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和名 シロツメクサ
白詰草:壊れ物を輸入する時に詰め物にされていたので詰草。白い花が咲くから白詰草。
別名 クローバー(英名から)
三つ葉(葉が三枚だから)
英名 White Clover
中国名 白花三葉草(学名の Trifolium は三枚葉のこと)
白花苜蓿(苜蓿はウマゴヤシを指すことが多い)
幸運四葉草(四つ葉のクローバーのことらしい)
科名 マメ科
学名 Trifolium repens
春から夏にかけて白い花を咲かせる
原産地 ヨーロッパ原産
撮影  東京都葛飾区


 
発見?!赤いシロツメクサ

 あの〜、わたくし珍獣の館の女主人、ららむ〜と申す者なのですけれども、今日はちょっとご相談がありまして…いえ、べつに、解決してもしなくても、人生、もとい珍獣生に支障があるわけじゃないんですけれども、なんとも気になって仕方がないんです。

 それというのも、ついさきほどのことなんですが、わたくし「赤い白詰草(シロツメクサ)」というのを見てしまったのですわ。

 え、なんですって?
 シロツメクサは英語ではクローバー(Clover)、赤いクローバー(Red Clover)はムラサキツメクサ(=アカツメクサ)という別種で不思議でもなんでもない?

 ああ、そうなんです。それはまったくその通りなんです。
 でも、わたくしが見たのはムラサキツメクサじゃぁございません。それは確かにシロツメクサなんですわ。

ムラサキツメクサとシロツメクサ
 そもそもムラサキツメクサ・シロツメクサはマメ科植物の仲間であります。花や葉の形は似ておりますが、よく見ればすこうしずつ違っているのもおわかりでしょう。

 夏の野原を思いだしてくださいませ。シロツメクサの白い花で冠や首飾りを編んだ日のことを。シロツメクサは絨毯のように地べたに広がっていたはずです。この草の茎は地べたを這う性質なのです。

 一方ムラサキツメクサは茎が立ち上がる性質を持っています。それだけではありません。花をよく見ていただきとうございます。シロツメクサの花は、茎から別れて花をつける枝には葉がありません。ところがムラサキツメクサは花のすぐ下にかわいらしく葉がついているのです。まるでイギリスの女王様の襟かざりのようではありませんか。

 わたくしが見た赤いクローバーは、シロツメクサ同様に地を這う性質でした。そして花を付ける枝には葉がなかったのであります!

赤いシロツメクサ?
赤いシロツメクサ?!
2004年5月21日撮影
(クリックで少し引いた写真)

 上の写真が問題の赤いシロツメクサでございます。どうです、花が赤いでしょう。決して画像処理などではございません。目で見てもわかるほど赤い花でございました。このような花がシロツメクサの群生するところに 4〜5 本まじっていたのでございます。
 これは非常に珍しい現象ではありますまいか。

 ええっ、なんですと?
 ムラサキツメクサじゃないならレンゲソウじゃないのかと、そうおっしゃるのですか。
 おお、聡明なる読者のみなさん!
 たしかにレンゲソウの花は赤く、花をつける枝には葉がありませぬ。
 しかし、レンゲソウと○○ツメクサには決定的な違いがあるのでございます。
 レンゲソウの葉は三つ葉ではございません!!!

レンゲソウの葉
 
 わたくしこと珍獣が見たものは、茎から伸びた枝の先に葉が三枚ぴょぴょぴょっとついているアレでございます。
 え、証拠を見せろとおっしゃいますか?
 聡明なる読者のみなさん、
 わたくし決してごまかすつもりなどはございません。ただ、写真がうまく撮れなかったのでございます。たいそう写りのわるい写真ではありますが、それでもよろしければこちらをごらんください!
写りの悪い証拠写真
2004年5月21日撮影

 上の写真をクリックしていただきますと、未加工の大きな画像が表示されまする。
 ああ、少々お待ちを。
 たいそう大きな画像ですから、ナローバンドユーザーのみなさまにおかれましては、深呼吸などして心を落ちつけたのちクリックし、気長にお待ちいただけますと幸いでございます。
 ピントがぼけておりますが、赤い花がどの茎につづいているのか、その茎から生えている葉がどんな形をしているのか、だいたいご覧いただけましたでしょうか。
 少なくともレンゲソウではないことだけは、ご理解いただけるのではないかと。

 ムラサキツメクサでもない、レンゲソウでもないとなれば、やはりシロツメクサなのでしょうか。白い花を咲かせるはずのシロツメクサが、一体なぜ赤く染まっているのでしょうか。

 わたくしこと珍獣もまた少ない脳みそをふりしぼり、ひとつの仮説をたてました。
「シロツメクサは咲いたばかりの若い花は赤いのではないか?」

 そう思い、まわりに咲いている、同程度の若い花の写真も用意いたしたのですが、これこのとおり、真っ白でございます。シロツメクサの草原を見渡しても、通常は赤い花など咲いておりません。シロツメクサの花は若いうちから白でありまする。

シロツメクサの若い花
2004年5月21日撮影

 聡明なる読者のみなさん。
 これは一体どういうことなのか!
 新種なのか、はたまた突然変異なのか、この現象の理由をご存じの方は、ぜひぜひご一報くださいませなのです。また、テレビ局からの取材も歓迎いたします。
 ご連絡はメールにて。メールアドレスは適当に探してくださいませなのです(注:スパムにつぶされるので安易にアドレスを書けない悲しい SAGA を背負っているのです)。

 …と、お遊びはこのへんにしてだな。
 たぶん上の写真の赤い花はシロツメクサなんだよ。

 で、その本当の理由はわたくしにもわかんないんだけどさ、一面のシロツメクサの中に赤い花がかたまって 4〜5 本あったんだわ。

 そこで考えたんだけどもさ。
 ひょっとかすると誰かが地面に赤い液体でもまいたんじゃないかと思うんだよ。切り花なんか、赤い水吸わせると、白い花が赤くなったりするじゃんか。アレと同じで色水を吸い上げて花が赤くなったんじゃないかと。

 たださあ、色水は花だけじゃなく葉にも吸い上げられてるはずなんよ。その場合、花ほど目立たないだろうけど、葉も赤黒くなってなきゃいかんと思うんだね。でもその様子はなかったよ。

 やっぱ変種か突然変異かな。
 ホントにご意見お待ちしているよ。
 あと取材も…って、次に行くときにはもう生えてないかもしれないけどさ。

 根こそぎひっこぬいで標本にしておくべきかなあ。
 まあ、理由がわかっちゃうと大したことじゃないのかもしれないけど。
 

[追記]
三日後にもういちど同じ場所へ行ってみました。
 上の写真の赤い花はもうなくなっていましたが、うすぼんやり赤いシロツメクサが咲いていました。
 

うっすら赤いシロツメクサ
2004年5月24日撮影

 でも、この程度の赤さなら珍しくはありません。シロツメクサの原っぱを見て歩くと、たまにうす赤く色づく株があるみたいなんです。
 

白いシロツメクサと赤いシロツメクサ
2004年5月24日撮影
 
 突然変異なのか、変種なのかわかりませんが、花がうっすら色づく個体があって、そういうのがたまに濃い色の花をつけてしまうというのが真相のような気がしてきました。
 
 

[参考]
ムラサキツメクサ
Trifolium pratense
別名:アカツメクサ
ムラサキツメクサ(アカツメクサ)
2004年5月14日撮影

 話の引き合いに出てきたムラサキツメクサってのはこれね。パッと見てシロツメクサとはまるっきり違うでしょ。あと、ムラサキツメクサは茎や葉に毛がはえているのが特徴で、シロツメクサは無毛という違いもあるらしいわよ。
 

レンゲソウ
Astragalus sinicus
別名:ゲンゲ
 レンゲソウ
2008年4月20日撮影

 レンゲソウの写真も載せたかったんだけど、近くに休耕田がないのでみつからなかったわ。田舎じゃ田んぼを休ませる時に緑肥としてレンゲソウをまくからイヤってほど見られたのにね。

 最近は米の品種や作り方が昔とかわっていて、畑に緑肥としてレンゲソウをまく地方が皆無といっていいくらいないみたいです。写真のものは種を買ってプランターで育てたものです。

 
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