ヘチマ

ヘチマ
2002年9月17日撮影

 ベランダで作っているヘチマ。50cm 四方くらいの発泡スチロールの箱に土を入れて栽培している。種からじゃなく、苗をかってきて育てた。
 7月から 8月にかけて、花がたくさん咲いていたけれど、どれも雄花ばかりで実がならなかった。土がやせているのが原因らしい。肥料をやって様子を見ることにした。

ヘチマの雌花(まだつぼみ)
2002年9月17日撮影

 9月に入ってやっと雌花がつくようになった。これは雌花のつぼみ。写真だと下をむいている先の尖った丸いところが花になる。ヘチマは雌雄同株の異花。ひとつの株に雄花と雌花が両方つく。

若いヘチマの実
2002年9月17日撮影

 花が終わり、少し育った雌花。ここまで来ると若い実と言ったほうがいいかもしれない。大きさがわかるように手のひらも一緒に写そうと思ったけれど、高いところにあって届かなかった。

 小学生の(ふりをしていた)頃、理科の実習でヘチマの栽培をした。珍獣様の学校は、生徒数が多く、小さな花壇に大勢が殺到してヘチマのスケッチをするので、理科の授業はいつも大変だった。
 積極的な一部の子がさーっとかぶりつきに陣取って絵を描き始める。その後ろで立って絵を描く子の人垣ができる。珍獣様は箱入りお嬢様だったので(かなりのウソを含む表現)、油断していると後ろの人垣にも入れず、おともだちが書き終わるのをボケっと待っていなければならなかった。
 しかし、ただ待ちぼうけている珍獣様ではなかった。ある時、待っているのがめんどうくさくなって、人垣からかいま見たヘチマの絵を描いた。見えないところは適当に想像でおぎなっておいた。
 誰よりも早く教室に帰り、観察ノートを先生に提出した。後からみんなも帰ってきてノートを提出した。
 次の理科の授業で、先生は珍獣のノートをみんなに見せて、
「これはすごく良く描けているね。なぜだと思う?」
と、聞いた。
 珍獣様の観察日記には、高い棚までのびて、ツルを巻き付かせているヘチマが描いてあったのだ。
 真面目に実物を見て描いた子は、地面から描こうとしたので、上のほうはおざなりになっていたのかもしれない。または、ヘチマだけ描けばそれでよくて、支柱や棚まで描く必要はないと思ったのだろう。
 観察日記なので、ただスケッチしてもダメなわけだ。棚にとどくほど成長したのなら、それがわかるように描かないといけない。絵の上手い下手
よりも、何を記録するかの問題だというわけだ。
 が、しかし。珍獣様はそこまで計算してスケッチしたわけではなく、単純におともだちの頭の間から見えるものを描いたらそうなっちゃっただけなのである。楽して得とれとはいうものの、こう気持ちよく決まるのも珍しい。以来、すっかり人生をなめきって今日に至る。

 そういうわけで、全国の良い子のみなさん。大人をだますのは簡単ですよ…じゃなくて、観察のポイントは前に見たときとどう違うかを記録することです。わかりましたか?
 …わかんねーよ、こんなんじゃ。

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