珍獣の館TOP珍獣様の博物誌珍獣の食卓目次現在地


[直前に見たページへ]
 
シシトウ(獅子唐)
 
シシトウ
 
 左手前のものがシシトウ。正しくはシシトウガラシ(獅子唐辛子)という。ちなみに、右の細いのがアオトウガラシで奥の赤いのがタカノツメ。

 シシトウは、ピーマンのうち日本で改良された品種で果実が小さく細長いもののことを言う。普通にシシトウと呼ばれるものは辛くはない。しかし、1 パック買うと 1 個くらいものすごく辛いシシトウが入っていることがあり、トウガラシと同種なのだと改めて実感させられる。先祖返りとでもいうべきなのだろうか。また、赤く変色したものが混じっていることがあるが、これはピーマンと同じで熟して赤くなったものじゃないかと思う。

 シシトウの語源は、実にシワがあるのが獅子の頭のようだからという。神社の狛犬を想像するとわかりやすいが、昔は獅子(ライオン)といえばシワのよった顔をしているものと決まっていた。

 
 
アオトウガラシ(青唐辛子)
  
アオトウガラシ  このとおり、緑色のトウガラシ。
 アオトウガラシにもたくさんの品種があって。ものすごく辛いのや、ちっとも辛くないのがある。

 写真のものは千葉県産(品種は不明)で、シシトウより青臭く、ほとんど辛みがなかった。

 
 
甘とう美人 [関連記事]
 
甘とう美人
大きさはこのくらい
 
 甘とう美人という名前で売られていた辛くない唐辛子(というよりシシトウの巨大なのというべきか?)。焼いて醤油をつけて食べてみたところ、味はピーマンそのものだった。
 
 
タカノツメ(鷹の爪)
 
鷹の爪
 
 ご存じ鷹の爪。トウガラシといえば無条件にこれ。熟して赤くなったトウガラシを乾燥させたもの。一味唐辛子はこれを挽いて粉にしたもので、七味唐辛子は一味唐辛子に山椒や陳皮(ミカンの皮)などの香辛料をまぜたもの。

 韓国ではトウガラシのことをコチュといい、おチンチンのこともコチュという。その家に男の子が生まれたら、門口にトウガラシを飾る。また、トウガラシは魔よけになるとも言い、悪い者に取り憑かれた人の部屋に、トウガラシ 10 個を数珠のように糸でたばねて置けば救われると言う。また、火で燃やすのも効果がある(参考>学研『迷信・俗信大百科』)。
 韓国料理にトウガラシは欠かせないが、トウガラシは南米原産の植物なので、コロンブスが新大陸をみつけた後にアジアに伝えられたものである。それ以前の韓国料理は今のように辛くはなかったはずだし、キムチも普通の塩漬けだったかもしれない。

 トウガラシに含まれるカプサイシンには体を温める作用がある。日本の昔話に、唐辛子売りと柿売りの話があるが、寒い夜に野宿したふたりは、それぞれ自分の売り物を食べて空腹を満たしたが、唐辛子売りは体がほてって助かり、柿売りは凍えて死んでしまった。

 暑い国でも唐辛子をよく食べる。トウガラシは体を温めるが、発汗作用によって体温が下がるので、真夏に食べれば涼しくなるのだ。

  
 
 
目次