カステラ系伝説
オルゴール(投稿者:アヤコ)
 安土桃山に、オランダ人によって、オルゴールが持ち込まれました。
 音の出る箱に驚いた日本人が「これは何?」と聞いたところ、オランダ人は何を勘違いしたか「オルゲル(orgel)」とオルガンの名称を答えてしまいました。オルガンを意味するオルゲルが、オルゴールに変化して定着してしまいました。
 つまり、オルゴールは日本語で、欧米ではオルゴールのことをミュージカルボックスとかミュージックボックスと呼ぶそうです。
【用語解説】
安土桃山時代
 織田信長と豊臣秀吉が天下をとっていた時代のこと。1568年から1600年ごろまで。
 話だけ読むと、かなりカステラ的な香りがするが、これはまったくカステラ系伝説ではない。
 そもそもオルゲルとは、「道具」「手段」「器官」を表すギリシア語オルガノンを語源とする言葉である。いわゆるオルガンが、ポルトガル語でオルゲルと呼ばれるのは、音を出す道具だからだ。
 では、オルゴールはどうか。音を出す仕組みはオルガンとは違うが、音を出す道具であることには違いない。つまり、オルガンの一種である。
 おそらく、安土桃山時代のオランダ語は、現在の日本人が思っているより「オルガン(オルゲル)」の定義が広く、オルゴールや手回し式のストリートオルガンなども含んでいたのではないかと思われる。残念ながらてもとにポルトガル語の辞書がないが、参考に英語の辞書で organ という単語をを調べてみよう。
 パイプオルガン, 手回しオルガン, リードオルガン(reed organ), ハーモニカ; (生物の)器官; 陰茎; 発声器官; 機関; (意見の)発表機関, マスコミ; 機関紙[誌].(インフォシーク EXCEED英和辞典より)
 ごらんの通り、その意味はかなり広い。ポルトガル語でも同じではないかと想像できる。
 となると、日本人の「これは何?」という問いに、オランダ人は正しく「音を出す道具である」と答えたのだから、勘違いでもなんでもないわけだ。

 どちらかといえば、オルガンといえば足踏みオルガンかパイプオルガンのことだという日本人の思いこみのほうに、カステラ系伝説の芽生えを感じる。

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