和名 | トノサマバッタ |
別名 | |
中国名 | 飛蝗 |
科名 | バッタ科 |
学名 | Locusta migratoria |
出現期 | 夏から秋にかけて |
食性 | イネ科の植物 |
採集地 | 東京都葛飾区 |
2005年10月13日撮影 バッタといえば、なんといってもトノサマ。形はイナゴに似てるけど、体格がまるで違う。この足の太さ、力強い腹、まさに殿様の風格です。写真のものは緑色型ですが、体の茶色い褐色型もいるそうです。体長はオスで35mmくらい、メスで50mmくらい。イナゴに比べると一回りも二回りも大きく見えます。 この写真は 3 メートルくらい離れたところから望遠でねらったのですが、トノサマにはこちらの姿がちゃんと見えているようで、少しでも近づこうとするとパーッと飛び立ってしまいます。似たような顔をしたイナゴなどは、飛ぶというより後ろ足で跳ねて逃げますが、トノサマバッタは本当に飛びます。立派な翅(はね)をひろげて何メートルも先まで飛んで行ってしまいます。なお、写真のバッタは葛飾区の中川(堀切菖蒲園近く)で撮影したものです。江戸川沿いにもいるようです。 よく似た虫にクルマバッタ Gastrimargus marmoratus とクルマバッタモドキ Oedaleus infernalis がいて、どれもトノサマと呼ばれてることが多いみたいですが、クルマバッタは横から見ると背中が盛り上がっていて、クルマバッタモドキは背中にX字の白っぽい模様があるようです。…なんてことを言ってますが、わたくしもイマイチ自信がないので間違ってたら指摘してください。上の写真はトノサマバッタで正解でしょうか(笑)? [追記]トノサマバッタは(おそらくクルマバッタやクルマバッタモドキも)増えすぎると黒雲のような大群になり野山や田畑を食い荒らすことがあります。これを飛蝗(ひこう)といって、中国などでは大変恐れられています。日本ではあまり発生しませんが、最近だと1986年に鹿児島県馬毛島で飛蝗の記録があるそうです。 ところで、日本ではイナゴを食用にしますが、トノサマバッタは一般には食べません。姿形はよく似ているのになぜでしょう。 一説によれば、イナゴは味がよくトノサマは不味いと言います。しかし、わたくしが食べた限りでは味そのものに違いはないように思います。トノサマのほうが大きくて食べ応えがあり、こちらのほうが美味しいという人もいるでしょう。 ただ、トノサマは体格がいいのでイナゴより固いのです。繊細な触感を求めるならイナゴに軍配を上げます。それに、トノサマは捕まえるのが大変。警戒心が高い上に飛翔力が強く、捕まえるのに苦労します。田んぼでイナゴがたくさんとれるのに、取るのに苦労するトノサマをわざわざ食べることもない、というのがトノサマバッタを食べない理由かもしれません。 もしトノサマバッタを食べてみるなら茹でてから素揚げで。バリバリっと丸ごとかじってください。もしくは茹でてから足をとってスパイシーな炒め物にしてもよろしいかと。タイ料理の店でトノサマ級の大型バッタを炒め物にしたのを食べたことがあります。 |
2007年10月13日撮影@浅川土手 これもたぶんトノサマバッタです。葛飾ではなく、浅川という八王子方面の川でつかまえたものです。トノサマには緑色型と黒色型と、赤茶っぽい褐色型がいるそうですが、黒色と褐色はビミョーな違いなので、どっちも褐色でいいんじゃないかと個人的には思います。写真のものは強いていえば黒色……いや、褐色?? どっちでしょう。 同じ虫を真上から写してみました。背中には模様がほとんどありません。トノサマよりもクルマバッタやクルマバッタもどきのほうが多いという記述をあちこちでみかけますが、わたしが捕まえたことがあるのはトノサマばかりなので、都内ではトノサマ優勢なのかもしれません。 |
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