加えます。福山ローズの折り方で言うと第3段階の手順39をするかしないかの違いです。
『博士の折り紙夢book』の「ばら」
下『福山ローズ』
夢BOOK版の「ばら」には開いたバージョンがありませんが、仮に開いたものを作るとしたら完成品は「福山ローズ」と同じ形になります。
これまで、「福山ローズ」は「川崎ローズ」をどのくらいアレンジしているかあまり深く考えずにいたのですが、こうして折り比べてみると、完成品はまったく「博士の」の開花バージョンで、アレンジと言えそうなのは折り工程のみと思われます。たとえていうなら鈍行で行っても急行で行っても高崎線の上り列車は上野駅に着きます、というような違い(よけいわからん)。
ただ、先に夢WORLD版があり、この段階でアレンジして「福山ローズ」と「博士の」ができたとすれば、ちょっぴりのアレンジがさらなる傑作を生み出したといえるかもです。そこらへんの歴史はわたしにはわかりません。
なお、わたしは長いこと、夢WORLD版と博士版の違いを無視していたというか、ぜんぜん気づいてなかった馬鹿者なので、まだ何か勘違いしている可能性があります。そりゃ違うだろって思うことがあったらつっこんでくださってもかまいません。
かまいませんが、つっこみを理解できるかどうかはビミョーです。なんせ馬鹿者なので(涙)