岩崎美術社
 江戸の妙薬icon

 孫太郎虫や陀羅尼助など、昔から愛用されてきた手作りの家伝薬について、その効能、製法、歴史、伝説などを説明した本です。

 1976年に厚生省が施行した「医薬品の製造および品質管理の基準」という法的規制によって、家伝薬は手作りであることを理由に製造許可がおりなく なったのだそうです。職人さんたちは以前の製法を捨て、膏薬に防腐剤を添加するなどの近代化をはかりましたが、その結果、品質が悪化した薬も少なくありませんでした。そのような現状を憂いで書きつづられたものなので、家伝薬への愛着と、伝承の知恵への尊敬があふれた本です。宇津救命丸(五官薬)や浅田飴(飴薬)、養命酒など、今も名前が残っている薬も出てきます。

[目次から]
天台烏薬・蝦蟇の油・孫太郎虫・湯の花・外郎・消毒丸・陀羅尼助・万金丹・薬用人参・黒焼・梅肉エキス・忍術丸・反魂丹・万能膏・打身丸・実母散・椿油・ 五官薬・熊胆・ヤイト・紫雪・飴薬・千金丹・話中散・目洗い薬・中将湯・養命酒・紅花・くすりの町・巡礼・あとがき
 

 余談ですが、群馬のある地域では、テントクコウセン(天徳鉱泉?)という液状の薬がもてはやされていたことがあります。瓶入りで薄い茶色の液体だったと思います。あせもや虫さされなどに外用することが多かったですが、飲んでもいいものだったと記憶しています。どこかの温泉の水ではないかと思いますが、今となっては正体がよくわかりません。こういうのも民間薬のひとつなのでしょうか。

メニューへ | 直前のページ


集英社
 黄金伝説〜[近代成金達の夢の跡]探訪記icon

 荒俣宏・著。
 タイトルの通りの本で、明治・大正・昭和の初期に財をなした「成金」たちのことを振り返る本です。
 アリャマタ曰く、産業というのは過去を持たないもので、未来だけを見つめて現在を生きるものなのだそうです。けれど、繁栄があれば滅びもまたあるわけで、成金たちが残した家や町並みを考古学のように探訪したらどうなるか??

 『PLAYBOY日本版』に掲載された記事を単行本にしたものらしいです。ひょっとすると雑誌に掲載された時はカラー写真を沢山使っていたのかもしれません。 単行本の巻頭にもカラー写真がちょっとだけついてます。これがけっこう美しくて、もっと沢山ついてたらいいのにって感じでした。

 A5版の本と、文庫が出ていて、どちらも現在は版元品切れのようです。
 

目次より
 黄金伝説への旅−サフラン酒王
 独立ユートピアの夢−サトウキビ王(玉置半右衛門)
 豪農達の豊饒なる"実り"−稲穂王(伊藤文吉)
 消えた"ニシン王"の謎
 "黒ダイヤ王"の大いなる遺産−石炭王(麻生太吉)
 成りあがり"炭坑王"の悲恋−石炭王(伊藤伝右衛門ほか)
 深山に眠る"銅山王"のユートピア(廣瀬宰平)
 "絹の道"からハマの港へ−生糸王(原善三郎・三渓、仲居屋重兵衛)
 好敵手物語・ニッポン宣伝事始−たばこ王(岩谷松平、村井吉兵衛)
 線路はのびるよ、まっすぐに−鉄道王(雨宮敬次郎、根津嘉一郎)
 ラッパの余韻−映画王(永田雅一)
 "町おこし"産業の宿命−遊郭王
 南洋の島にあった楽園−南洋王(宮下重一郎)

メニューへ | 直前のページ