忘憂(ぼうゆう)
萱草の中国名のひとつ。花を食べると憂いを忘れることから。萱草の花には気分を高揚させる効果があるという。お酒のことも「忘憂」とよぶことがある。飲めば憂さを忘れるからだ。
忘れ草
忘憂と意味は同じ。日本では「わすれぐさ」と呼ばれた。
万葉集
日本最古の歌集で当時のあらゆる階層の人たちの歌を収録している。萱草は忘れ草という名前で何度か出てくる。「我が宿の、軒にしだ草、生ひたれど、恋忘れ草、見れどいまだ生ひず」(柿本人麻呂)など。
Hemerocallis flava(ヘリオカリス・フラーヴァ)
萱草の学名。flava はラテン語で黄色いという意味。花の色を著している。Hemerocallis
はギリシア語で hemera(一日)+callos(美)、一日だけの美しさという意味。花が朝咲いて、夜にはしおれてしまうことからついた名前である。アメリカで品種改良され園芸用の品種もたくさんある。英語では
Daylily という。
チカップキナ、カッコクノンノ
チカップキナは鳥の草、カッコクノンノはカッコウの花という意味のアイヌ語。カッコウの鳴く頃に咲くはなだからとも言われる。
東北より北にはヤブカンゾウはあるがノカンゾウはほとんどなく、アイヌが利用していたのは主にエゾカンゾウ(Hemerocallis
dumortieri var.)という近縁種だそうだ (参考[広告]>草風館『アイヌ植物誌』)。