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和名 ホシホウジャク
科名 スズメガ科 学名 Macroglossum stellatarum 中名 後黄長喙天蛾 撮影日 2007年秋、2008年夏 撮影地 東京都葛飾区 特徴 ・ホバリングしながら花の蜜を吸う ・幼虫はヘクソカズラを食べる ・前翅の先に特有の斑紋(後述) |
2007年11月1日 卵
ホシホウジャクの卵はヘクソカズラの葉に一個ずつ産み付けられています。葉っぱの裏側にくっついてることが多いです。 |
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11月6日 一齢幼虫
孵化しました。この写真は孵化してから2日くらいたっていると思います。非常に小さいけれど、尻にはスズメガ類の特徴である尾角(びかく)がちゃんとあります。体長は7mmくらいでしょうか。 尾角は飾りのようなもので、敵を刺したりするような強度はありません。もちろん毒もありません。 なお、卵から出てくることを孵化(ふか)といいます。虫だけでなく鳥や魚も卵から出る時は「孵化」です。 たまに羽化(うか)と言ってる人がいますが、羽化は蛹から出てきて成虫になることです。
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12月5日
孵化から一ヶ月たちました。その間に何度か脱皮をしているはずですが、いつどのタイミングで脱いだのかはわかりません。脱皮殻は自分で食べてしまうので非常にわかりにくいのです。 まだ小さいです。体長はだいだい25mmくらいでしょうか。 ホシホウジャクの幼虫は、緑色のものをよく見かけますが、褐色や黄色のものもいます。この幼虫は黄色くなりそうです。 |
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12月6日
前日のは写りが悪かったので撮り直しました。黄色型ですね。 この頃の幼虫は、見るたびに大きくなるような勢いで成長します。 |
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12月17日
さらに十日ほどたちました。ずいぶん立派になったでしょう?体長は50mmくらいあると思います。 12月なので外はかなり寒くなってきました。どこへ行っても食草のヘクソカズラが枯れており、とても苦労したのを覚えてます。あまり満足に餌をやれませんでした。 |
12月25日 終齢、老熟幼虫
さらに二週間ほどたちました。体長は60mm以上ありますし、前より太くなりました。この幼虫はもうすぐ蛹になると思います。 蛹になる前に、色が激変することがあります。たとえばきれいな緑色だった幼虫が、脱皮したわけでもないのに急に赤みがかってくることがありますが、蛹になる合図なのです。 左の写真もいくらか赤く変化しています。こうなると餌を食べなくなり、しきりに歩き回るようになります。 このまま蛹になるところも記録したかったのですが、忙しくて写真をとりそびれてしまったので、続きは別の個体の写真で紹介します。 |
ホシホウジャクは土中で蛹になります。口から糸を吐いて、土を粗くつづった繭をつくり、その中で蛹になるのです。
左のものは、ひとつ上の写真とは別の個体ですが、同じホシホウジャクです。まだ蛹になりきっていない前蛹(ぜんよう)という状態です。よく見ると、尻に尾角があるでしょう? 蛹になる前に色が変わると書きましたが、その変化は必ず起こるわけじゃなさそうです。左の写真は緑色型の幼虫でしたが、このとおり前蛹になっても緑色をしています。 前蛹の状態で、2日くらいじーっとして、最後に脱皮をすると蛹になります。 |
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これがホシホウジャクの蛹です。写真上が頭で、下が尻です。頭に烏帽子をかぶったような出っ張りがあるでしょう。これがホシホウジャクの蛹の特徴です。スズメガ類は変わった形の蛹になるものが多いです。
この蛹は、そっと繭に戻して大事にしていたのですが、残念ながら翌年の夏になっても羽化しませんでした。土中の湿度とか、幼虫時代の栄養状態とか、何か理由があるのでしょう。 ちなみに、卵から蛹になるまで二ヶ月くらいかかるようです。 |
2008年9月13日
今年も拾ってきました。これは終齢幼虫です。終齢かどうかの判断をどこでしているかというと、大きさとか太さです。ぱっつんぱっつんに育っていると「ああ、これは終齢で、もうすぐ蛹だな」と感じるのですが、たいたい外したことはありません。 去年の冬に蛹になったものが、初夏に羽化して卵を産み、それが夏の間に育って今こんな感じになってるわけです。 この二頭は、17日くらいに両方とも蛹になりました。 |
9月30日 羽化
蛹の状態はだいたい同じなので省略します。今回は飼育箱に土を入れず、ティッシュペーパーをちぎったのと、葉っぱを枯れたのを入れておきましたが問題なく蛹になりました。 二頭とも、半日くらいの差で同時に羽化して、狭い飼育箱の中でばたばた飛び回っていました。 昆虫には翅(はね)が四枚あります。頭に近い方の翅二枚を前翅(ぜんし)、尻に近い方を(後翅)といいます。上翅(じょうし)、下翅(かし)という言い方をすることもあるみたいです。 左の写真に写っている翅は前翅です。後翅は前翅の下にかくれています。 |
ところで、ホシホウジャクにはクロホウジャクというそっくりさんがおりまして、見分け方が大変難しいのです。図鑑などでは、前翅をめくりあげて、後翅の模様をくらべるようにと書かれているのですが、生きているものを観察する場合、つかまえて後翅を見られるとはかぎりません。
そこで決め手になるのが「前翅第6室亜外縁に長方形の黒い紋があるかどうか」だそうで、具体的に言うと○でかこった部分がそれにあたると、mixiの昆虫天国で教えてもらいました。 ついでに後翅の模様も写そうとしたら逃げられてしまいました。 |
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